六人のお願いが、私を離さない
監督生であるユウは、疲弊していた。言うこと聞かない魔獣、喧嘩早い友人たち、大人しく貧弱な身体のせいで先輩たちにいじめ狙われる日々、おまけに先日起こったオーバーブロットの事件。問題をいっぱいいっぱい抱えた監督生はとても、それはとても疲弊していた。
癒し、癒しが欲しい。なぜか分からずツイステッドワンダーランドに召喚されてしまってから目まぐるしく生活している。余りの過酷な環境から、癒しを求めて一人でふらふらと中庭へ歩いている時だった。
「~~♪~♪」
中庭から聞こえる綺麗な声。まるで子守歌のような、そんな綺麗な音色に監督生は耳を澄ませて気づけば声の方へ歩いていた。中庭の隅にある綺麗な林檎の木の下に、声の主がいた。小さな籠の中に毛糸を入れて、二本の棒を持って糸を編みこんでいる女子学生だ。どうして男子校に女子がいるのか、それを考えるほどの脳が今の監督生にはなかった。先程歌を聞いて癒され眠くなった監督生は彼女の近くへ歩み寄った。ガサッと近づく音を聞いて、彼女も監督生に気づき顔を上げて声を掛ける。
「こんばんは、初めまして……だよね?どうしたの」
「……こえ、きれいで……あの、ぅわ?!」
「わ、!」
声を掛けられた監督生は、ふと頭の中が冷静になり声が綺麗でよかったです。と言って立ち去ろうとした。しかし、木の幹に足を取られて目の前にいる女子学生へ倒れてしまった。衝撃に備え目を閉じていた監督生だったが、一向に痛みが来ないこので目を開ける。マジカルペンを持った彼女が自身に浮遊魔法をかけて浮かせており、目の前の光景は彼女が下から心配そうに監督生を見つめていた。監督生は、驚きのあまり大きな声を出して慌て始めた。その様子に彼女は少し戸惑いながらも、浮遊魔法を少しずつ解除して膝の上に頭を乗せるように着地させた。
「怪我はない?大丈夫?」
「は、あひ!な、ないです!」
「よかった。急にこけたからびっくりしたよ。怪我無くてよかったね」
現状は膝枕され上から頭を撫でられながら、無表情だが微笑みを感じる優しい瞳で見つめられる。監督生はまるで優しく包容力のある母を思い出す。もしくはAVで見覚えのある所謂人妻を思い出す。監督生の頭の中には、彼女の事を母上としか認識できなくなって、発した言葉はこうであった。
「ママ」
「……まま?」
疲弊からの赤ちゃん返りだったのだ。
――
今日はいつもよりアズールの小言が少なく、寮を抜け出して中庭で編み物をしていたら人が来た。邪魔だったかな、もしかしてここ使いたかったのかなと考えてると、まさかこけてこちらに倒れてくると思わなかった。咄嗟に浮遊魔法を使って大事故にならないよう、私の膝に頭を下して話を聞こうとしたらママと呼ばれた。私は子供を産んでないし、この子とは初対面である。疑問を抱えながら、彼へ否定をしようとしたら私の腰に腕を回してお腹に顔を埋めるようにしてきた。
「ママ!!!!!僕もう疲れたよおおおおおお、友達もグリムも言うこと聞かないし!!!!!授業も難しいし、テストもいい点とれるよう頑張ってるのに、若干バカにされる言い方される!!!!!!それに変な先輩たちから目を付けられていじめられる、もうやだ~~~~~!!!!!!」
私もびっくりの赤ちゃん返りする見知らぬ男子生徒。どうしよう、どうしようと私も少し焦った。それはびっくりするくらいギャン泣きして私のお腹に顔をぐりぐり埋めていく。聞いてる単語は不便な言葉だらけ、同情してしまった私は彼の頭に手を置いて撫でてあげる。すると少し落ち着いた彼が顔を上げて私を見つめてくるので、優しく声をかけてあげる。
