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ユヅキ
じゃ、行ってくる。
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ユヅキ
帰りはちょっと遅くなるかも。
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気を付けてな。
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せっかくの休みなんだ、ゆっくり楽しんでおいで。
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ソウタ君にもよろしく。
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ユヅキ
うん、ありがと。伝えるよ。
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玄関先で見送る父の太陽みたいな破顔に振り返れば、私も釣られて笑顔になった。
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仕事がオフの今日。
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幼馴染のソウタとの待ち合わせの時間を気にしながら、ガレージに停めてある愛車のワーゲンまで歩を進める。
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ユヅキ
なんていうか…、
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ユヅキ
いつの間にか、秋だな…。
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ついこの間まで、広がる青い夏空をとても近くに感じていたのに。
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セピア色に染まる自宅の庭が視界に入れば、
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当たり前の季節の移り変わりも忙しすぎる日々のせいかとても新鮮に思えて、
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こういった休日でないと一気に見過ごしてしまう。
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ユヅキ
今日は仕事のこと忘れて、のんびりしなきゃ…。
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苦笑混じりにひとりごちて、
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辿り着いた愛車に鞄を投げ込み、運転席に乗り込もうとした…とき。
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キザキ
あ、ねえねえ!
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ユヅキ
……
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キザキ
ちょっと待ってくれる?
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ユヅキ
…、
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キザキ
ねえ、キミに言ってるんだけど。
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ユヅキ
———
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急いでいるときのいきなりの呼声。
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まるで袖口をクイッと引っ張ってくるような呼び声に思わずイラつく。
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仕方なく声のする方に目を遣れば、
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スラリとした上背のある青年が、柔らかな笑顔を浮かべてこちらに向かってくるのが見えた。
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ユヅキ
(え、誰、あれ…)
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キザキ
こんにちは。
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ユヅキ
…こんにちは…、
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キザキ
今日はいいお天気だね。
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ユヅキ
まあ、そうですね…。
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キザキ
お出かけ日和になって良かったね。
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穏やかに言葉を並べたその人物は、
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遠くからでもその身なりや佇まいが洗練されているのが分かる。
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ユヅキ
(こんな人、知らないんだけど…)
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さらにこちらに近づくにつれて、
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その青年がなかなかの綺麗な顔立ちをしていることも明らかになった。
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