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先行く貴女を、見つめる僕は

春羽(声のみ)「…な~…優菜!」

優菜(声のみ)「えっ?」

春羽「も〜大丈夫?久しぶりに会ったと思ったらぼ〜っとしちゃって!」

優菜「あぁ…ごめんごめん。大丈夫」

春羽「やっぱり忙しいの?女優業」

優菜「今はそこまででもないよ。舞台も一段落して、雑誌のお仕事とかも撮影終わって編集待ちだし」

春羽「やっぱりすごいね優菜は!あの後ちゃんとオーディション受かって、仕事も軌道に乗って、舞台でヒロインも努めて…いつも私の前を歩いてる…それに何より留学行く前よりすっごく美人になっちゃって!」

優菜「え、そう?あんまり気にしてなかったんだけど…(鏡かスマホのカメラアプリを見るふり)あぁでも確かに、前の役柄もあったからちょっと女性らしくしたかも。髪とかメイクとか。雑誌とSNSで研究したかいがあったな〜」

春羽「…うん。そうだよ!優菜すごく綺麗!あの人よりもずっと…ずっとちゃんと綺麗!」

優菜「あ、ありがと…急に来たね…あれ、あの人って?」

春羽「あっ…」

優菜「…まさかとは思うけど。春羽…また私が知らないところで我慢してた?」

春羽「いやいや違うの!本当はちゃんと相談しようと思ってたの!優菜が1番だから!!ただ…その…」

優菜「いいよ。責めるつもりは1ミリもないから。」

春羽「うぅ…ごめんね優菜……」

優菜「…勿論、あたしが春羽の隣にいて1番に支えてあげられないのは悔しいよ。すごく…。でも、今春羽が幸せならそれでいいの」

春羽「優菜…」

優菜「今春羽は…幸せ?」

春羽「…うん!優菜に会えて、すっごく幸せ!」

優菜「そう。良かった」

春羽「そういえば、中学校の時も話してたね!幸せとは何かって作文が出た時。愛する人たちのそばにいることって言って、優菜に呆れられたっけ」

優菜「…中学…?」

春羽「ほら、卒業前の最後の課題!優菜も悩んで書いてたじゃん!」

優菜「そう…だったかな…」

春羽「そうだよ!優菜の幸せは【定められた運命に抗えること】だったっけ?」

優菜「…そう、だったかな…ごめんね春羽。最近もの忘れ酷くて」

春羽「そうなの?」

優菜「うん。日常のこととか、予定とか…手帳に書いてアラームも鳴らさないと、思い出せないくらいで。台詞とかはちゃんと覚えてるから大丈夫だとは思うんだけど…」

春羽「そうなの…?病院とかは?行った?」

優菜「うん。念の為MRIとかも撮ってみようって。見た感じはただの疲労だって言われたんだけどね」

春羽「だめだよ!ちゃんと見てもらわないと!役者さんは身体が資本なんでしょ?!それに優菜には自分のこと、大事にして欲しいの!」

優菜「もうわかった、わかったってば!ちゃんと大事にするよ」

春羽「まったく…すーーぐ優菜は他人を優先するんだから…」

春羽「あ、ごめん私だ」

優菜「大丈夫だよ。それに私も鳴ったし…」

優菜「…春羽?電話なら出てきていいよ?」

春羽「あっごめん!大丈夫大丈夫!送られてきた写真で思わず笑っちゃっただけだから」

優菜「…そっか」

春羽「優菜こそ、平気?そろそろ時間じゃない?」

優菜「あ、うん。レッスン行かなきゃ。ごめんね忙しなくて」

春羽「こっちこそごめんね!忙しいのに」

優菜「大丈夫。幸せそうな春羽に会えて嬉しかったよ」

春羽「私も!留学から帰ってきて、優菜に会えてよかった!またすぐに会おうよ!今度は旅行とか!」

優菜「ふふっ。いいね。予定調整するね」



すみれ「おかえり。ごめんね迎えに来るの遅くて」

優菜「いえ。私が急に予定を前倒しにしてしまったので…すみません」

すみれ「謝らなくていいよ。優菜のことだもの…何かあったんでしょ?」

優菜「…!!!」

すみれ「…あたしで良ければ聞くよ。【俳優・音葉星来】はあまりにも完璧で周りにも気をつかって…マネージャーのあたしの前だけでも優菜でいていいのよ」

優菜「…すみれさん。私…ずっと自分を騙してたんです。太陽を目指すためには、星になるためには。己より誰かを優先するべきなんだって。それがいつか自分の幸せになるからって…。そしたら、自分がなんだったか忘れちゃったんです。何でこんなに頑張ってるんだろって。俳優になったのも自分が太陽の隣に立つために積み上げたものを昇華させたかったからって最悪な理由…気づいたら空っぽだったんです、私…」

すみれ「…理由はそうであっても。優菜に、星来に出会えて良かったって人はすごく多いと思うよ。かくいうあたしも…その空っぽの星に魅了された1人なんだから」

優菜「すみれ…さん……」

すみれ「自分を責めなくていい。優菜が積み上げてきたことは、本物だよ」

優菜「…すみれさん。お願いがあります。仕事の本数、増やしてくれませんか?今はもっと…音葉星来として生きたいから」

すみれ「…この間言ってたもの忘れがって話。それの結果が出るまでちゃんと病院に通う。それが条件だよ」

優菜「…ありがとうございます…」
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