太陽の在処~永久の約束
主人公の名前
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「今夜は満月か…」
カーテンの隙間から差し込む光が夜にしてはやけに明るいなと思ってベランダに出ると丸い月が己を主張するかのように輝いていた。
この地球の衛星である月は見える形は変えども常に地球の側にあり続け一月に数回、その美しさをこの地球(ホシ)の人々を魅了している。
そしてそれを可能にしているのが太陽の光だ。
月は自身の力では輝くことはできない。
太陽の光が月を地球を照らしているのだ。
そうまさにひなたがその存在なのだ。
今日プリンセスがひなたの見舞いに行った。
俺も当然側近戦士として一緒に行った。そこで火球プリンセスはひなたへ、いや、太陽のプリンセスへ感謝の言葉を伝えた。
驚いていたひなただったがその言葉を受け止めつつ最終的には友人としての言葉を交していた。
俺はその会話には混ざれなかった。
昔からの知り合いだから、
クラスメイトだから、
恋人だから、
どの肩書を持ってもやはり身分違いなこの関係が俺にストップをかける。
これ以上ひなたの側にいてあの温かさや心地よさに触れていては大事なひなたを苦しめてしまう。
それぞれの役目を投げ出すことなどできない。
どうしてもそのことが俺を苦しませる。
「っひなた、お前に逢いたい─」
許されるなら、抱きしめて、二度と離れないくらい抱きしめて、この腕の中に閉じ込めてしまいたい。
キンモク星への帰還まであとわずか。
「なーに、しょぼくれてんのさ」
「月を見て感傷に浸っているなんて星野らしくありませんね」
「なんだよ、おまえらいたのかよ」
「あのねここには僕達も住んでるの、いて当たり前でしょ」
少し考え事に集中し過ぎたようで夜天達が近くに来たことに気が付かなかった。
「ひなたさんとの事で悩んでるんですか?」
「…そうだけど、こればっかりは仕方ねえ。ちゃんとケリつけて─
「何にケリをつけるのさ」
苛立ったような夜天の声に『わかってんだろ』、と心の中で悪態をつかずにはいられない。
「どうせ星野は身分が違う、役目を投げ出せない、自分はひなたにふさわしくないとか思って別れを切り出して星に帰ろうとか思ってるんでしょ」
「そうなんですか星野」
「ー仕方ないだろ!
実際ひなたは太陽のプリンセスだ!
この銀河を守る使命がある。
それに対して俺はキンモク星の戦士、俺は自分の役目に誇りを持ってる。
その役目を放り出して行くこともできない。」
「─呆れた。
その程度の覚悟でひなたに好きだとか言ってたの?
その場限りの好意をひなたに押し付けて自分が満足したら簡単に捨てていけるような気持ちだったわけ?」
「そんなわけないだろ!
好きだ、好きでたまらない。
プリンセスとして毅然と振る舞う姿も、無邪気な笑顔も、怒った顔も、全部がひなたで、そのひなたが好きなんだ」
「なら答えは出てるじゃん」
「ええ、そんな大好きなひなたさんを星野が放っておいてどうするんですか」
「でも俺には使命が…」
俺の気持ちを優先したらプリンセスを守る役目は、星の守護はどうするんだ。
「星野が戦士としての使命を誇り高く持ち続けていること、とても嬉しく思います」
「─プリンセス」
「でも星野、戦士としての使命をあなたの生き方の重荷にしてほしくありません。
すぐには無理かもしれません。でも故郷には仲間がいます。
仲間を育て、貴方が安心してひなたの側に行けるように皆で頑張りましょう。」
「そうだよ、星野は1人じゃないんだよ」
「ええ、私達がいます。星の仲間がいます。」
「頼っていいんですか?この役目を託してもいいんでしょうか。」
「それが仲間、というものですよ」
プリンセスの言葉でもう限界だった。
頼れる仲間がいる。苦しい気持ちを一緒に悩んでくれて、一緒に乗り越えようとしてくれる。
─なんて俺は恵まれているんだ。
「ありがとうございます。」
ひなたに俺の気持ちを伝えよう。
この先もひなたの人生と一緒に歩み続けたいと。
「これで一件落着ですね」
「だね、でもさ聞いた?星野の『好きだ、好きでたまらない』ってドラマのみたいに恥ずかしいセリフ、思い出しただけで笑えるw」
「なっ///お前が聞いたんだろ!!!」
「あらあら」
「いつものじゃれ合いが始まりましたね」
「「じゃれ合ってない!!」」