宮本武蔵 夢
空欄の場合は「名前」になります
小説設定範馬勇次郎の娘で刃牙の姉。強い
見た目が幼く小柄
家系の関係で目が紫
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なんやかんやあり、人への好感度が反転する薬を飲んでしまった武蔵さん。
好感度が反転する薬とは!
その人の事を好きであればあるほど
嫌いになる。
例えば、
少し好きなら少し嫌いになるし、
すごく好きならすごく嫌いになる。
そんな薬である!
「まあ、おぬしには効かんと思うから、大丈夫じゃ。効果も1日で切れる」
「そうか、なら良い」
他人事の様にあまりにも無関心だ。あまり大事に思っていなかったのだ。
…この時は。
男がおもむろに歩き出すといつもの場所、お気に入りの庭へと向かった。
(本当に変わりないのだな…当然か、その様な気は前世でも体験した事はない)
『あ、宮本さーん』
「……む?」
庭で友人、宮本武蔵の姿を見かけたのでいつものように歩み寄る…が、いつもとなにか違う気がする。
『今日は徳川さんに用があって、さっき終わったところなんです。』
「……そうか」
『宮本さんはお散歩ですか?』
「ん…そうだな」
…なんだかよそよそしい、目も合わせてくれない、一体どうしたのだろうか。
『あ、お背中に葉っぱ付いてますよ』
手を伸ばして取ろうとしたが、払い除けられた。
「触るな。汚らわしい」
冷たい眼だ、思わずヒヤッとする
『え……あ、すみません』
確かに、勝手に触られていい気はしないか、男は何も言わず歩き、離れていく。そんなに嫌だったのだろうか、だとしたら謝らなければ。
『あの、怒ってますか?お気に障ったのなら謝りますから…』
宮本さんは何も答えてくれない
『あの…!』
「馴れ馴れしくするな」
振り返り少し強めに言われ
思わず身が強張る
「昨日までお主と友人という関係にあった自分を恨みたい気分だ。さっさと何処かへ失せろ」
黙って俯いていると溜め息をつかれた
「下らん、お前が他所へ行かないなら俺が行く。おぬしに見られるのも名を呼ばれるのも不愉快だ、二度と声を掛けるな」
再び歩を進める。
『…あ………』
「目障りだ、消えろ」
足音が聞こえなくなった、行ってしまった。
また1人になってしまった。
(………大丈夫…大丈夫…)
今更なんだ、嫌われる事は大嫌いだが慣れているではないか。そう自分に強く言い聞かせた。
1週間後…
自宅のベランダに腰掛け一休み。
あれから会わない日が続いた、徳川邸にも行っていない。宮本さんは元気にしているだろうか。手紙を出したいが、嫌われているためそういう訳にもいかない。
『なんでこうなったんだろ…』
空を仰ぎ、空を飛ぶ大型の鳥を眺めて思う、
そもそも何故嫌われなければならないのか。
(私が何か気に触る事をしてしまったなら言ってくれればいいのに、理由も何も言わず勝手に嫌うなんて…!)
怒ったり悲しんだりして最近は本調子でない
トゥルルルル♪トゥルルルル♪
家の中で電話が鳴っている。
のんびりしてたのに面倒臭いなぁ…。
重い腰を上げると受話器を手に取る
『はい、もしもし』
「もしもしワシじゃ、名前!今から来て欲しいんじゃが……いいかの?」
『え〜…それはいいですけど…』
「頼んだぞ!」
ガチャ
『相変わらず切るの早いし…、
要件言わないし…。も〜…』
まあ呼ばれたのだから行かなければならない、あの人に会ってしまうと思うと気が重いが、仕方ない。
_______________
徳川邸前到着
『すみませーん、範馬です』
「あ、名前様、ようこそおいで下さいました、どうぞこちらへ」
『お邪魔します』
門から屋敷まで加納さんの後ろを着いて歩く
「今日は珍しく門からお入りになられましたね」
『んん…そうですね、まあ、たまには普通に門からお邪魔するのもいいかと』
「そうでしたか。
さ、どうぞ、徳川様がお待ちです。」
『ありがとうございます』
一例して加納さんと別れる。
屋敷内では侍女の方に案内してもらい、
部屋へと案内される。
ここに来るまでずっとキョロキョロ辺りを見渡している。
…やめよう、今は徳川さんに用があるんだ、あの人に会ったら無視すればいい、本人にそう言われたんだから。
そう思い襖に手をかけると横に引く
『失礼します。要件はなんです…か…』
今一番会いたくなかった人がいる。
なんか凄い暗いオーラ出てる気がするし。
もしかして要件というのはその人と関係ある事なのか?
「よく来てくれた、まぁ、座れ」
『…ハイ、失礼します』
用意された座布団に正座する。
なんだろうこの緊張感
「あのな、この間、2人の間で…なんか……一悶着あったよね?」
『……はあ』
「実はな、それには事情があって…」
〜薬の説明中〜
「…という事なの」
『…………つまり?』
「つまり、好感度が逆になってしもうとったんじゃな」
え?どういうこと?つまり言ったことも逆になるって事だよね、多分。
…私に見られたり名前を呼ばれたりすると嬉しいってこと?
それって…。いやいや、違うよな。
「名前」
『あ、はい』
…返事してよかったのかな、今の
「すまなかった。心にも無い辛辣な言葉を吐いて突き放し、おぬしの善意の手を払い除けた」
深々と頭を下げる宮本さん、この人昔の偉い人だよね?そんな事させては駄目だろう…。
『…私の事嫌いになってないですか?』
「無論、慕っておる」
『……とりあえず、あなたが私のこと大好きだってことはわかりました。
なので、もういいですよ。
お願いですから、頭を上げて下さい。』
ゆっくりと上げられる頭、そこにはいつもと変わらない…精悍な顔があった。
『でも、悲しかったんですからね』
「ん…すまん」
また視線を落とし、申し訳なさそうにする
『もう嫌いにならないで下さいよ?』
「勿論だ」
2人の仲直りを祝福する様に
空は青く、澄み渡っていた。
「若いのォ〜…」
(こりゃひょっとして…。ひょっとするかものォ…)
屋敷の主は呑気にそんな事を思いながら、お茶を啜った。
〜前日談〜
薬の効果が切れた朝、
空は清々しい程晴れていた。
「…………」
そんな日に似合わず男は
"とても"珍しく落ち込んでいた。
それはもう漫画などの表現でよくある 青い縦線が頭に付いているのかというほどに、どよーん…と。
自分は、友に対して何をした?
冷たく突き放し辛辣な言葉を投げかけ、善意の手を払い除け…
男は悔やんでいた
______________
「姉ちゃん?今家に帰ってますよ、聞いてないんですか?」
「ん…うむ、そうか…」
たまたま遊びに来ていた少年、刃牙は、
いつにもなく落ち込んだ様子を見て聞いた。
「え、なに、喧嘩でもしたんスか」
「ん…喧嘩というよりは…俺が一方的にな…」
その言葉を聞いて察したのか、
弟は姉について語り始めた。
「姉ちゃん最近、俺と会うと笑いながら武蔵さんの話ばっかりするんですよ。
本当によく笑うようになった。
貴方のお陰だ、ありがとうございます。
でも、姉ちゃん泣かしたら許さないんで。」
勇ましい目つきで睨みつける、
男は思わず苦笑いをした。
「…そうか…、肝に銘じておく」
「頼みますよ、本当に」
男は少し落ち着いたようだ。
そして、少年に礼を言い、意を決して徳川のいる部屋へと向かった。