宮本武蔵 夢
空欄の場合は「名前」になります
小説設定範馬勇次郎の娘で刃牙の姉。強い
見た目が幼く小柄
家系の関係で目が紫
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訳あって一年失踪していました。
徳川邸久しぶり〜、みんな元気かな。
前のように塀に飛び乗り 伝い歩く。
あれ、あそこにいるのは…
宮本さんだ、懐かしい(大体一年ぶりだけど)。
刀を持ち舞い落ちる青葉を切っている、どうやら相変わらずの様子。
忍び寄りたいけれど武器を持っている相手にはやめておいた方がいい。咄嗟に攻撃しちゃったとかあるから。
でも納刀したな、大丈夫かな…?
意を決し、気配を消して近づく。
初めて会った日を思い出すな。
『こんにちは』
「ん…」
大きな眼がこちらを捉えた瞬間、
さらにじわじわと目蓋が開いた。
『背後取られるの、2回目ですね』
「…名前か?」
『はい、お久しぶりです』
「……何処へ行っておった」
『ええと…』
「嫌だったか」
なんのことだという顔をすると彼は言葉を続けた
「俺の恋情は迷惑であったか」
(え…違う、違う。)
「ならば、二度とあんな事は言わん。困惑させてしまい すまなかった」
まずい、完全にそうだと思ってる。
誤解を解かないと
「あれは無かった事に」
パンッッ!!
『宮本さん!』
両手で高い位置にある顔を挟み少し下へ下げる。
『違います!迷惑なんかじゃありません。あなたのせいじゃないんです…』
「……そうか」
静かに目を細めて困り顔で微笑むと、まるでなにも持っていないと主張するように両腕を広げた。
「抱擁しても、良いか?」
『…いいですよ』
優しく、強く、抱きしめられた。
少し震えている様な気がしたが気のせいか。
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話は変わって徳川さんにご報告。
『私、引っ越します』
「引っ越すゥ!?何処にじゃ?」
『私の実家にです。』
そう言うと徳川さんは納得したように頷き煙草に火をつける。
「…そうか、ついに…か」
白い煙を吐き出し手元に置く
「ワシは構わんよ、お主が選んだ道ならば」
『ありがとうございます、色々と本当にお世話になりました。ろくに恩返しも出来ず申し訳ありません。』
「ええよ、もう十分じゃ」
満足げにニッと笑う老人。正座したままお辞儀し、戸へと向かい閉める直前、
『徳川さん』
「ん?」
『大好きだよ!元気でね』
パタン
「…っはぁ〜…あの子にゃ敵わんわ…」
(寂しくなるのぉ…1人になるのか…)
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月の綺麗な日だ、こんな日はお月見をしつつお酒を飲みたくなる。
まあ、そんなわけにもいかないのだが。
縁側には、いつものように彼が座っていた。
『宮本さん』
声を掛けると彼は、待っていたと言わんばかりにこちらに目を向け 動じなかった。
『お時間頂いてもよろしいでしょうか。私の過去をお話したいと思います。』
「……いいだろう」
こちらに向き直り聞く体制を整えてくれた。
…大丈夫。
拒絶されたとしても、もう二度と会う事はない。
『そんな改まれると照れますねぇ』
「まあ、座せ」
少し離れた正面を示し座るよう促す
『ん〜、どこからお話ししましょうかね』
とりあえずは初めから話そう、全ては出生の瞬間から始まったのだ。
(省略、話し終えた後…)
「…何故いつも笑っている?」
『……え?』
質問に驚く...というより内容に驚いた。
『……嫌でした?』
「いや、疑問に思っただけだ。
いつも心にも無い笑みを浮かべている」
『…笑ってればその場が和みますし、周りの人達も愛想がいいって言ってくれます。人に本心を見抜かれる事もない。だから、気づいたら無意識に笑ってる…』
「俺の前では無理して笑わずとも良い」
(平気で恥ずかしいことをよく言えるな…)
『あと……言い忘れてましたが。私、引っ越します。生まれ育った家で、昔のように炭を焼いて町の人達に恩返しするんです。
その…もし、よかったらなんですが…
一緒に住みませんか?』
「…一緒に」
『あ…でも、逃げも隠れも出来ない生活を送りたいあなたには無理ですよね…』
忘れて下さい…と、言い終わる前に
「では、そうしよう」
『え……本当ですか?』
「俺は嘘は言わん」
『でも、こことは比べ物にならないくらい小さいですよ?』
「構わん、お前と共に居られるのならば俺は何処へでも行こう」
『ええ…?もう、冗談はよして下さ…』
「冗談でこんな事をしているとでも?」
いつもより格段低い声で囁かれ身が震えた
近い、口づけされそうな距離だ。
全然見えなかった。
「これほど俺を染め上げておいて、よくもそんな事が言えるものだ」
私の髪を掬い上げさらさらと落とす
「__して、返答はまだか?」
あの時の返事を急かしてくる。
受け入れてくれるのか?私のすべてを。
とはいえ…軽い気持ちで承諾は出来ない。
『えーっ…と…』
「何か不都合でも?」
『…貴方は凄い人で、その…身分違いです、それに生きてきた時代も違います』
「はぁ……どんなことを言うかと思えば…。身分?時代?それがどうした」
うわ…恋は盲目っていうけど、本当だな…。
言った人はすごい。
『ええと…でも、無教養で世間知らずでちんちくりんの田舎娘で、この容姿だって…。釣り合いませんよ…』
「釣り合わないなど誰が言った?」
『それは…』
「名前」
膝をついて目線を合わされる。
いつもの鋭い目ではない、優しい目だ。
「お前と家庭を築きたい、生涯 傍にいてくれ」
優しく抱きしめられる、その腕からは懇願の想いが伝わってくる。
(…いいかな?この人に心を許しても)
おそるおそる手を伸ばし抱きしめ返す
ぎゅっ
『……こんな私でよければ…!』
ギチチチチ
『あイタタタタ!!』
「ん、すまん…つい…」
急に力を込めるから痛かった…。
自分の力量をわきまえて欲しいものだ。
というかこの人 抱き締めるの好きだね。
「これからは嫌という程愛してやる。覚悟しておけ」
『は、はい、覚悟します』
「ふふ、お前は小さいな」
『あなたからしたら大体の人は小さいでしょう…』
いやそれはないか、私は特に小さいけど…、この人も花山さんやピクルよりは小さいか。
「成程…、惚れたほうが負けとはよくいったものだ」
互いの体が離れると名残惜しそうに優しく腕を掴まれ親指の腹で撫でられる。
あ、いつもの目つきに戻った。
「それはそうと、おぬしへの恋文が束になったんだが、読んでもらえるか?」
『…はい?』
(恋文?ラブレターのこと?)
