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少し続いた沈黙の後。
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ユヅキ
…ちょっと、コーヒー飲みに行ってくる。
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おもむろに立ち上がって、キッチンカウンターに置いたままの愛車の鍵を手にする。
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ユヅキ
(今日は本当にいろんなことがあった日だったから…)
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なんとなく、一人になりたい気持ちになった。
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それは、疲れたときに多く見られる私のルーティン。
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ソウタ
コーヒー?
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ソウタ
そんなのここで飲めばいいじゃん。
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ユヅキ
なんかちょっと、カフェで味わいたい気分なんだよね。
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ソウタ
それじゃ、俺も付き合うよ。
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言うが早くその場から立ち上がったソウタは、ジャケットを手に取りソファーから離れた。
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ユヅキ
……
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ユヅキ
(…マズイな…、)
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ユヅキ
(こういったときのソウタは、言うことを聞いてくれない確率が高い)
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鼻歌混じりにジャケットの袖に腕を通すソウタを見つめながら、断る理由を巡らせる。
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ユヅキ
…あのさ。
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ユヅキ
ちょっと、本も読むかも、だしさ。
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ソウタ
本?
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ユヅキ
うん。
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ソウタ
じゃ、俺もマンガ読もっかなー。
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ユヅキ
いやあの、
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ユヅキ
無理に付き合ってくれなくても大丈夫だから。
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ソウタ
無理なんかしてねーよ、
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ソウタ
俺も行きたい。
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ユヅキ
ほとんど話とかしないと思うよ?
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ソウタ
構わねーから、俺も行くっ。
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ユヅキ
はあ…、
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ユヅキ
まるで駄々っ子だな。
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ソウタ
俺が運転するからさ、
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ソウタ
な、ユヅキ、いいだろ?
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ユヅキ
……
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ユヅキ
(…仕方ない)
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懇願するようなソウタの瞳の煌めきに、つい押し負ける。
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ユヅキ
放置されても文句言わないでよ?
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ソウタ
絶対言わねー。
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ユヅキ
分かった…、じゃ、行こっか。
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一人でのブレイクタイムを諦めて、
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廊下に続くドアへと踵を返したそのとき、
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キザキ
女の子がこんな時間から外出なんて、
あまり感心しないね。 -
踏み込んでくるように届いたキザキさんの言葉は、
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足早に進もうとする私の歩みを止めた。
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