許さない怒り、許されていた罪
夢主の名前
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
『シグレ義兄様……』
『どうした』
『……あまり、ロクロウ様に意地悪しないであげてください』
『お前いっつもそれだなぁ。女に守られるなんざロクロウも情けねぇ』
『義兄様ッ……!』
『俺に言うこと聞いてほしいならわかってんだろ?』
そう言いながら、シグレに投げ渡された木刀。
一度も勝てた試しはないが、それでも構えずにはいられない。
何処に打ち込んでも防がれて、木刀なのに掠るだけでも骨まで斬られそうに錯覚するような、凄まじい剣気。
それでもなんとか太刀筋を掻い潜って、やっと見えた狭間に無理矢理押し込もうとした切先は、いつの間にか手の中から木刀が消えてしまっていたことで、シグレに届くことはなかった。
キキョウがその事実を認識するよりも早く、シグレに剣を弾かれていて、背後に虚しく木刀が転がる音が聞こえた。
『ははっ!今のはすげぇ良かったな!咄嗟に弾かなきゃ目ん玉持ってかれてたぜ!』
『……』
また負けた。
それでも、まだ遠く及ばないキキョウの剣の上達を、シグレは褒めてくれる。
どうして、他人の自分にそうしてくれるように、実弟のロクロウにはしてやらないのだろう、とキキョウの胸には苦い思いが広がるばかりだった。
『……』
『あ……』
ふと、気配を感じて、そちらを見ればロクロウが背中を向けて、歩き去っていくところだった。
『待って……!』
縋るように呼び止めるキキョウの声は届なかったのか、あるいは届いているのに応えなかったのか、ロクロウがキキョウの方を振り返ることはなかった。
『どうした』
『……あまり、ロクロウ様に意地悪しないであげてください』
『お前いっつもそれだなぁ。女に守られるなんざロクロウも情けねぇ』
『義兄様ッ……!』
『俺に言うこと聞いてほしいならわかってんだろ?』
そう言いながら、シグレに投げ渡された木刀。
一度も勝てた試しはないが、それでも構えずにはいられない。
何処に打ち込んでも防がれて、木刀なのに掠るだけでも骨まで斬られそうに錯覚するような、凄まじい剣気。
それでもなんとか太刀筋を掻い潜って、やっと見えた狭間に無理矢理押し込もうとした切先は、いつの間にか手の中から木刀が消えてしまっていたことで、シグレに届くことはなかった。
キキョウがその事実を認識するよりも早く、シグレに剣を弾かれていて、背後に虚しく木刀が転がる音が聞こえた。
『ははっ!今のはすげぇ良かったな!咄嗟に弾かなきゃ目ん玉持ってかれてたぜ!』
『……』
また負けた。
それでも、まだ遠く及ばないキキョウの剣の上達を、シグレは褒めてくれる。
どうして、他人の自分にそうしてくれるように、実弟のロクロウにはしてやらないのだろう、とキキョウの胸には苦い思いが広がるばかりだった。
『……』
『あ……』
ふと、気配を感じて、そちらを見ればロクロウが背中を向けて、歩き去っていくところだった。
『待って……!』
縋るように呼び止めるキキョウの声は届なかったのか、あるいは届いているのに応えなかったのか、ロクロウがキキョウの方を振り返ることはなかった。