孤爪研磨薬

「おはよぉ。研磨〜。」

まだ眠たそうな目を擦りながら桜(さくら)は挨拶をした。

「おはよう。桜」

というか、なんで同居する事になったんだっけ?

ー遡る事1日前ー

「研磨、ごめんね。私たちが結婚記念日に遠出するってなって…研磨、本当に来なくて良いの?」

「うん。2人だけで楽しんできて。」

「ありがとな。」

「大丈夫だよ。」

「何かあったらお母さん達に電話するんだよ!?」

「心配症じゃん…大丈夫だってば。」

「そう?ならいいんだけど。」

「そうだ。あの事言っておかないとじゃないか?」

「そうね。」

「何?」

「あのね。お隣の人も、明日遠出するらしくてね?その家の女の子が一人になるの。」

ここまで聞いたらある程度予想は出来る。面倒を見てやってとか、そう言う事だろう。

「だからな、俺たちが帰ってくるまで、一緒に住んで貰う事になったんだ。」

「は???」

一瞬言ってる意味が分からなかった。今、なんて言ったんだ?幻聴か?一緒に住む?ここに?

「そう言う事だから、仲良くしてね?たしか、高校二年生だから、同級生よっ!」

「いやいや。待って、え、どうゆう事?一緒にすm…」

ピーンポーン…

「あら、来たみたいねっ!ほら貴方。お迎えしてから行きましょ?」

「そうだな。」

「ほら、研磨も顔を見るくらいするぞ?」

「分かった…」

ガチャ…

「失礼しますっ。」

この声。聞き覚えがある。いつも話しかけて来る。あの人の声。

「はいっいらっしゃい!」

「お、お邪魔します。」

「仲良くしてやってな。」

「はいっ!」

「じゃあこれから、そうね。3日間くらいかしら?」

「はい。うちの両親は4日って言ってましたけど…」

「そうなのね!私の所は3日間だけだから、もう1日は私たちと過ごしましょうね!」

「ありがとうございますっ!」

「ほら研磨も挨拶しないか。」

「研磨?」

「あ、……ど、も…」

「え!?研磨家ここだったの!?知らなかった…。」

「あらー。知り合いなの?」

「はいっ!と言うか、いつも学校で話しかけてます(笑)」

「それなら安心ね!じゃあ私達は行ってくるからね!」

「研磨。手は出したらダメだぞ?」

「手なんて出さないよ…」

「はぁ…いってらっしゃい…。」

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