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手を取って mi princesa

マリア(声のみ)「…誰もいない?」

クラベル(声のみ)「えぇ、気配1つありません」



マリア「ここに来るのは久しぶりね〜!」

クラベル「そうですね…最後に来たのはもう4ヶ月以上前でしょうか…」

マリア「そうね!この庭は私が心を落ち着けられる場所だったわ。夜は特に!」

クラベル「そうでしたね。怒られるたび、悲しいことがあるたびにこちらに逃げてこられてましたっけ…。」

マリア「うっ、嬉しい時だって来てたわ!貴女も一緒にいたでしょう?!」

クラベル「ふふつ、そうでしたね。ここに来ると…2人でワルツを踊ったり…。」

マリア「私のわがままでもあったけどね。誰もいないこの庭で…貴女とワルツを踊っている時間が心から幸せだったわ…時が止まればいいのにって思ってしまうくらい」

クラベル「そんな風に思ってくださっていたんですね」

マリア「えぇ!でも…ここにいた時間だけじゃない。クラベルと一緒に過ごした時間の全てが、私の幸せだったわ…。」

クラベル「…私も、幸せでした…。10年前、貴女と出会い共に日々を過ごし、季節を重ねていくことが…。貴女の笑顔と優しさに、私は救われてばかり…。」

マリア「そんなことないわ。私だってクラベルに助けられた。ほら私、プリンセスらしくないでしょう?わがままも言うし、型にもはまらないし…。でも貴女はそんな私を受け止めて、傍にいてくれたんだもの。お礼を言うのは私の方よ」

クラベル「いいえ…。本当に感謝しているのです」

マリア「…ありがとう、クラベル!」

クラベル「はい…でも…。」

マリア「…」

クラベル「…でも…だからこそ悩みました。ずっと考えました。貴女の望むこと、幸せ、未来、そして私の…。返事が遅くなってしまいましたが…。貴女の言うように、決断したのです。」

マリア「…聞かせて…その答えを」

クラベル「…マリア様…」


クラベル「…マリア様、私は、マリア様のことが好きです。心から…愛しております」

マリア「クラベル…!」

クラベル「だから!…一緒には、行けません」

マリア「え…?そんな、どうして…」

クラベル「…先程述べた通りです。私はマリア様を愛している…だから共には行けないのです。」

マリア「違う!そこじゃないわ!どうして…愛しているのに離れようとするの?!私だって、クラベルのこと心から好きよ!大好きよ!!だから…一緒にいたいと思ってあの時話したの。それなのに…!」

クラベル「…マリア様。【好き】と【愛している】は違うのです。言葉の意味も、そこに込められた想いも…。貴女はまだ、それに気づいていない。そして…貴女の愛している人が…私であってはならないのです」

マリア「…え…?」

クラベル「マリア様…ご無礼を、お許しください」

マリア「クラベル?」



マリア「…?!」

クラベル「マリア様…マリア。これは私のわがまま。貴女と一緒にいられた日々も、貴女から貰った太陽のような笑顔も、女神様のような優しさも…。全てが愛おしい。そう思えた。私の幸せは、貴女が心から幸せであること。だからこれは、たった一つの…願いであり、決意であり、覚悟でもあり…わがままなの」


クラベル「…終わったわ」


セオ「クラベルお前、王女様に何を…」

クラベル「安心して。ただの睡眠薬よ。量と時間を考えても身体に害はないし、翌朝には目覚めるわ。全てが終わる頃には、ね…。だからこのまま、王女様をお部屋に連れて行ってあげて」

セオ「…わかった」


クラベル「ラナ…」

ラナ「…私、言ったよね?言いたいことも、やりたいことも、後悔しないようにねって…。なのに…」

クラベル「今の私の言葉は何も伝えていない…そう思った?」

ラナ「…」

クラベル「…そんなことない。私は伝えられた。いいえ…伝えてしまったの。大体、この感情を抱いた時点で、私の運命は決まっていたの…。」

ラナ「クラベル…」

クラベル「…ラナ、貴女にはさっき伝えたけど、私は革命に参加しないでこの国を出て行くわ…。もうこれ以上…マリア様の傍にいることは、許されないもの」

ラナ「…言いたいことを言ったのに、そんな泣きそうな顔をするクラベルなんて…私は、見たくなかった…」


クラベル「…泣きたいのは事実よ…。愛する人と、永遠に別れなければならないのに…あぁ、でも…貴女を愛せて幸せだったわ…さようなら…マリア」
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