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教室


新しいクラスの、俺は窓際の一番後ろ。

そして、廊下側から二列目の後ろから三番目に……吹雪士郎という名前の男子がひっそり座っていた。

決して活発なタイプには見えないが、どこか華があって凛としたオーラを放っている。

ふとまっすぐに振り返られて、俺がずっと視線を送っていたことが……ばれたのか?


「サッカー部、見に行かない?」

今日はオリエンテーションだけで終わりだ。
生徒たちが帰り支度を始める教室で、もうすでに鞄を提げた吹雪が音もなく俺の机の傍らに立っていた。

窓からは上級生がグラウンドでボールのドリブル練習をしているのが見える。

「ああ、いくか」

俺は立ち上がり、それから意外に思って吹雪を見下ろした。

この身長と華奢な体型。ふわっとした雰囲気で……屈強なメンバーが揃う高校サッカー部へ?

「あれ………?僕がサッカーやってること知らなかったっけ」

「…………」

「僕は、君と会ったことあるよ…豪炎寺くん」

吹雪そういって首を傾げてにっこりと笑った。

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