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ひとやまアンソロ企画 Wer ist der wahre Teuful

追放会議後の夜。カイトは一人墓地に佇み満月を見上げていた。強くも優しい光が背筋の凍る程の恐ろしさを包んでいく。しかし本来なら月の光を好むカイトもそれを感じられなかった。それどころか月が上っていく度に気持ちは思考の海へ沈んでいく。

「はぁ…。」
この村に突然復活した惡魔は村の最年少だったリンを救済していった。皆が混乱し、恐怖に怯えている姿を見ることはカイトにとっては辛いものでしかなかった。だから会議で発言したのだ。自分が騎士であるということを。勿論その言葉を発することで、自分にどんな結末が待っているのか分かっていないわけではなかった。それでも宣言したのだ。「【騎士ぼく】が皆を守るさ」と…。大切な仲間を…彼女を、守るために。カイトはベストからチョーカーを取り出す。
「無事でいてくれ…メイコ。」

彼が握りしめたチョーカーは村民である証。昔騎士だった父に教えてもらった彼の家だけが知る秘密。
「村人とチョーカーは一心同体。惑わす輝きから逃れられれば、闇の中から抜け出せるだろう。」
この言葉が本当であるなら、メイコを守る事が出来る。彼女の証は今、カイトの手の中だ。


「…。」
結局、彼女に想いは伝えられなかった。別れる時に大切な盟友だから、なんて言われてしまったら彼女の笑顔をたった一言で壊したくはなかった。だから、カイトは約束した。必ず、生きて帰る。そして決意したのだ。届かなかった想いを言葉に…。
「メイコ…愛している…。」
大切にチョーカーをしまった。刹那、殺気を感じてカイトは剣を抜いた。刃を向けた先にいたのは予想していた通りの人物…いや、人ではない。村を恐怖に陥れた存在がいた。カイトは殺気に飲み込まれないように剣を構えた腕に力を籠めて…刹那、鋭い金属音が墓地に響いた。
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