Dreamers!!

エレナ「1,2,3,4,5,6,7,8!はいお疲れ!」



エレナ「おおっ、ダンスレッスンをやっても立っているとは…やるねユイ、ルーカス、リン、ハディ!」

ユイ「い、いえ…」

リン「でも正直もうヘロヘロですよ~」

ルーカス「エレナ先生…プロダンサーだったんですか…」

エレナ「私?私は違うよ。普通に舞台芸術が好きなだけ。ハディ生きてる?」

ハディ「は、はい…何と…か…」

グレイ「ちょっ、おいハディ!大丈夫か?!」

エレナ「オーディションの時は体力が心配だったけどついていけるようになったみたいね。皆休んでいるところ申し訳ないけど全体的にメリハリが足りない!このシーンのダンスは基礎がなっていないと表現力や身体が追い付かず、踊れないような振り付けなんだ。基礎練を怠らないようにね!」

夢追いチーム「は…はい…」

シェリー「エレナ。みんな疲れているみたいだしそろそろ時間にもなるから今日はここまでにしたら?」

エレナ「…本当だ。もうこんな時間なのね…振り付けもあらかた入ったし、今日はここまで!個人で指摘されたところは念入りに確認するように!それじゃあお疲れ様!」

夢追いチーム「お疲れ様でした…」


シェリー「皆お疲れ様。差し入れを持ってきたから少し休もう」

アニー「差し入れ!!」

グレイ「いいんですか?」

シェリー「ええ。どうぞ」

エミリア「ありがとうございます…!」



シェリー「皆稽古が始まってから1か月たつけど調子はどう?」

リリア「大変だけど楽しいです!」

アリア「ダンスも歌もお芝居もレベルが高いけど…ね」

シェリー「ふふ。でも稽古中は皆いきいきしているわ。すごく素敵」

ユイ「そう…?」

シェリー「ええ。皆の最初に持っていた良さはそのままにどんどん輝いてきている…本当に星になれそうなほどに」

ドミニク「…ありがとうございます…」

マルタ「…ドミニクがしゃべった…」

ドミニク「稽古中でも喋ってるだろうが…」

マルタ「ははは、冗談だって!」

ドミニク「ったく…」

フウ「仲いいね。」



フウ「…あれ?どうしたの?ソラ」

エミリア「ん?ううん。何でもないよ。ちょっと…考え事をしてて…」

フウ「私で良ければ話聞くよ?」

エミリア「そんな大したことじゃないから大丈夫だって!」

フウ「そう…?」


シェリー「皆稽古は終わったし、今日は帰って休みましょう!自主練する子がいれば私も手伝うよ!」

フウ「ねえソラ!私達も自主練して終わったら何か食べに行こうよ!」

エミリア「え?あ…でも私は…」

アニー「ねえフウ、そろそろ帰らないとお仕事遅れそうじゃない?」

フウ「あ!本当だ…でも…」

エミリア「いいよ。お仕事の方が大事だし本当に何でもないから行ってあげて」

フウ「…わかった。お疲れ様ソラ!また明日!」

ユイ「急ごう!この時間になると馬車が増えて道が通りづらくなるから…!ソラも帰れるときに帰った方が良いよ!」

エミリア「あ、ありがとう…また明日ね」

マルタ「俺たちも帰ろうぜ!」

ハディ「あ、ああ…」

リン「ラン帰ろう!」

ラン「…ごめん。もう少し練習させて」

リン「?それならリンも残るよ!」

ラン「ううん!大丈夫。ありがとうリン。お母さんが心配するだろうし、先に帰ってあげて」

リン「わかった!遅くなっちゃだめだよ!」

ラン「ありがとう」



シェリー「…今日はいつもよりも練習に遅れが出ていたようだけど…無理しているようね。ラン」

ラン「ど、どうしてそれを…」

シェリー「休憩中眠そうにしていたし、ダンスレッスンの時も足がもたついていたから。あなたらしくないなと思って」

ラン「…私は、誰よりも劣ってるから、頑張らないといけないから」

エミリア「そっ、そんなことないよ…!ランは誰よりも努力してるじゃない…充分だよ!」

ラン「ありがとうソラ…でもね、リンと比べたら全然ダメ」

エミリア「リンって…ランの双子の妹よね?」

ラン「うん。いつも一緒にいて2人で役者になりたいって夢を追いかけているの…」



ラン「このオーディションに受かった時もね、二人で喜んだの。夢が叶うんだって。でも実際に稽古が始まるとリンはダンスも歌も上手くて、私は何も出来なくて…置いて行かれてるの。…本当は私のこと邪魔だと思っているんじゃ…ないかなって…だからもっと頑張らないと…」

エミリア「ラン…」

シェリー「そうね…オーディションの時も貴女は何もできないけどって言ってたわね…でもねラン。それは違うわ」

ラン「え…?」

シェリー「お芝居の稽古中に周りの事をしっかりと観察している…洞察力があるからその場の雰囲気もすごく作れている。休憩中にも皆に声をかけてくれるおかげでカンパニーの雰囲気が良くなっていることも事実よ。あなたにしか出来ないことがある。あなたにしかない輝きがあるのよ、ラン。だからあなたはこのカンパニーに選ばれたの」

ラン「…」

シェリー「それにね、リンが前に自主練していた時に言っていたの。ランは何もないっていつも言ってるけどそれは違う。ランは私に優しさと勇気をくれる人だって。いつか二人でダブルヒロインを演じるのが夢だって目を輝かせてたわ」

ラン「リン…」

エミリア「私もランには救われてるよ。こんな私にも優しくしてくれているからずっと練習を頑張ることが出来ているの」

ラン「ソラ…あ、ありがとう…」

シェリー「ようやく泣けたわね、ラン。あなたは大丈夫よ」

エミリア「わ、私ティッシュ取ってくる…あ」

リン「わっ!」

ラン「リッ、リン!いつから…」

リン「えっと…忘れ物を取りに来てそしたら…私の話をしてたから…ぬ、盗み聞きするつもりはなかったの!ごめんねラン!」

ラン「ううん…リン…ありがとう」

リン「ラン…!!」

シェリー「…さあ、そろそろ暗くなってくるし早く帰りなさい!明日も稽古は厳しいわよ!」

ラン「…はい!」

リン「帰ろう、ラン」

ラン「うん!」


エミリア「良かった…あっ、私も時間が…!」

シェリー「あら大変!お家は大丈夫?送っていくわよ?」

エミリア「い、いえ!大丈夫です!お疲れ様でした…!」

シェリー「…ソラ」

エミリア「はい?」

シェリー「…舞台は逃げ場じゃないわ。貴女が向き合わないといけないのは、なりたい本当の貴女よ」

エミリア「…!!どういう…意味ですか…」

シェリー「…舞台での所作や言葉遣いを見ればわかるわ…それだけ」

エミリア「…お疲れ様でした…」


ベル「…さすがの観察力だな」

シェリー「ベル…聞かれてしまいましたか…あの子には才能も輝きもあります。でもそれをもう一人のソラが出さないようにしているんです。それが抜けない限り…あの子がモナを演じるのは難しい」

ベル「…もう一人の…シェリー。貴方には伝えておく。」

シェリー「これは…?」

ベル「…今回合格した者に履歴書を出してもらったが唯一ソラだけはその情報が間違っていてな。気になって調べたら…出てきた。相当な有名人みたい…」

シェリー「…!やっぱり…!」

ベル「…これがもう一人のソラだ」
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