眠れぬ夜叉と微睡む花
夢主の名前
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「今日は来ないのか……」
完全に寝入る前の微睡みの時に、ふとそんなことが頭をよぎった。
いつ来るかはいつもキキョウ次第で、キキョウなりにタイミングを計ってくるのか、不都合な時に来たことはない。
「(昔以上にあいつが何考えてるからわからん……)」
嫌ならば拒絶すればいい。
だが、問題は嫌ではないことだ。
突き放したままの方が、キキョウを一時は傷つける事になっても、その方が良かったのはわかっている。
それでも、拒絶しなくていい都合の良い理由を、向こうから出されてしまった。
甘い香りで情欲を引き摺り出されるときの心水を飲んだ時のような酩酊感。
しっとりとした肌に包まれた柔らかい肉の感触。
人間だろうが、業魔だろうが、男という生き物は、肉体的な快楽に弱いところは変わらないらしい。
「(駄目だ寝れん……素振りでもするか)」
すっかり頭が冴えてしまって、木刀を持って甲板へ向かっていた時、ぱったりとキキョウと出会した。
キキョウ自身も驚いたようで、僅かに目を見開いたが、すぐにいつも通りになる。
「どちらに?」
「寝付けないから甲板で素振りでもしようかと思ってな」
「こんな夜中にですか?目を閉じているだけでもした方がいいんじゃ……」
「……お前は?」
「え?」
「俺のとこに来る時、お前いつも先に起きてるだろ。いつ寝てるんだと思ってな」
「いつって……大体、その、気絶していつもそのまま……」
「お前の言う通り業魔でも、寝不足ってのはあんまりよくないだろ?
当番ある日は起こしてやるし、なんなら代わってやるから……?」
ロクロウの首と後頭部に、キキョウの手が添えられて、下を向かされる。
触れるだけの優しい口付け。
それだけでも、ロクロウが言葉を飲みこまされるには十分だった。
「……訓練で夜更かしすることもありましたし、時間がある時にお昼寝したりしてますから、大丈夫ですよ」
「あ、ああ……」
「程々になさってくださいね」
キキョウが、困ったように笑いながらそう言うものだから、ロクロウはそれ以上は何も言えなかった。
完全に寝入る前の微睡みの時に、ふとそんなことが頭をよぎった。
いつ来るかはいつもキキョウ次第で、キキョウなりにタイミングを計ってくるのか、不都合な時に来たことはない。
「(昔以上にあいつが何考えてるからわからん……)」
嫌ならば拒絶すればいい。
だが、問題は嫌ではないことだ。
突き放したままの方が、キキョウを一時は傷つける事になっても、その方が良かったのはわかっている。
それでも、拒絶しなくていい都合の良い理由を、向こうから出されてしまった。
甘い香りで情欲を引き摺り出されるときの心水を飲んだ時のような酩酊感。
しっとりとした肌に包まれた柔らかい肉の感触。
人間だろうが、業魔だろうが、男という生き物は、肉体的な快楽に弱いところは変わらないらしい。
「(駄目だ寝れん……素振りでもするか)」
すっかり頭が冴えてしまって、木刀を持って甲板へ向かっていた時、ぱったりとキキョウと出会した。
キキョウ自身も驚いたようで、僅かに目を見開いたが、すぐにいつも通りになる。
「どちらに?」
「寝付けないから甲板で素振りでもしようかと思ってな」
「こんな夜中にですか?目を閉じているだけでもした方がいいんじゃ……」
「……お前は?」
「え?」
「俺のとこに来る時、お前いつも先に起きてるだろ。いつ寝てるんだと思ってな」
「いつって……大体、その、気絶していつもそのまま……」
「お前の言う通り業魔でも、寝不足ってのはあんまりよくないだろ?
当番ある日は起こしてやるし、なんなら代わってやるから……?」
ロクロウの首と後頭部に、キキョウの手が添えられて、下を向かされる。
触れるだけの優しい口付け。
それだけでも、ロクロウが言葉を飲みこまされるには十分だった。
「……訓練で夜更かしすることもありましたし、時間がある時にお昼寝したりしてますから、大丈夫ですよ」
「あ、ああ……」
「程々になさってくださいね」
キキョウが、困ったように笑いながらそう言うものだから、ロクロウはそれ以上は何も言えなかった。