「とても大変だよね。授業も人間関係も……貴方はよく頑張ってるよ。偉い、偉いよ」
「ふぇ、ままぁ」
「もしまた何か嫌な事や困った事があったら、その時はオクタヴィネル寮においで。私が解決できなくても、助けてくれる人はいるからね」
「ままぁ…………ぅう、さっきのもっかい、ききたい……ねむれない……」
「さっきの?もしかして歌のこと?いいよ、少し眠ろうね」
オクタヴィネル寮の勧誘がいいのかと思ったら、私の歌がご所望だったようだ。最近イデア先輩から教えてもらったオープンワールドRPG新ステージで、流れていた綺麗な子守唄を口ずさむ。歌詞はうろ覚えであるから、ほとんど鼻歌になるが彼の頭を撫でながら歌い続けるとすぅすぅと落ち着いた呼吸音が聞こえてきた。良かった眠れたんだ、と同時に焦った。そう膝の上で寝たということは……。
「私、寮に帰れない……」
結局、膝の上で寝る彼が起きるまで編み物をすることにした。
――
「ん゙んぅ……あれ、どこ」
「あぁ、起きた。おはよう」
「……うわぁ!!!!!?」
いつの間にか寝てしまい、心地よい枕で目が覚めると上から声が聞こえた。透き通った綺麗な声、男子にしては高く女性にしては少し低い、だが目の前にある胸の膨らみを見た途端焦って飛び起き身体を後退させた。僕は先程まで、何をした?失礼なこと、した覚えがあるぞ、と眠る前の出来事を思い出す。初対面の女子学生に赤ちゃん返り、そしてママと呼び子守歌を歌わせて膝枕してもらって寝て。監督生は、極刑に処されても文句が言えないほどの所業をしたと感じた。それと同時に、後退した場で女子学生に向けて土下座をした。
「大変、大変申し訳ございません!!!!!!!」
「ぇ……え?!ちょ、ちょっと、顔上げて、まって」
「僕は、なんて、ごめんなさい!!!本当にごめんなさい!!!!」
「謝らないで!大丈夫だからね、ほら顔上げて!」
監督生が土下座し謝る度に彼女も無表情ながら焦って顔を上げさせようとする。監督生は聞かずひたすら謝る。これのループが数分続き声を荒げ言い合った結果お互い疲れ、はぁはぁと息切れをする。そこでようやく落ち着いて話す場ができたのをきっかけにお互い自己紹介をする。
「私はオクタヴィネル寮二年生、学園特例女子学生で……みんなからはレイって呼ばれてます」
「ぼ、ぼくはオンボロ寮一年生、監督生のユウ、です」
「もしかして、魔力がないけど帰る場所が見つからず、魔獣と一緒に入学したって子ってもしかして」
「え……誰からそのこと」
「学園長から、もしかしたら関係あるかもって聞かされてたの。そう、貴方だったんだ」
「学園長から聞いてたんですか?」
「私も異世界から来たから、知ってるかって聞かれただけなの」
「…………うそぉ!?!!!!!!!!」
――
レイさんから聞く限り、日本に住んでいたところこちらの世界に来てしまったのが一年前。自分は魔力適性があったため、学園長に保護されて二年生になったと聞いた。まさかこんなところで同じ異世界から来た人がいると思わず監督生はいっぱい泣いて喜んだ。ただ、お互いどうやって帰るかはわからないため、一緒に探しませんか……と聞いたところ。
「今は……帰ることを考えてなかったんだ……色んな人に頼まれ事やまだ恩を返せてなくて……帰る方法を探すお手伝いはするよ」
そう言われても少しでも帰れる手伝いをしてくれる人が増えて嬉しかった。ただ、続けて言われた言葉に驚愕した。
「今、人魚三人と第二王子、大富豪、次期王の合計六人の婚約のお返事を答えてから帰らないと怖いし……」
