花へ送るアリア
夢小説設定
この小説の夢小説設定小説内に出てくる少女と花の名前を変更することが出来ます。
勿論変更しなくても楽しめますがせっかくなら…と思い設置してみました。草原で歌いたい方は是非。
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それからというものの、少女は休みの度に花のもとへ足を運んだ。そして、必ず花のもとで歌うようになった。少女が歌う度に柔らかな風が吹き花は歌うように、その身体を揺らした。日や季節によって花は不思議なことに違う印象を魅せた。時には明るく前を向く冒険家のような印象を、時には眠れない夜、優しく側にいて背中を撫でてくれる恋人ような印象を。嬉しそうに音に身を委ねる花の姿に少女は見惚れた。いつしか花のようになれたら、と思いながら音を奏でるようになった。
ところがある日、少女が草原に行くと花が少しだけしおれているように見えた。花は咲いている。太陽に向かってその柔らかな桃色を空に見せている。でも、その姿が少しだけ心もとない様に見えた。
「どうしよう…お世話なんてしたことないのに…。」
少女は戸惑った。とりあえず出来ることはしなくてはと思い、その日から草原に来るたびにお世話をするようになった。水をあげたり、真っすぐのびるように支柱を立てたりしてみた。しかし効果はなく、来る日も来る日も少女はしおれて風に揺れることも出来なくなった花をただ見つめることしか出来なかった。
「どうしたら…貴女はまた音を奏でてくれるのかな…」
少女の中で花と過ごす日々が、花を想う気持ちがどれほど大きかったか。少女は初めて気が付いたのだ。下向きだった少女が自分の好きなことと向き合えるようになった。「美しい」という感情で人は涙を流せるのだということを知った。今間違いなく少女が未来を楽しみに出来ているのはあの花が側にいて、奏でる音を嬉しそうに聞いてくれたからだ。
「…あ」
少女は1つの答えにたどり着いた。