二口薬
ある日の朝。俺は今日も学校に行く為に電車に乗る。
「………」
震えてる女の子が目に入った。制服と、時間から見て、高校生だ。中学生は、電車通勤の奴は、まず居ないだろう。しかも、今の時間は8時30分だ。今家を出ていたら、間に合わないだろう。
「………辞めて…」
聞き取れなかった、だけど、震えてる子の後ろを見てみた。痴漢だった。
「おい。」
「は、はぁ?な、なんだね君は。大人に向かってその態度は。」
「は?お前みたいな大人、大人って言えねぇだろ。早く手ぇ離せよ。この子、震えてるし、涙目なってんぞ?俺、見たからな。お前が痴漢してんの。」
「ち、痴漢だと!?!?お、俺がいつ痴漢なんて…!!」
「俺の目で見たし、この子が一番知ってるだろ。」
「ほら、言えよ。この電車の乗客に聞こえるように。」
「お前も、お前のその汚ねぇもんこいつに擦り寄せんなよ。」
「こ、この人に…痴漢…されてましたっ。」
ザワザワ
「だってよ。痴漢された本人が言ってんぞ?ほら、俺とけーさつに行こ。」
「ちっ、お、覚えてろよ!」
「待て!」
「チッ…逃げ足の速いおっさんが。」
「あ、の。…ありがとうございます。」
「どーいたしまして。」
ピッ……ガコンッ
「ほらよ。炭酸。」
「ありが、とう、ございます…」
俺が助けた奴はオレンジ髪の胸がデカい女の子だった。痴漢されるのも、無理はない。でも、だからって、痴漢をして良い理由にはならない。
「あの、離してくんね?」
電車を降りてからずっと俺の服の袖を掴んでいるこいつ。
「ご、ごめんなさい。怖くてつい。」
「あー。じゃあもう良いよ。気が済むまで掴んでれば?」
「名前は?」
「日向葵です。」
「中学生?」
「高校生です。一年です。」
「俺は高校二年。二口堅治。」
「どこの高校行ってんの?」
「烏野ですっ。」
「そうか。俺伊達工」
そりゃそうだよな。こんな胸がデカイ奴。噂の1つくらい上がるか。
「烏野か。日向が名字だよな?」
「はい。」
「お前、兄ちゃん居る?」
「はい。居ますけど…」
「当てるわ。日向翔陽だろ?」
「ご、ご存知なんですか?」
「まぁな…。」
烏野とは、色々試合もしたしな。
「んじゃ、俺は学校行くから、お前も行くだろ?」
「はい。」
「じゃあ、なんだー。紙とか持ってるか?」
「はい。」
「俺が遅れた理由書いといたるわ。」
「あ、それと駅員に遅延証明貰っときな。俺の文と、遅延証明見せたら良いよ。」
「なにから何までありがとうございます!」
「大丈夫だよ。ほら、早よ行きな。」
「はいっ。」
視線がまだあるな。
チラッ
「!!ブンブン←(手を振ってる)」
後ろには、さっきまで半泣きだった葵の笑顔が。あー。可愛いな。てか、早くしにいと俺も遅刻するな。
結局、言うまでもなく俺は遅刻した。でも、何故か晴れた表情を保てた。俺と同じクラスの青根には睨まれちゃったけどな。
俺は授業中も思い出してしまう。葵の笑った笑顔を。やっぱり葵は、笑顔が似合うよな。
ーfinishー
「………」
震えてる女の子が目に入った。制服と、時間から見て、高校生だ。中学生は、電車通勤の奴は、まず居ないだろう。しかも、今の時間は8時30分だ。今家を出ていたら、間に合わないだろう。
「………辞めて…」
聞き取れなかった、だけど、震えてる子の後ろを見てみた。痴漢だった。
「おい。」
「は、はぁ?な、なんだね君は。大人に向かってその態度は。」
「は?お前みたいな大人、大人って言えねぇだろ。早く手ぇ離せよ。この子、震えてるし、涙目なってんぞ?俺、見たからな。お前が痴漢してんの。」
「ち、痴漢だと!?!?お、俺がいつ痴漢なんて…!!」
「俺の目で見たし、この子が一番知ってるだろ。」
「ほら、言えよ。この電車の乗客に聞こえるように。」
「お前も、お前のその汚ねぇもんこいつに擦り寄せんなよ。」
「こ、この人に…痴漢…されてましたっ。」
ザワザワ
「だってよ。痴漢された本人が言ってんぞ?ほら、俺とけーさつに行こ。」
「ちっ、お、覚えてろよ!」
「待て!」
「チッ…逃げ足の速いおっさんが。」
「あ、の。…ありがとうございます。」
「どーいたしまして。」
ピッ……ガコンッ
「ほらよ。炭酸。」
「ありが、とう、ございます…」
俺が助けた奴はオレンジ髪の胸がデカい女の子だった。痴漢されるのも、無理はない。でも、だからって、痴漢をして良い理由にはならない。
「あの、離してくんね?」
電車を降りてからずっと俺の服の袖を掴んでいるこいつ。
「ご、ごめんなさい。怖くてつい。」
「あー。じゃあもう良いよ。気が済むまで掴んでれば?」
「名前は?」
「日向葵です。」
「中学生?」
「高校生です。一年です。」
「俺は高校二年。二口堅治。」
「どこの高校行ってんの?」
「烏野ですっ。」
「そうか。俺伊達工」
そりゃそうだよな。こんな胸がデカイ奴。噂の1つくらい上がるか。
「烏野か。日向が名字だよな?」
「はい。」
「お前、兄ちゃん居る?」
「はい。居ますけど…」
「当てるわ。日向翔陽だろ?」
「ご、ご存知なんですか?」
「まぁな…。」
烏野とは、色々試合もしたしな。
「んじゃ、俺は学校行くから、お前も行くだろ?」
「はい。」
「じゃあ、なんだー。紙とか持ってるか?」
「はい。」
「俺が遅れた理由書いといたるわ。」
「あ、それと駅員に遅延証明貰っときな。俺の文と、遅延証明見せたら良いよ。」
「なにから何までありがとうございます!」
「大丈夫だよ。ほら、早よ行きな。」
「はいっ。」
視線がまだあるな。
チラッ
「!!ブンブン←(手を振ってる)」
後ろには、さっきまで半泣きだった葵の笑顔が。あー。可愛いな。てか、早くしにいと俺も遅刻するな。
結局、言うまでもなく俺は遅刻した。でも、何故か晴れた表情を保てた。俺と同じクラスの青根には睨まれちゃったけどな。
俺は授業中も思い出してしまう。葵の笑った笑顔を。やっぱり葵は、笑顔が似合うよな。
ーfinishー