花へ送るアリア
夢小説設定
この小説の夢小説設定小説内に出てくる少女と花の名前を変更することが出来ます。
勿論変更しなくても楽しめますがせっかくなら…と思い設置してみました。草原で歌いたい方は是非。
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そんなことを考えていると、どこからか強い風が吹いてきた。少女が思わず目をつぶると風にのってかすかに音が聞こえてきた。しかも、この音は。
「…花の音だ…!」
そう、少女が歌う度に風と一緒に聞こえた音。側にいてくれた花が奏でた音だった。今までにないくらい微かで、されど美しいメロディーが少女の心の中にあった悲しみをゆっくりと溶かしていく。
目を開けた時、少女の足元に一枚の花びらが落ちていた…。あの花のものだ。少女が拾い上げると何か文字が刻まれていた。
「…Grazie…。」
Grazie。イタリア語で「ありがとう」という意味。そのたった一言がこの花びらに刻まれていた。
もしかしたら、花は自分の話していることを理解していたのかもしれない。弱かった自分も、心が動かされることの感動を知った時の涙も、自分が変わっていく姿も、全て…。花は消えたのではなくて、自分がもう一度自分と向き合えたことを機にどこかへ旅に出たのかもしれないと少女は思った。大好きだった風に揺られて、大好きな歌と共に。
「お礼を言う方は、私だったのにな…。」
前を向く勇気をもらった。心を動かされる感動をもらった。好きなことを好きといえる幸せをもらった。あの花が、少女をもう一度光の道へ誘ってくれたのだ。
そんなことを考えながら少女はいつもの場所に座り、ギターを持つ。少女が紡いだ曲は様々な表情を魅せ、感情を教えてくれた花に、ふさわしい歌。
「いつか、また会えたら…ううん、きっと…。」
きっとこの世界のどこかで、花は歌っているのだろう。風に揺られて、柔らかな優しい桃色を空に照らしながら。そうあるのなら、また会いたい、というよりもどこかで幸せであってほしいと思った。
どうか幸せで、光の道を歩けるように…。心からの感謝と願いを込めて、花が好きだった風と共に少女は歌い始めた。
花へ送る、アリアを。