花へ送るアリア
夢小説設定
この小説の夢小説設定小説内に出てくる少女と花の名前を変更することが出来ます。
勿論変更しなくても楽しめますがせっかくなら…と思い設置してみました。草原で歌いたい方は是非。
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朝が待ち遠しい、なんて感じたのはいつぶりだっただろうと思いながら少女は草原へ向かっていた。曲が完成してあの場所に行く前夜はほとんど眠れなかった。あの花が自分の足枷を外す勇気をくれた。早くお礼が言いたい、この曲を聴かせたい、もう私は、私になれたって言いたい。想いが少女の足を一歩、また一歩と草原へ向かわせる。坂を乗り越えて、いつもの花がいる場所へ、たどり着いた。
花は、どこにもいなかった。
「…どうして…?」
周りを探してみても、花どころか花びら一枚すら見つからない。そこに広がるのは一面の緑。少女が共に過ごしてきたあの柔らかな色は存在していなかった。いつもみたいに、音を奏でて、いつもみたいに、曲を聴かせてあげたい。少女が願った「いつも」は、そこに存在しなかった。
「…。」
もう、言葉を紡ぐことすら出来なかった。悲しみが少女の心を飲み込んでいた。曲を聴かせる相手は、心の支えだったあの花はいなくなってしまった。