戦国BASARA
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捕らわれていた家臣達の無事に、政宗の六爪と楯無鎧を持ち、甲斐に戻る事になった。
その時。
ガシッ!
「紫苑、てめぇ何故来やがった?」
紫苑の頭を掴み、小十郎は怒り気味になりながら質問した。
「政宗様も危ない、小十郎様も危ない。そうなった時が、私の出番だとお忘れですか?」
「政宗様の許しは取ったのか?」
「……………あら?」
ギリギリギリギリ!
「いだだだだだっ!!」
惚けた返答に、小十郎は握る力を強めた
「か、片倉様!」
「落ち着いて下さい!」
「姐さん痛がってます痛がってます!」
家臣達に止められてやむを得なく小十郎は手を放し、六爪を布に入れて抱えた。
「戻るぞ、もう夜明けだ。…紫苑」
「はい」
背を向けたまま、小十郎は言い放った。
「戻ったら政宗様から処罰がある。心しておけ」
そう言って歩き出す小十郎に、家臣達は心配そうな面持ちで紫苑を見た。
「姐さん、処罰って…」
「じ、冗談っすよね。筆頭が姐さんに処罰なんて」
「きっとあるだろうね」
「「「えええっ!?」」」
小十郎の後を追うように歩き出した紫苑に家臣達は質問責めをし、その光景に幸村は呆然としていた。
「旦那も早く行ったら?俺様は一足先に戻って、無事を報せてくるよ」
「う、うむ。頼むぞ…」
吃りながらも佐助に返事を返し、幸村も楯無鎧を持ち、歩き出した。
甲斐、武田領に無事到着し、門を開けた先には信玄と、政宗が立っていた。
「「「筆頭!!」」」
「親方様!」
伊達家臣達と幸村は主君に駆け寄り、帰還を喜び、それを見て小十郎も政宗に寄った。
「政宗様。片倉小十郎、只今戻りましてございます」
「Ya、ご苦労だったな小十郎」
差し出された六爪を受け取って腰に刺し、離れた場所に立つ紫苑を見た。
「俺が寝てる間に抜け出すとは、悪知恵が働いたな」
「こうなる事も見越して、今回私を同行させたのではないのですか?」
「…Ha、かもな」
意地悪そうに笑う政宗に紫苑も笑顔で返す光景。その様子に家臣達はハラハラし、幸村も心配していた。
「覚悟はいいか?」
「…何時なりと」
二人の間が静まり帰る。すると政宗は刀を一本抜き、紫苑に斬り掛かった。
ガキンッ!
紫苑も刀を抜いて攻撃を防ぎ、政宗はその行動にニヤリと笑い、一度刀を弾き、次々と斬撃を繰り返した。
二人はそのまま武田領の近くの森の中に入ってしまった。
「筆頭!」
「姐さん!」
「追うんじゃねぇ!」
後を追おうとした家臣達を小十郎が止めて一人で後を追い、幸村も彼の後に続いた。
「某が追いまする、皆様は怪我の手当てを。親方様、失礼致します!」
家臣達と信玄に頭を下げ、小十郎の後を追った。
ガキンッ!ガガガッ!!
ガキッ!
激しく斬り合い、一度刀を交えて話し出した。
「腕は落ちてねぇようだな、上出来だぜ」
「ありがとうございます」
「だったら…」
紫苑の刀を押し下げ、政宗は六爪で構えた。
「手加減無しだぜ」
丁度その時、小十郎と幸村が駆け付け、政宗の構えている六爪に幸村は驚いた。
「ま、政宗殿!」
止めに入ろうとした幸村を、小十郎は止めた。
「片倉殿!あれでは紫苑殿が危のうござる!何故止めさせぬのでござるか!?」
「真田、大仏殿で紫苑は怪我を負っていたか?」
突然質問され、幸村は暫し考え出した。
「いや…ほぼ無傷で、元気であったが…」
「竜の牙。それは紫苑のもう一つの姿の事だ」
「もう一つの、姿…?」
幸村に話しながら、小十郎は三日月形の刀を構える紫苑を見た。
「あいつは謂わば伊達の切り札。俺や政宗様が負傷した時、代わりに前に立ち、軍を背負う者」
「紫苑殿が…」
「普段は医師として、そして命令在らば武士として出陣する。それがあいつの役目だ」
「そ、その様な大役を、女子に!?」
「戦に出りゃ男も女も関係ねぇ。お前も解るだろ?」
政宗が動く前に紫苑が動き、一閃の斬撃を放った。
ズアアッ!
