宮本武蔵 夢
空欄の場合は「名前」になります
小説設定範馬勇次郎の娘で刃牙の姉。強い
見た目が幼く小柄
家系の関係で目が紫
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鳥のさえずりが聞こえる、もう朝なのか。
顔が寒い、布団から出るのをためらってしまう。
だが引っ越しの準備をしなければならない。
体を丸めて掛け布団から出た頭をしまう、壁に額がこすられてザリザリと音がした。
…壁?
まだ重い瞼を無理やり開いて目をやる、
壁…ではなく胸板だ、傷がある。
しばらく思考が停止する
誰の?…ああ、宮本さんか。
なぜ?横になって…そのまま寝たから…?
どのくらい寝起きの回らない頭で考えていたのかわからない。が、今の自分は驚くほど冷静だ。さて起きようかと身を起こし立ち上がろうとしたその時
『うわ…』
腕を大きな手に捕らえられ布団へと逆戻り。
体の正面をくっつけあう形になり、両腕で抱きしめられ身動きが一切とれない。この男はなにかを抱きしめていないと安心できないのだろうか。
『宮本さーん?起きてください』
腰をぽんぽんして起こすつもりだったのだがまったく効果がない。というか起きているのかどうかもわからない。
(困ったな…)
流石にもうすぐ人が来るだろう。徳川に知れたら茶化されるのは目に見えている、それは避けたい。
とりあえず力一杯押してみようと試みる。
息を吸い力を込めて腕で押す。
グググググ……グイイ…
が、細腕で大男をいくら押したところでびくともしない。
(いや、駄目だよな、わかってましたよ)
わかってはいたが一か八かで試しただけだ。少し息を乱してしまったので一旦落ち着ける、どうしようか…。
(これは…ダメだよな、諦めよう)
現実を受け止め二度寝。人ってこんなに暖かいのだなと暢気に考えていると…なんだか部屋に気配がする。
「…なにやっとんじゃ?」
いつのまにか襖から徳川が顔を覗かせていた。誤解されてしまうかと一瞬焦ったがすぐに冷静さを取り戻すことができた。
『徳川さん、おはようございます』
「おはよう。それは…どういう状況?」
老人は怪訝な顔をして頭にハテナを浮かべる。
『宮本さんが離してくれなくて』
「へえ…。なんで一緒に寝とるんじゃ?」
『いや…この人が入ってきて…』
「ヤったんか?」
『ヤってない、寝ただけ』
正確にはヤられそうになったがそこは伏せる。
「…まあええ、じゃあの」
『えっ』
「赤飯用意しとくわ」
『ええ…?なんで…』
無慈悲に閉じる襖、静まる室内、離さぬ男。なぜ赤飯なのか…と思いつつ静かに深呼吸すると目を閉じて再度眠りについた。
________________
重い。
何が重いって、大柄なくせしてこんな小柄な私に体重をかけて(加減はしているだろうが)寄りかかってくるこの男がだ。
『宮本さん』
「ん?」
『重いです』
「そうか、ではこうしよう」
重さがなくなったかと思うと肩を抱かれ引き寄せられる。ポスンと互いの側面がぶつかり自分の頭もぶつかる。
『いえあの…』
「まだ不満か?」
『不満というより…近いですね、今日』
「浮かれてる」
『え?』
彼はこちらに目をやる。
「お主と恋仲になれた事で浮かれている」
そう言うとすぐにツンとそっぽを向いてしまった。この人なりの照れ方なのだろうか。
『……フッフフフ、そうでしたか』
「…笑うな」
口を塞ぐようにキスされる。
突然のことに驚いてしまい身体が固まる。
「如何した?」
『あ…いや、少し驚いただけです』
「…そうか」
『あの…私、こういうの慣れてないので、事前になにか言って下さると嬉しいです』
「慣れておらんのか?」
『…もしかして慣れてるとか思ってました?』
「ん……そう、だな。」
『はー…もう…』
まさか男慣れしていると思われていたとは…、少しショックだ。…まああっち系では少し慣れているが。
『……私ね、村では…色々酷いことされてきましたけど…こうやって』
男の大きな手を取り 繋ぐ。
