宮本武蔵 夢
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小説設定範馬勇次郎の娘で刃牙の姉。強い
見た目が幼く小柄
家系の関係で目が紫
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ある日の朝、徳川からの提案は突然だった。
「武蔵殿、友が欲しくはないか」
「友…とな」
「おぬしは400年前の人間、この時代で親しく接せる人間が必要ではないかと思うてな」
「…ふむ……そうだな」
「では、堅苦しくもなく物知りな子を紹介しよう」
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ある日の朝 一本の電話があった。こんな時間にかけてくる人物など一人しかいない。気持ちよく寝ていた名前はうるさく響く着信音で起こされてしまった。眠い目をこすり受話器を手に取る。
『はい、もしもし…?』
「おお名前、起きておったか」
『あなたに起こされたんですよ…。
それで、こんな時間になんの用ですか?』
「実は会ってもらいたい者がおるんじゃ」
『……はぁ?』
徳川の言う 会ってもらいたい人…、というのは大体格闘技関係者なのであまり気が進まない。世界一強い女と聞いた相手が名前に喧嘩をふっかけトラブルになったこともある。
もちろん秒で返り討ちにしたのだが。
「とりあえず来てくれんかなァ〜?」
『…まあ、いいですけど…』
「ヨロシクね♡」
プーップーッ…
『切るの早いな』
めんどくさいなぁ…と呟くとため息をつく。せっかくの休日だったが約束を破るわけにもいかず、重い体を起こしてパパッと支度を終わらせて家を出る事にした。
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『ごめんください』
……いつもならば直ぐに出迎えてくれるはずの加納が出てこない、なにかあったのだろうか。このまま待つのもなんだと思いなにか行動を起こそうと周囲を見渡す。
『しょうがないな……よっ…と』
辺りに誰もいない事を確認した後少し屈んで少し高めにジャンプ、そのまま塀の上に立つ。
『えっと………いない…朝早くから呼び出しておいて留守とかどうなってるんですか…』
塀を歩きながら探すがどこにもいない、一度降りてもう一度インターフォンを鳴らしてはみたが無反応。ふらふらと散歩がてら あちこち塀上を彷徨い大きな池がある所まで来るとやっと人がいた。結構大柄な男性だ、青い作務衣を着ている。どうやら池に放された鯉を眺めているらしい。そのとき、いいことを思いついたのか名前は悪戯顔でニヤリと口角を上げる。
いきなり声をかけて脅かしてやろうと考えているのだ。気配を消して壁を降り、そろりそろり…、ではなく自然な動きで歩み寄る。男性の背後に立つとすぐに只者ではないことに気づいた。ざんばら髪によく鍛えられた筋肉、高い背丈…おそらく180㎝位だろうか。
『こんにちは』
「む……?」
男は素早くこちらを向いた、鋭い目つきで本当に強者の顔だ。驚いたように大きな目をパチパチさせていると思うとゆっくりと首を傾げた。
「おぬしは…?」
『突然すみません、私は範馬 名前と申します、徳川 光成さんはいらっしゃいますか?』
「徳川なら先程何処かへ行ったぞ」
『そうですか…。では、また出直します。ありがとうございました』
思ったように驚かなかったのでつまらないと内心思いつつ礼を言い男に背を向け、そのまま一旦帰ろうとすると後ろから呼び止められた。
「待たれい」
『はい?』
「何故気配を消して近づいた?」
『あ……ええと、その、悪戯心で………つい』
「悪戯とな」
ふむ、と言い黙ってしまった。顎に手をやり考えるそぶりをしているが不愉快な気分にさせてしまったのだろうか。
『あ…お気に触れましたか…?』
「いや、構わん。ただ…」
『ただ?』
「あそこまで気配を消せておる者は初めてだ。まったく気づかなんだ。おぬし、何者だ?」
ギクッとする。何者だ?などと聞かれて、世界一強い女です!なんて言える訳がない。この男は体格からして地下格闘技に関係の無い人物には到底思えない。元はと言えば自分の所為なのだが、正体を明かさない為にはどうにか誤魔化すしかないだろう。
『いや…私気配消すの得意なんですよね!普段から存在感というか、影が薄いので!』
アハハ…と後頭部をかきながらよくあるポーズでごまかす、いや、ごまかせていない。男は腕を組み不思議そうな顔をしている。
「すまんすまん!急なトラブルが起こってな、おお名前!丁度良いところに」
『!徳川さん!もう、呼んでおいて酷いですよ』
「スマンて!おお、既に会っておったんじゃな」
『あ、この人の事だったんですか?』
「そうじゃ。ほれ、自己紹介するんじゃ」
『初めまして、範馬 名前です』
「宮本 武蔵と申す、宜しく」
『よろしくお願いします』
「…………え〜っと…あの〜… 名前さん?」
『はい?』
「宮本武蔵って名前…聞いた事ないかな?」
…有名な人なのか?目をキラキラさせているところを見ると驚いて欲しいようだが。生憎男には全く見覚えがないし名前も聞いたことがない。世情に疎く世間知らずとよく言われる名前は知る由もなかった。
『ありませんね』
「テレビとかでも…」
『テレビはあまり見ないので…』
「新聞とかでも…」
『新聞はとっていないので…』
「マ、マジかぁ〜〜〜…」
「この武蔵を知らぬと申すか」
『…はい、すみません』
「ま、説明するとな…」
400年前、剣豪、クローン、降霊…いつしか都市伝説などで聞いた信じがたい言葉が次々と飛び出し頭が追いつかず途中からはまったく話が耳に入ってこなかったが数百年前の人間が蘇ったのだという事は理解できた。
『えー…っと…全部まとめると……生き返らせたって事ですか?』
「ん〜……まあそうじゃな!」
『へえ……。…、それで?私を呼び出したのは…』
「おぬしに武蔵殿の友になって貰いたい」
『……正気ですかアナタ』
「ワシは至って正気じゃ」
本当に何を言っているのだろうかこの人は。そんな昔の偉い人と平々凡々(?)な私が友達に?どう考えても無理だろう。別に嫌というわけではない、ただもっと相応しい人がいるのではと思っただけだ。
『いやいや、私には無理です』
「まあまあ!そういうことじゃから、じゃ!!」
『あっ、ちょっと』
逃げるように行ってしまった…。こんな事になった元凶は縁側に座りお茶を啜りながらゆったりのんびりしている。なんだかお爺ちゃんのような雰囲気が出ているが気のせいだろうか?
小さくため息をつき、その人物に近づく。
『えっと…宮本さん?』
「ん、おぬしか」
『あなたの友達になってほしいと徳川さんから言われたのですが…』
「うむ」
『大丈夫でしょうか…?』
「大丈夫とは…?」
『ええと…私なんかがその、有名なあなたとお友達になっていいのでしょうか』
「俺は構わんぞ」
『そうですか…』
「では、これからは友だ」
『…はい、よろしくお願いします』