その斬撃に木々と地面が大きく裂けられ、政宗は口笛を吹いた。
「上等だ、癖になるなよ?」
「久しぶりに本気を出しますので、気を付けて下さいね」
政宗の六爪に雷が走り、紫苑も刀を構えた。
「HELL DRAGON!!」
「はああっ!」
ドガアアアンッ!
二人の技がぶつかって突風が発生し、小十郎と幸村は飛ばされないよう踏ん張った。
ガシャンッ
「うぐっ!」
その声の方を向くと、地面に倒れた紫苑がいた。
「紫苑殿!」
幸村は駆け寄ろうとしたが、再び小十郎に止められ、前を見ると政宗が紫苑の前に立っていた。
「……」
政宗は黙ったまま六爪の一振りを振り上げ。
ガキンッ
紫苑の顔面横に突き刺した。
「お前の処罰は…」
紫苑は視線を逸らさず、政宗の言葉を待った。
「今後も、俺の側で刀を振るえ」
「…え?」
短く言い、背中を見せた政宗に紫苑は起き上がり、大きく裂けた陣羽織に目が行った。
「今までお前は出さなかったが、これだけの腕をpartyに出せば派手になるってもんだ」
「政宗様…」
「もうバレちまった以上、お前を元には戻せねぇ…。竜の牙として、俺を護れ」
振り返った政宗の左目に目を見開き、紫苑は刺してあった六爪の一振りを抜き、政宗に差し出した。
「承知致しました、政宗様」
膝を付き、頭を下げた彼女に政宗は小さくOKと呟き、刀を受け取った。
「小十郎、戻るぞ」
「はっ」
政宗の後に小十郎は続き、先に戻る二人に、幸村は紫苑の元に駆け寄った。
「紫苑殿、大丈夫でござるか…?」
「えぇ。久しぶりに良い刀慣らしになりました」
笑って立ち上がり、紫苑は落ちていた刀を鞘に戻した。
「…片倉殿より、紫苑殿の事をお聞き申した」
「そうですか」
「何故、何故そのような事を引き受けになったのでござるか?」
鞘を腰に刺し、ゆっくりと幸村を見た。
「医師として、人を救う術を持ちながら…何故刀を!」
「それはお答え出来ません」
「紫苑殿…」
「ただ一つ言える事は、私は望んで武将としての道を歩む事を決めた。…それだけです」
告げてニッコリと笑った紫苑に、幸村は何も言えなくなった。
「さ、私達も戻りましょう」
先を歩く紫苑に、幸村も彼女を追うように掛けた。
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「いでで!いで!痛いっスよ姐さん!!」
「我慢です。これ位捕まっていた時に比べたら何でもないでしょう?」
武装から侍女姿に戻った紫苑は手当ての痛さに悲鳴を上げる良直達に笑顔を向けていた。
「大体強引に物見を代わるわ油断して人質になるわ。情けないです、ね!」
「いでーー!!」
孫兵衛の腕に巻いた包帯を、きつめに結んだ。
「助けに行って解放した矢先に安心するから、直ぐに動けないの、よ!」
「ギャアア!染みる!染みるっス!!」
佐馬助に塗り薬をたっぷり付け、三人の治療を終えた事を確認し、紫苑は道具を片付け出した。
「暫く休みながら反省なさい」
「「「す、すみません…」」」
立ち上がって三人を睨み下ろし、紫苑は政宗、小十郎の元に向かった。
無言で廊下を歩いていた時、ふと足を止めた瞬間。
ドスッ
「…危ないですよ猿飛様」
「そ~んな余裕な顔して言ってるのに今更だよね?」
紫苑の目前には柱に刺さったクナイがあり、それを投げた佐助に笑顔で返した。
「何かご用ですか?」
「いや、再確認。紫苑ちゃんが腕の立つ武将だって解って、全部の謎が溶けたよ」
「謎?」
「あの独眼竜が、ただの医者を戦場に連れてくる事だよ」
話続ける佐助を、紫苑は黙って見ていた。
「でも俺様が聞いた竜の牙の情報とは違うな。それに十年前って言ったら流石に紫苑ちゃんでもないし…もしかして他の」
ビュッ ガキン!
佐助の言葉を遮るように、紫苑は刺さっていたクナイを投げ返した。
「急ぎますので、失礼致しますね」
ニッコリと笑い、紫苑は去って行った。
「あ~らら、怒らせちゃった」
投げ渡されたクナイを指で受け止め、佐助は溜め息を付いた。
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