「待って待って待って待って待って情報量が多すぎる」
ママは普通のママではなく、愛されてるママであることと、情報量が多くなった監督生は頭を抱えたのであった。
癒し、癒しが欲しい。なぜか分からずツイステッドワンダーランドに召喚されてしまってから目まぐるしく生活している。余りの過酷な環境から、癒しを求めて一人でふらふらと中庭へ歩いている時だった。
「~~♪~♪」
中庭から聞こえる綺麗な声。まるで子守歌のような、そんな綺麗な音色に監督生は耳を澄ませて気づけば声の方へ歩いていた。中庭の隅にある綺麗な林檎の木の下に、声の主がいた。小さな籠の中に毛糸を入れて、二本の棒を持って糸を編みこんでいる女子学生だ。どうして男子校に女子がいるのか、それを考えるほどの脳が今の監督生にはなかった。先程歌を聞いて癒され眠くなった監督生は彼女の近くへ歩み寄った。ガサッと近づく音を聞いて、彼女も監督生に気づき顔を上げて声を掛ける。
「こんばんは、初めまして……だよね?どうしたの」
「……こえ、きれいで……あの、ぅわ?!」
「わ、!」
声を掛けられた監督生は、ふと頭の中が冷静になり声が綺麗でよかったです。と言って立ち去ろうとした。しかし、木の幹に足を取られて目の前にいる女子学生へ倒れてしまった。衝撃に備え目を閉じていた監督生だったが、一向に痛みが来ないこので目を開ける。マジカルペンを持った彼女が自身に浮遊魔法をかけて浮かせており、目の前の光景は彼女が下から心配そうに監督生を見つめていた。監督生は、驚きのあまり大きな声を出して慌て始めた。その様子に彼女は少し戸惑いながらも、浮遊魔法を少しずつ解除して膝の上に頭を乗せるように着地させた。
「怪我はない?大丈夫?」
「は、あひ!な、ないです!」
「よかった。急にこけたからびっくりしたよ。怪我無くてよかったね」
現状は膝枕され上から頭を撫でられながら、無表情だが微笑みを感じる優しい瞳で見つめられる。監督生はまるで優しく包容力のある母を思い出す。もしくはAVで見覚えのある所謂人妻を思い出す。監督生の頭の中には、彼女の事を母上としか認識できなくなって、発した言葉はこうであった。
「ママ」
「……まま?」
疲弊からの赤ちゃん返りだったのだ。
――
今日はいつもよりアズールの小言が少なく、寮を抜け出して中庭で編み物をしていたら人が来た。邪魔だったかな、もしかしてここ使いたかったのかなと考えてると、まさかこけてこちらに倒れてくると思わなかった。咄嗟に浮遊魔法を使って大事故にならないよう、私の膝に頭を下して話を聞こうとしたらママと呼ばれた。私は子供を産んでないし、この子とは初対面である。疑問を抱えながら、彼へ否定をしようとしたら私の腰に腕を回してお腹に顔を埋めるようにしてきた。
「ママ!!!!!僕もう疲れたよおおおおおお、友達もグリムも言うこと聞かないし!!!!!授業も難しいし、テストもいい点とれるよう頑張ってるのに、若干バカにされる言い方される!!!!!!それに変な先輩たちから目を付けられていじめられる、もうやだ~~~~~!!!!!!」
私もびっくりの赤ちゃん返りする見知らぬ男子生徒。どうしよう、どうしようと私も少し焦った。それはびっくりするくらいギャン泣きして私のお腹に顔をぐりぐり埋めていく。聞いてる単語は不便な言葉だらけ、同情してしまった私は彼の頭に手を置いて撫でてあげる。すると少し落ち着いた彼が顔を上げて私を見つめてくるので、優しく声をかけてあげる。
「とても大変だよね。授業も人間関係も……貴方はよく頑張ってるよ。偉い、偉いよ」
「ふぇ、ままぁ」
