宮本武蔵 夢
空欄の場合は「名前」になります
小説設定範馬勇次郎の娘で刃牙の姉。強い
見た目が幼く小柄
家系の関係で目が紫
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「字を教えてくれんか」
『字、ですか』
(確かに、この時代の字は読めないって言ってたな…)
だが名前もあまり頭が良くないのできちんと教えられるか心配だ。
『良いですけど…じゃあ……』
部屋の端から絵本を取り出して指差す。
『これ、平仮名は読めますか?』
「ん…なんとなくは解るが、知らぬ物もあるな」
『そうですか…では、ひらがなから練習して、一緒に書いていきましょう』
「頼む」
あ、い、う、え、お、か、き、く、け、こ…
………………濁点、丸…カタカナ…繰り返し…
『これで一通り終わりですね。では最後にテスト、試しをします』
「承知した」
『それでは「ぬ」を書いてください』
「………こうか?」
『正解です、次は…』
何問かテストをしたが、宮本さんは覚えが早くすぐに覚えてくれた。
『すごい、完璧ですね』
「ふん、これくらい容易い」
腕を組み 誇らしげに言う姿がかわいい。
『それじゃあ、次は漢字ですね』
超特急で全年齢向けの漢字ノートを買ってきた。
『はい、これは漢字を練習する本です。これがあれば一人でも出来るので、私がいなくても大丈夫ですよ』
「ん…そうか、かたじけなかったな」
数日後…晩。
あれから数日経ったが、上達しているだろうか。心配ないとは思うが…
『こんばんは、順調ですか?』
「おお、大分上達したぞ。今は文を書いておる所だ」
(ほんとだ、えっとなになに…)
【健太くんは、お茶が好さだ】
あ、「好き」が「好さ」になってる、宮本さんでも間違える事あるんだ、教えた方がいいよね。
机に肘をついて近づき声を掛ける。
(ここは)
v
『宮本さん、好きです』
その言葉に驚いたように眼を見開いた宮本さん。
『……どうしました?』
「…いや……」
何か戸惑っている様子だ、どうしたのだろう。
『…あ………』
そんな事を思っていると外からピンク色の花びらが舞い込んで宮本さんの頭に乗った。よく見ると床にも花びらが撒けている、あとで掃除をしなければ。
『そういえば、もう春ですね。』
机に手をつき右手で頭の花びらを取る。
この花は…
『桜ですか、綺麗ですね』ニコッ
ズキューーーーーン!!!💘トスッッッ‼︎‼︎‼︎
キューン
キューン
キューン…
ーン…
(エコー)
『…………?おーい、宮本さーん?』
目の前で手を振ってみるがこちらを見つめたまま反応がない、本当にどうしたのだろうか。
パシッ
音がしたと思うと先程まで振っていた手は宮本さんの大きな手に掴まれていた。
「名前…」
『はい?』
だんだんと顔が近づいてくる、いや近い。
少し恥ずかしく思い 視線を横に移す。
「何故目を逸らす?」
『いや〜、近いなと思って』
パッと相手を見ると鋭い眼が視線を絡め取り、離せなくなった。
机越しにじわじわと顔が近づく、
とはいえ一方的にだが。
『あの、宮本さ、んっ』
唇に何かが触れる感触があった。頭が真っ白になるとはこういうことか。髭が少しチクチクした。
今気づいたが後頭部に手がある。ドラマで観たことあるな〜と、意外と呑気にも考えていた。
ハッと気づくともう離れていて、きっと自分は今呆気に取られた顔をしているだろう。
『………………』
ポカーン
顔文字で表すと( ゚д゚ )こんな顔だろう。
開いた口が塞がらないとはこの事だ。
「ん…気恥ずかしいか」
『…………いやいや、何を言いますか』
「そうか?」
頭にあった手で髪を掻き上げられ耳が露わになる。
「とてもそんな風には見えないが」
耳が火傷する程熱いので今は絶対に真っ赤だろう、耳に出るタイプなのだ。
「そんな顔も出来るんだな」
見たことない、優しい顔…
いや、待てよ?そもそも何故キスされた?
『いや、いやいや、そもそも…なんでキスされないといけないんですか?』
「きす?」
『あ…えっと………せ、接吻の事ですよ!』
「? 俺が好きなのだろう?」
『え?』
なんだそれ?そんなこと言ったおぼえ…
【宮本さん、好きです】
あ…言った、いや言ったけど、違う。
訂正すべきだろうか。
『えー…あの……違うんですあの…』
「ん?」
今度は机に両肘をついて頭を抱える、
ついでに出ていた耳を隠した。
『あの… 私が言ったのは、字が間違えてるという事でして…』
ここ、と「好さ」の部分を指で指す、そこはすぐに理解してくれたようだ。
「なんと、そうであったか。__では言い直そう」
言い直す?何を?と思ったが相手はすぐに口を開いた。
「惚れてしまった」
『……………はい?』
思わず素っ頓狂な声が出てしまった
「皆まで言わねばわからんか?好きだと申しておるのだ」
正気なのだろうかこの人は、こんな女を好きになるなんて相当なスキモノしかいないと思っていたが…。
『で…でも…!この前、お前とは友達だから、変わる事は無いって言ってたじゃ無いですか!』(友情参考)
「………言ったな」
うーん、と首を捻り考え込む仕草をしている。この間に逃げようかとも思ったがそれが成功したからといってこの現実からは逃れられないだろうと思いやめた。
「では友達はもう止めだ」
『はあ…!?でもあの、いきなりキスするのはちょっと、駄目ですよ…!』
「後悔はしていない。
だが、何と言われる覚悟もできている」
『いや…別にいいんですけどねキスくらい…。でも…』
今までに体験した事のない会話にもごもごと口籠ってしまう。しかもファーストキスの後なのでまともに目を合わせることも出来ない。
「ハア…では今一度言おう。名前、慕っている」
片手を取られ、真っ直ぐに見つめられる。触れている手は硬く力強い、男性の手だと思うと余計に恥ずかしさが増した。
ついに顔まで赤くなってしまい手の甲で隠すが何の意味もないだろう。
『いや………ダメです…』
「好きで何が悪い」
『悪くは…ないですけど…』
たしかに宮本さんはカッコいいしこの告白もとても嬉しいので正直OKしたい。でも、私は過去に大きな出来事に巻き込まれている。
それを話さないと多分、宮本さんを騙す事になってしまう。
この容姿だって__本当の姿ではない。
『…………ごめんなさい、気持ちは凄く嬉しい。でも、私にはまだ話していない事が沢山ある。それを隠したままではダメです。』
眉をひそめ淡々と話す。そうだ、いつかは話さなければならない、あの事件について。でも、それを話してしまえば、軽蔑され、嫌われてしまうだろう。友達にはもう戻れない。
そう、もはやこの時点で、友で無くなる事は確定だ。
がっかりさせてしまっただろうか、ただでさえ身分違いなのに失礼な態度をとってしまった。
「そうか、では話してみろ」
『………』
今自分の生い立ちを説明するには夜が明けてしまう、また今度がいいだろう。
『…また、日を改めさせて頂いてもいいですか?』
「構わん、いくらでも待とう」
ひと笑みし、立ち上がる。
もう夜だ、だが星はまだ見えていない。
「外はもう暗いぞ、平気か」
『大丈夫です!私強いので!』
いいと言っているのに廊下をズカズカと歩きついて来る、意外と頑固なのだろうか。
『…おやすみなさい、また今度』
「ああ…また今度」
静かに戸を閉め別れる。
「心臓が煩いな」
春が来たとはいえ、夜はまだ寒い、
互いの唇にはまだ感触が残っていた。