言えない理由
夢主の名前
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「キキョウ。今日は楽しかった?」
「はい、母様」
母からその言葉を聞くたびに、今日も一日が終わるのだと実感する。
そして、同時に罪悪感も湧き起こる。
ランゲツの家に行くときは、ロクロウといる間は、キキョウは自然と笑えるし、当たり前に呼吸が出来るような気持ちでいられる。
この息苦しい家に、母一人だけを残して。
「ごほっ!ごほっごほっ……!」
「母様っ……!もう横になられてください」
「ええっ……!」
母には自分以外、誰もいないのに。
なのに、あの時、あの森でロクロウと迷って一夜を明かした日の朝、キキョウは“帰りたくない”と思ってしまったのだ。
帰ってきたキキョウを見るなり、どれだけ心配したか、私をひとりにしないで、とさめざめと泣く母の姿が胸に痛かった。
あの時、一緒に叱られてやるといったロクロウは、思っていた叱られ方とは違い、少し狼狽えながらも母に頭を下げて謝罪していた。
以来、気まずいのか、ロクロウは、キキョウの母とはあまり顔を合わせず、合わせても最低限の挨拶で終わらせてしまうことが多い。
いつか、その蟠りが解けてくれたらいいのだが。
「お薬と白湯を持ってきますね」
「ええ、ありがとう」
部屋を出たキキョウは知らない。
背を向けた途端、キキョウを見る母の目から温度が消え失せることを。
「はい、母様」
母からその言葉を聞くたびに、今日も一日が終わるのだと実感する。
そして、同時に罪悪感も湧き起こる。
ランゲツの家に行くときは、ロクロウといる間は、キキョウは自然と笑えるし、当たり前に呼吸が出来るような気持ちでいられる。
この息苦しい家に、母一人だけを残して。
「ごほっ!ごほっごほっ……!」
「母様っ……!もう横になられてください」
「ええっ……!」
母には自分以外、誰もいないのに。
なのに、あの時、あの森でロクロウと迷って一夜を明かした日の朝、キキョウは“帰りたくない”と思ってしまったのだ。
帰ってきたキキョウを見るなり、どれだけ心配したか、私をひとりにしないで、とさめざめと泣く母の姿が胸に痛かった。
あの時、一緒に叱られてやるといったロクロウは、思っていた叱られ方とは違い、少し狼狽えながらも母に頭を下げて謝罪していた。
以来、気まずいのか、ロクロウは、キキョウの母とはあまり顔を合わせず、合わせても最低限の挨拶で終わらせてしまうことが多い。
いつか、その蟠りが解けてくれたらいいのだが。
「お薬と白湯を持ってきますね」
「ええ、ありがとう」
部屋を出たキキョウは知らない。
背を向けた途端、キキョウを見る母の目から温度が消え失せることを。