『男性と、手を繋いだり…キスしたりは…、宮本さんが初めてなんですからね……』
照れてゴニョゴニョと小声になっていったがきちんと聞き取ってくれたようで男は にまーっと嬉しそうに笑みを浮かべた。
「名前…」
顔を寄せられ愛おしそうに すり…と顔に頬擦りされる、髭がチクチクして、なんだか父さんとの時間を思い出す。なんだろう、この感じ。温かい、胸がじんわりと温もっていく。これが_幸せなのだろうか。長い間忘れていた感情だ。
でも、この人は父さんじゃない。
「どうした?」
急に大人しくなった私を心配して顔を覗き込む男性。そうだ、今やっとわかった。私は、この人のことが好きなんだ。
『ね、宮本さん』
片手でちょい ちょい と手招きすると思惑通り耳をこちらに傾けてくれた。一番距離が近くなった瞬間を狙って、触れるだけのキスをする。
「……名前」
『ちょっと黙ってて下さい…』
繋いだままの手をぎゅっと握り今度は私がもたれかかる。腕に頭をぐりぐり押しつけて息を吐く。
『はぁ…、好きです…』
好いた女がこんなに愛おしいことをしてくる_。にやけまくる顔を見せまいと必死な男であった。
ー
「眠いな」
『人を抱き枕にしておいてよく言えますね』
「良い抱き心地であった」
『ああ…そうですか…』
「あまり寝付けなかったがな」
『あ、もしかして緊張して何回も目が覚めたとか?』
からかうように言うと急に黙り込んでしまった。何度声をかけても目も合わせてくれない。
『え…?まさか…』
「…勘が鋭いな、厄介だ」
『え…図星ですか〜、へえ〜』
「喧しい…」
諦めたように呟く。よく見るといつもより目が細い、眠いというのは本当のようだ。
『私のせいですね、はい。じゃあまた寝かしつけてあげますよ。よければ膝使います?』
「良いのか」
『どうぞ?』
思っていたほど重くない。仰向けでこちらの顔を見上げて見つめられる。
「元の姿になってはくれぬのか」
『…元に?…あんまり好きじゃないんですよね』
「俺は好きだ」
『……そうですか』
元に戻す、人前でこの姿はまだ少し抵抗がある。
「うむ、やはり綺麗だ」
『…物好きですね』
「かもな」
手を伸ばし、頬を擦り撫でられる。
「髪に触れたい」
『髪ですか?いいですけど』
私の髪を触る、なんだかこそばゆい。
「……好きだ」
『……髪好きなんですか?』
「そうではない…」
ジロリと恨めしそうな目線を向けられる。
「わかっているだろう?」
『あら、バレてましたか?』
「当たり前だろう、いつからの付き合いだ」
『あはは…』
「……ふふ」
なんだかご満悦だ、変なひと。
しばらくすると暖かい日差しと体温でなんだかウトウトしてきた。
懐かしいなぁ、こんな天気のいい日は下の子達とよく山菜採りに山奥に行ったな、ワラビとかツクシとかをたくさん持って帰ると…母さんが喜んでくれたんだ。
あと、縁側に座ってると弟達が膝に頭を乗せてきて…。
膝にある頭を撫でる。なんだか…ゴワゴワしている、うちの家系はみんなサラサラなんだけどな…。
「名前?」
ハッと下を見ると彼がいた、ぼんやりしていて間違えてしまったのだ。
咄嗟にバッと手を上げる。
『あ……すみません、間違えました』
「いや、続けて構わんぞ」
その時、男が目のあたりに触れしばらく見つめ合う。
「変わった目色だな」
『あ…やっぱり、そうですよね…』
「俺の好きな色だ」
『…紫、好きなんですか?』
「俺の時代では高貴な色とされていてな」
そういえば、テレビで聞いたことがある。この人のせいで嫌いだったこの容姿が好きになりそうだ。
『…私も、あなたの目の色好きです』
「…これがか?」
驚いたように自らの目に触れる。前々から思っていた、綺麗な赤色。
(表紙では赤色でしたので)
「お前も中々変わっているな」
『ふふ…。じゃあ、変わり者同士うまくやっていきましょう』
「…だな」
意図した訳では無かったが、西野カ◯のような台詞になってしまった。そんな二人を影から見守る屋敷の主と女中がニヤけながら盗み聞きをしていた。
「若いのォ〜…」
「若いですわね〜…」