手を取って mi princesa

ラナ「炎」

セオ「太陽」

ラナ「入って」


セオ「お疲れ」

兵士1「外に人はいたか?」

セオ「廊下には誰もいなかった。誰かが起きている感じもなさそうだ」

ラナ「オーケー。全員揃ったし始めようか…最終確認を」


ラナ「作戦開始時に、夜勤についているエリック、グレイ、アルバスで各フロアの通気口裏に隠した装置に火をつけて」

エリック、グレイ、アルバス「おう」

ラナ「装置は既に指定場所に同化して隠してある。何かあれば替えも用意しておくから常に注意して。当日各フロアの装置が起動して火がついたらA班は城の正門、東通用口、西通用口に火をつけて。使用人専用の裏口は私達の出入りに使うから、万が一に備えてA班はそのまま裏口に回って逃げるやつを捕獲しつつ守って」

兵士、メイド「はい」

ラナ「B班は火がついたところで異変に気付いた兵士やメイドを捕獲、または避難誘導。C班は二階にいる官僚たちを捕らえて。抵抗する場合は…致し方ないけど…」

兵士2「分かってるよラナ…あいつらだって俺達を苦しめた原因だ。」

ラナ「…お願い…。特にメイドの子たちは他の兵士に捕らえられやすいから注意しよう」

メイド1「分かった…!」

ラナ「革命が始まったらクラベルはすぐに3階の王女様の部屋に向かって城の外へ一足早く脱出して。森の奥に私達のアジトがあるからそこで夜が明けて、迎えに来るまで守って」

クラベル「…」

ラナ「クラベル?」

クラベル「あっ、ごめん。大丈夫。誰が迎えに来るとかは決まってる?」

ラナ「私が行ければいいけど成功したにしろ、失敗したにしろ、しばらくは動けないから他の誰かにお願いするかな…どちらにしても私達の合図で知らせるから」

クラベル「分かった」

ラナ「私とセオはB班とC班のサポートをしながら国王を探して…見つけ次第、私達の手で倒す」

セオ「あぁ…皆もやつには注意してくれ。今まで…俺達は家族や仲間を殺され続けた…何をするか分からねぇ」

兵士3「ああ、気をつけるよ」

ラナ「…革命は建国記念日の夜。11月25日午前0時。夜が明けた時、この国は…あの方に、王女様にふさわしい、平和な国になる。…この国の未来を照らそう。私達の手で!!」

兵士、メイド「おう!!」


ラナ「じゃあ、今日はもう遅いし、解散で。くれぐれも周りに悟られないようにね。お疲れ様」


ラナ「大丈夫?クラベル?」

クラベル「うん…ごめんね。本当に何でもないの」

ラナ「…セオも言ってた。迷いを持ったまま剣を握れば自分自身も飲み込まれるって…。クラベルが剣を握ることは今回の作戦ではないかもしれないけど…。」

クラベル「…。」

ラナ「…成功すれば…たとえ時期や相手が変わったとしても、王女様…未来の女王様の結婚がなくなるわけじゃないし、今の生活も確実に終わる…言いたいことも、やりたいことも…後悔しないようにね」

クラベル「…うん」



ラナ「…炎」

メイド3「太陽」

ラナ「…どうしたの?」

メイド3「会議終わってるのにごめんね。クラベル、さっき王女様と廊下でお会いしてクラベルを探していたから呼びに来たの」

クラベル「マリア様が…?!」

メイド3「うん。ほら、怪しまれないようにって王女様からメモも預かって来たわ。今は危ないから部屋に戻るようにお願いしてある。」


クラベル「…ありがとう。すぐに行くね。…ラナも、心配かけてごめんね」

ラナ「あたしに力になれることがあれば、いつでも頼って。独りじゃないんだから」

クラベル「…ありがとう」



クラベル「マリア様…私です」

マリア「…入って」



クラベル「失礼いたします」

マリア「クラベル…」

クラベル「マリア様、申し訳ございませんでした。長い間、何も出来なくて…」

マリア「謝るのは私の方よ!ずっと…一か月も冷たい態度を取ってごめんね…どうしても…一人で考えたくて」

クラベル「…最近は、婚約発表や結婚の準備でお忙しいとお聞きしました…体調は大丈夫ですか?」

マリア「ええ…身体は平気よ。でも…あの日から、疲れやすくなった気がする。」

クラベル「…」

マリア「ねぇクラベル…婚約が決まった時、私に言ってくれたこと覚えている?」

クラベル「…私は、貴女の側におります。ずっと貴女と共に、運命に抗い続けます。貴女が…望む限り」

マリア「今は…どう思う?」

クラベル「マリア様の幸せを一番に願う者として…その言葉を守れたらと思っております…」

マリア「…私の…専属メイドだから?」

クラベル「それは違います…私が…クラベルが、貴女という人の幸せを純粋に願っているからです」

マリア「そう…それを聞けて良かったわ…。ずっと悩んでいたの。自分の考えは、ないものねだりだとも思ったし、これ以上お父様に逆らったら二度と自分の人生を歩けなくなるもの。でも…それでも、貴女のその言葉に勇気づけられたわ…クラベル」

クラベル「はい」

マリア「私は…この国を出ていくわ」

クラベル「…!!」

マリア「建国記念日に行われるパーティーに紛れて…自分の名前も、名誉も捨てて、私は自由を、幸せを探しに行くわ…クラベル」

クラベル「マリア様…」

マリア「私と一緒に…来てほしいの」
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