宮本さんが立ち上がり部屋の奥へ消えるとゴソゴソ音を立てて何かを探しているようだった。
音が止むと暗闇から出てきた。
片手には…引き出しが掴まれていた。
ドサッ…と音を立てて隣に置かれると同時に男も引き出しの向こう側に腰掛ける。
『……これ…』
「安心せい、きちんと現代語で記した」
中を覗き込むと…先程言った通り束になった手紙が大量に入っていた。
その一つを手に取り読んでみる、
一文字一文字達筆で書かれている…が。
内容がとても過激だ、いやらしいというわけではないがなんだか…すごく情熱的だ。思わずくしゃりと紙を握り私は斜め下の引き出しを見た。
こんなのがこんなにあるの?
どれだけ好きなんだ。
改めて1年間失踪していたことを反省した
続けて横の人物を見る。
「どうだ?」
『…すごく……嬉しいです』
目から下を手紙で隠して答えた、墨汁の匂いがする。
『ま、まあ!これは持ち帰ってゆっくり読むとして、これから引っ越しの準備をしなきゃいけないのでもう帰りますね。』
手紙を戻してどう持ち帰ろうか頭を捻って悩む。
…引き出しごと持ち帰ろうか?いやそれは…
「…もう帰るのか」
『? はい』
「泊まっては行かぬのか」
『もう、これからは一緒に暮らすでしょう?』
「それはそうだが…」
なんだかとても寂しそうだ。
…いや、それもそうか。
これほど慕っている想い人が一年も行方不明だったら暫くの間離れたくないだろう。
良心が痛む…
『…………ふー…。わかりました、今夜は泊まります』
あからさまに表情が明るくなる。
効果音をつけるとしたら…パアァァァ!だ。
…待てよ?まさか、やらないだろうな?恋仲になった者同士とはいえ…、流石に早いよな…?
「ん」
部屋の中でこちらへ来るよう促している。
よかった、ちゃんと布団はふたつだ、
ホッとして布団へ入る。
(……別に…嫌なわけじゃないけど…)
「ほれ、きちんと掛けろ」
布団を首まで掛けられる。
この人ちゃんとあたしのこと大人だと思ってる?すごい子供扱いされるんですが。
横を見ると横向きに肘をつき頭を支えた状態でこちらをガン見している宮本さん。
『…また、眠れません?』
「そうだな、眠りにはつき難い方だ」
『へえ…』
だからといえそんなに見つめられるとこちらが眠れない。
…よし、腹を括ろう。
『……一緒に寝ます?』
顔は…変わらなかった。
が、ぱちぱちと瞬きしている。
「…その様な事を申して良いのか?」
『……?』
「俺はお前を好いている、同じ寝床へ入ったならば…どうなるかわからんぞ…?」
ヒェ…こわ…男はおちょくっちゃダメだな。
でも…
『…いいですよ』
聞こえるか聞こえないかという程小さな声で呟いた。なんだか恥ずかしくなり照れ隠しに掛け布団を目の下まで被る。
がそれは意味の無い行動だった。
布団が浮いたと思うと私の上には四つん這いに覆い被さった宮本さんがいた、暗くてどんな顔をしているのかわからない。
「この武蔵を誘惑するとはな。俺は忠告したぞ?」
顔の横に置いてあった自分の手に大きな手が重なると思わず胸が高鳴った。
…このままされるのだろうか。
「そんなに物欲しそうな顔をするな、手籠めにされたいのか?」
手籠め…?どういう意味だろう。
でも、なんでもいい。
手を伸ばして相手の頬を撫でる。
『どうなったっていいですよ?』
目を細めて笑みを浮かべる。
まるで悪戯を思いついた子どもの様に。
「……!…ハア……」
気がつくと横向きに寝かされていた。
彼は私の背中にぴったりくっついている。
『あれ…宮本さん?」
「丁度良い抱き心地だ」
『それは良かった』
お腹をぽんぽんされる、前私がやったものだ
「お前の傍は安らぐ」
『そうですか、私もあなたの傍にいると安心します。』
「…もう眠れ」
眠くなってきたな、背中あったかい
彼女の寝息だけが聞こえる。今まではこれほどまで女に想いを馳せるなど有り得なかった。
色町などで遊んだことはあるが…
こんなにも大切にしたいと思えるのは初めてだ。
…これほど小さな体で、どれほど苦しい思いをしただろう。
愛する家族とともに幸せに生きてきた世界から、いきなり剣を握らねば生き残れぬ世界に放り出されさぞ辛かったろう。
「生涯をかけて、幸せにしよう…」
男は彼女の小さな手を握り、珍しく早く眠りにつくことができた。