水練
夢主の名前
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ある日、たまさか暇を持て余していたシグレが、ロクロウをからかってやるかと屋敷の廊下を歩いて、ロクロウの部屋へ向かっていると、その許嫁である少女、キキョウが向こうから歩いてきた。
「来てたのか」
「シグレ義兄様」
楚々とした仕草でシグレに会釈をするキキョウの、いつも丁寧に切り揃えられている黒髪がかすかに湿っていて、毛先が緩く癖を作っていた。
「昼間っから風呂でも入ってたのか?」
「今日は暖かいので水練をしておりました」
「そりゃ感心なこった。ロクロウは?」
「……お部屋にはいませんでした」
「へぇ?どこ行きやがったんだかなあいつ。
たまには俺もやるかねぇ水練。
お前も付き合えよ。その後で稽古つけてやるぜ?」
「あ、いえ……!すみません、この後、急ぎの用事がありまして」
「ならその用事終わるまで付き合ってやるよ」
「でっ、でも……」
「おおそうだ。水練やるなら褌流されちまってもいいように、替えを用意しておかねぇとなぁ!」
「あの、もうわかってらっしゃいますよね……やめてあげてください……」
来た道をとって返し、廊下から庭の木へ、庭の木から屋敷の塀へと飛び移り、逃げるキキョウ。
その反応も跳躍力も大したもので、大抵の人間ならば難なく逃げきれるだろう。
━━シグレが相手でなければ。
「腕上げたなぁお前。いや、この場合は脚か」
「本当にやめてあげてくださいシグレ義兄様!」
キキョウが必死に脚を動かして走るも、シグレはからからと笑い、付かず離れずの距離で追ってくる。
ついに場所の検討をつけたシグレは、キキョウを追い越して岸に出てしまった。
「だっはっはっはっはっ!マジで流されたのかよお前!」
「っせぇなっ!!なんでくんだよ!!」
「ぜぇっ・・・・・・ひゅうっ・・・・・・!」
逃げきれなかった無念と、隠し切れなかったロクロウへの申し訳なさで、キキョウは息を切らしながらその場にうずくまった。
「来てたのか」
「シグレ義兄様」
楚々とした仕草でシグレに会釈をするキキョウの、いつも丁寧に切り揃えられている黒髪がかすかに湿っていて、毛先が緩く癖を作っていた。
「昼間っから風呂でも入ってたのか?」
「今日は暖かいので水練をしておりました」
「そりゃ感心なこった。ロクロウは?」
「……お部屋にはいませんでした」
「へぇ?どこ行きやがったんだかなあいつ。
たまには俺もやるかねぇ水練。
お前も付き合えよ。その後で稽古つけてやるぜ?」
「あ、いえ……!すみません、この後、急ぎの用事がありまして」
「ならその用事終わるまで付き合ってやるよ」
「でっ、でも……」
「おおそうだ。水練やるなら褌流されちまってもいいように、替えを用意しておかねぇとなぁ!」
「あの、もうわかってらっしゃいますよね……やめてあげてください……」
来た道をとって返し、廊下から庭の木へ、庭の木から屋敷の塀へと飛び移り、逃げるキキョウ。
その反応も跳躍力も大したもので、大抵の人間ならば難なく逃げきれるだろう。
━━シグレが相手でなければ。
「腕上げたなぁお前。いや、この場合は脚か」
「本当にやめてあげてくださいシグレ義兄様!」
キキョウが必死に脚を動かして走るも、シグレはからからと笑い、付かず離れずの距離で追ってくる。
ついに場所の検討をつけたシグレは、キキョウを追い越して岸に出てしまった。
「だっはっはっはっはっ!マジで流されたのかよお前!」
「っせぇなっ!!なんでくんだよ!!」
「ぜぇっ・・・・・・ひゅうっ・・・・・・!」
逃げきれなかった無念と、隠し切れなかったロクロウへの申し訳なさで、キキョウは息を切らしながらその場にうずくまった。