黒尾鉄郎薬

ーside研磨ー

クロが、知らない女の人を連れていた。

「誰?」

「転校してきた人。」


なんだ、転校してきた人か、背、ちっちゃいな。


「マネージャーになりました。姫嶋真紘です!」


「可愛いっスね」

「………」


俺は黙った。確かに、可愛いとは思う。でも、そういう女の人って、だいたい性格が悪い。俺は見てきた。友達の恋愛も、テレビに取材されていた男の人の恋愛も、可愛くても性格が悪い人が多かった。


「ドリンクどうぞ」

「あ、あああ、ありがとう」


とらが吃った。

「???」


多分、なぜとらが焦っているのだろう。そう思ったんだろう。

真紘。と言うその子は、一人一人、「どうぞ」と声をかけてドリンクを渡していた。狙っている感が出ていて気持ちが悪い。

「どうぞっ」

「………アリガト」


素っ気ない態度をとったつもりなのに、真紘は顔色を変えずにいた。

もしかしたら、真紘はまた、友達の恋愛の人と、テレビで取材されている人と、性格が違うのかもしれない。いや、当たり前だ。友達の恋愛も、テレビの取材の人も、真紘では無い。他の、真紘では無い人。俺は、見ず知らずの人を…真紘を疑っていた。

謝ろうかなと、思い始めた。嫌、謝るのは当たり前だ。

……明日、謝ろう。
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