「もしまた何か嫌な事や困った事があったら、その時はオクタヴィネル寮においで。私が解決できなくても、助けてくれる人はいるからね」
「ままぁ…………ぅう、さっきのもっかい、ききたい……ねむれない……」
「さっきの?もしかして歌のこと?いいよ、少し眠ろうね」
オクタヴィネル寮の勧誘がいいのかと思ったら、私の歌がご所望だったようだ。最近イデア先輩から教えてもらったオープンワールドRPG新ステージで、流れていた綺麗な子守唄を口ずさむ。歌詞はうろ覚えであるから、ほとんど鼻歌になるが彼の頭を撫でながら歌い続けるとすぅすぅと落ち着いた呼吸音が聞こえてきた。良かった眠れたんだ、と同時に焦った。そう膝の上で寝たということは……。
「私、寮に帰れない……」
結局、膝の上で寝る彼が起きるまで編み物をすることにした。
――
「ん゙んぅ……あれ、どこ」
「あぁ、起きた。おはよう」
「……うわぁ!!!!!?」
いつの間にか寝てしまい、心地よい枕で目が覚めると上から声が聞こえた。透き通った綺麗な声、男子にしては高く女性にしては少し低い、だが目の前にある胸の膨らみを見た途端焦って飛び起き身体を後退させた。僕は先程まで、何をした?失礼なこと、した覚えがあるぞ、と眠る前の出来事を思い出す。初対面の女子学生に赤ちゃん返り、そしてママと呼び子守歌を歌わせて膝枕してもらって寝て。監督生は、極刑に処されても文句が言えないほどの所業をしたと感じた。それと同時に、後退した場で女子学生に向けて土下座をした。
「大変、大変申し訳ございません!!!!!!!」
「ぇ……え?!ちょ、ちょっと、顔上げて、まって」
「僕は、なんて、ごめんなさい!!!本当にごめんなさい!!!!」
「謝らないで!大丈夫だからね、ほら顔上げて!」
監督生が土下座し謝る度に彼女も無表情ながら焦って顔を上げさせようとする。監督生は聞かずひたすら謝る。これのループが数分続き声を荒げ言い合った結果お互い疲れ、はぁはぁと息切れをする。そこでようやく落ち着いて話す場ができたのをきっかけにお互い自己紹介をする。
「私はオクタヴィネル寮二年生、学園特例女子学生で……みんなからはレイって呼ばれてます」
「ぼ、ぼくはオンボロ寮一年生、監督生のユウ、です」
「もしかして、魔力がないけど帰る場所が見つからず、魔獣と一緒に入学したって子ってもしかして」
「え……誰からそのこと」
「学園長から、もしかしたら関係あるかもって聞かされてたの。そう、貴方だったんだ」
「学園長から聞いてたんですか?」
「私も異世界から来たから、知ってるかって聞かれただけなの」
「…………うそぉ!?!!!!!!!!」
――
レイさんから聞く限り、日本に住んでいたところこちらの世界に来てしまったのが一年前。自分は魔力適性があったため、学園長に保護されて二年生になったと聞いた。まさかこんなところで同じ異世界から来た人がいると思わず監督生はいっぱい泣いて喜んだ。ただ、お互いどうやって帰るかはわからないため、一緒に探しませんか……と聞いたところ。
「今は……帰ることを考えてなかったんだ……色んな人に頼まれ事やまだ恩を返せてなくて……帰る方法を探すお手伝いはするよ」
そう言われても少しでも帰れる手伝いをしてくれる人が増えて嬉しかった。ただ、続けて言われた言葉に驚愕した。
「今、人魚三人と第二王子、大富豪、次期王の合計六人の婚約のお返事を答えてから帰らないと怖いし……」
「待って待って待って待って待って情報量が多すぎる」
ママは普通のママではなく、愛されてるママであることと、情報量が多くなった監督生は頭を抱えたのであった。
