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ロスタージュ~無神論者のアルケミーと透明花~

がくぽ(声のみ)「長い、道のりだった」



がくぽ「私の持つ才能や価値だけに目を向けてくる人間じゃない、私自身を見てくれた人…花に出会った6年前は、幸せだった。私を見て、未来を信じてくれた。だが…醜い「人間」という生き物は、私の幸せすら、奪っていった。あの事故の日から…私の未来は壊れてしまった。それだけじゃない。私の気持ちすら…奴らは踏みにじっていった」

政府役人(声のみ)「がくぽ君、今回の件は辛かったね…。大変だっただろう。でも、安心してくれ。君の才能次第では、君が望む未来を取り戻す事が出来る。…大丈夫。場所も資源も、我々が用意しよう。後は…はじまりの扉を開くだけだよ」

がくぽ「…私はその日、思い知ったんだ。人間というものは、どこまでも醜く、どこまでも強欲であることを。かくいう私も…同じだ。その一言で、彼女を取り戻したいと願ってしまったんだ。たとえ、道を踏み外したとしても…。だから私は、彼らの話にのり…いいや、利用して、塔に入り、長い道のりの中で研究を重ねてきたんだ。彼女を蘇らせ、今度こそ、誰にも邪魔されない悠久の時を与える。2つの解を揃え、不老不死を与えるHorologistになると…!!」



がくぽ「違う…あの時の私は、あの時も、【永遠】を望んていたんだ!でも、あの頃は…あの時の私は、知らなかったんだ。ただ純粋に…何事も果てることのない【永遠】の世界を作る事が、数多の贄の元でなりたっていることを…!もう、私は…彼らと同じ、醜い心を持ってしまったのかもしれない。いや…違う!!私は、ただ、純粋に…!君を、取り戻したいだけなんだ…許してくれ…花…!!」



花「あれから、あの人は…涙を流すことが多くなった。私の「痛い」がうつってしまったのかもしれない…。あの人が、何かをしているところを見ると、誰かに、似ている気がする。でも…誰かは、分からない。ただ、私が忘れている、大切な人と似ているような…そんな気がする。だから、貴方の涙を拭ってあげたい。「痛い」があるなら、取り除きたいの。お願い…」



花「…でも、届かない。この手も、想いも。全部全部…私が、大切な何かを、忘れてしまっているから。何も持っていない、透明だから。零れる涙も、拭えない。でも、それでも…ただ貴方に、触れられたらいいのに」
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