太陽の在処~永久の約束
主人公の名前
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私はファイターを自身の作った力の膜の中へと招き入れた。
そこは太陽の力に包まれているのと同時にカオスの力が立ち込めた居心地の悪い空間。
さながら煙に巻かれているような感覚だ。
この空間は息を殺していないと肺を、そして全身を犯されてしまう、そんな空間。
その居心地の悪さに流石のファイターも顔を強張らせていた。
「ファイター、大丈夫─?」
「ええ、大丈夫よ。─さあ、始めましょう。」
私は持っていたローズクォーツを右手に乗せてファイターに差し出すとファイターは私のその手にアメジストを置き、自身の左手を優しく重ねて、そして力強く指を絡ませた。
2つのストーンは禍々しい空気を取り込むかのように光を放ち始めた。
「カオス、あなたを封印するわ─!!!」
「まだ、その、ような、ことを─!!!!」
『私たちの愛、仲間の愛、そして大切な人の愛。その身に込められた愛の力とあなた自身から溢れ出る太陽の力でカオスを封印するのです。』
─そう、お母様は言った。
すべては太陽と愛の力で、と。
太陽の力は私の星の力で。
そしてこの身の愛の力は、今私たちの手のひらにある2つのストーンの力で。
このストーンは2度わたしを救ってくれた。
一度目は私が前世の記憶がなかった頃。
大切な人を忘れてしまっていたあの時。
生まれたときから持っていた物で私たちを繋ぐ大事な繋がり。
これがあったから私たちはもう一度巡り会えた。
そして二度目は私が闇の中へと囚われたとき。
自分の力のなさに自分自身の闇から出られずにいたが星野と私のストーンが共鳴し私を救ってくれた。
これは私と星野の愛の力が込められた封印の依り代となる!
「カオスよ、その力、永久の眠りにつきなさい!!!」
太陽の力を開放する。
私の中に取り込んでいたカオスの力も共に溢れ、その力は2つのストーンへと吸収される。
それと共にギャラクシアの身体からも禍々しい力が溢れ出て、その力はストーンへと引っ張られているようだった。
「お、のれ─!わ、た、し、は─!!!」
この期に及んでもカオスは抗おうとする。
ギャラクシアの身体から離れまいと必死に抵抗していた。
私とファイターの持つストーンが禍々しさで重みを増している気がした。
ファイターの苦しそうな横顔が目についた。
絶対に、絶対に負けないんだから!!
「っソル、オリエンスパワー──────!!!!!」
「くっ、う…、うわぁあああああああーーーー!!!!!!」
身体に纏わりついていた黒くて、重いカオスの力は私たちの手のひらにあるストーンに封印された。
終わった…
終わったの…?
握りしめていた手が小刻みに震えている。
解き放たれた緊張感と安堵感でもう腕も持ち上げられないくらい力が抜ける。
顔を上げれば夜明けの空が広がっていた。
─ああ、本当に終わったんだ。
朝の光が広がる。温かい私の星の輝きが身に染みる。
そして銀河最強の戦士、ギャラクシアはカオスから解放された。
悪魔のような羽は消え、背丈ほどある黄金の髪が風になびいていた。
「──ありがとう、セーラーソル。そして、セーラースターファイター。
あなた方のおかげで銀河に輝きが戻りました。」
満身創痍な私はファイターに支えられながら首を横に振った。
「いいえ、私たちの力だけではカオスを封印できませんでした。
セーラームーンやヒーラー、メイカー。それにスターシードのみとなっても力を送ってくれた仲間たちの力。
ギャラクシア、あなたの力も感じました。ありがとう。」
そう、封印する時に感じた仲間たちの力。
ほんの少しだが感じるギャラクシアの本当の輝きを受けてソルはファイターと共にカオスの封印を成し得たのだ。
「私のほんの一握り程度の力でもお役に立ててよかった。
─それと、それは大丈夫ですか?」
ギャラクシアが言っているのは私の手の中に乗っている1つのストーン。
濃い桃色のそれは2つのストーンが1つとなって今なおその中でカオスの力がが渦巻いている。
「ええ、これから長い時間をかけて浄化していきます。
でもカオスは人々の負の感情そのもの。この世界からなくなることはないでしょう。」
「では、また─」
「大丈夫、人々の心の中にある希望の力を信じましょう。」
「──強いのですね。
でも私のしてしまったことは取り返しがつかない…。」
「大丈夫、また始めましょう、最初から。
きっと大丈夫。
それになにかあったら私がいます。
この銀河のセーラー戦士がいつだってあなたの味方です。
忘れないで、あなたは一人じゃないことを。
─さあ、スターシードを導いてください、迷わないように。」
今までギャラクシアは一人で戦ってきた。
孤高の銀河最強の戦士は独りで背負いすぎたのだ。
私も一人で背負い辛かった。
でも仲間がいた。一緒に抱えてくれる仲間が。
そして、ギャラクシアの苦しみも今日で最後。
いつだって仲間があなたを助ける、だから無理をしないでほしいと、ソルは伝えたかったのだ。
ソルの気持ちを聞いたギャラクシアは嬉しそうに破顔した。
「ありがとう、セーラーソル。」
そしてギャラクシアはスターシードを導き銀河へ飛んだ。
まだ薄っすら星が見える空を見つめひなたは安堵の息を吐いた。
「やっと終わったわね。」
「ありがとう、側にいてくれて。」
ひなたは後ろから肩を支えてくれている手を優しく握った。
地上ではスターシードを抜かれた戦死達が戻り、うさぎが涙を流してよろこんでいた。
そしてうさぎの前世からの恋人、エンディミオンの姿もあった。
ヒーラーとメイカーの側には火球の姿がある。
みんな戻ったんだ、よかった。
ひなたは仲間の嬉しそうな笑顔を見つめながら意識を手放した。