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MIRROR

先生(声のみ)「賞状。優秀賞。有栖川ひまり殿。貴方は一年間たゆまぬ努力を続け、非常に優秀な成績を収められました。よってここに表彰し、更なる飛躍を期待するものであります。」


生徒(声のみ)「すごいね、ひまりちゃん。一年生の頃から連続で優秀賞でしょ。すごい頭いいよね」

生徒(声のみ)「しかも生徒会長でバドミントン部キャプテンでしょ。会長だって過去一番の生徒会への満足度だったくらい良かったし、この前のバドミントンの新人戦は県大会優勝どころか全国まで行ったんでしょ。先生たち皆誇らしげだったよ。進路だって東大合格確実だって言ってたし…」

生徒(声のみ)「本当にすごいよ…同じ人間のはずなのにさ…。何でも完璧に出来て、性格だってすごく優しいし、女神様みたい」

生徒(声のみ)「そうだよね…あ。でもこの前さ、中学の頃からひまりちゃんと一緒だった子が言っていたんだけど…ここ最近のひまりちゃん、前以上に完璧になったけどちょっと怖くなったって」

生徒(声のみ)「え?」

生徒(声のみ)「何か、目つきが変わったって。前もその子オーバーワークを心配して声かけたんだけど結構強めに断られたって」

生徒(声のみ)「そうなの?」

生徒(声のみ)「あくまで人づてに聞いた話だから勘違いとかもあると思うけど…」

生徒(声のみ)「…でも、そう言われてみるとひまりちゃん、ちょっと痩せた?前から綺麗で細かったけど、それ以上に…ちょっと体が心配になってくるっていうか…」

生徒(声のみ)「確かに…最近ひまりが心の底から笑ってる顔、見てないかも。目が…何か変わった気がする。やっぱり心配だな…声掛けようか?」

生徒(声のみ)「やめた方がいいんじゃない?本人が大丈夫って言ってるならそれでいいと思うし、また怒られちゃうかもよ?」

生徒(声のみ)「そ、そうだね…」


先生(声のみ)「ひまりさん、貴女は本当に素晴らしい!皆の誇りですよ!」

ひまり母(声のみ)「流石ねひまり!これなら将来も問題ないわね!」

生徒(声のみ)「ひまりちゃんすごいね!憧れちゃう…!」


全員(声のみ)「これからも期待してるよ!有栖川ひまりさん!」


ひまり「ありがとうございます。頑張ります」



サイラス「…ひっどいよね~。結局ひまりは本当の自分だった僕を殺して、地獄の道を選んだんだから。周りから見たら順風満帆、でもひまりからしたら…己を押し殺し続ける毎日…いや…彼女はその苦しみさえ忘れていくんだろうね。本当の自分を消し去ったことでもう彼女は痛みも、苦しみも、忘れていくんだ…そしてうわべだけの安心と幸せを得る。いつか限界になっても手遅れなのに…大体ひどいよ。鏡越しに僕のこと殴ってきてさ…おかげで致命傷になって死んじゃったんだからさ…」



サイラス「ひまり…僕の願いは最後まで届かないんだね…」


サイラス「ねぇ、お願いがあるんだ。…これは届くことのない僕の独り言なんだけどさ。もしこの先彼女を…ひまりを見つけても、今までと同じ彼女だと思わないでほしいんだ。彼女はもう変わってしまって…もし誰かが近づけば、きっと彼女は弱い自分を思い出して…君をどうするか…分からないから。…え?もし彼女に何かあったらどうするかって?…そんなの、簡単だよ。…迎えに行くんだ。今度こそ、本当のひまりになって…ね…」
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