太陽の在処~永久の約束
主人公の名前
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ファイターは苦痛に耐えているひなたを見上げている事しか出来ずにいた。
あたしはなんて力がないの!?
必死にカオスと戦っている大切なヒト。
本当はこの腕の中で守っていたい大事なヒト。
誰よりも笑顔が似合う自分の愛しいヒト。
「ひなた──。
どうしたら、どうしたら私はあの子を助けてあげられるの─!!
どうしたら──。」
太陽のプリンセスは守るべき存在だが結局その力を借りねば自分達には何も出来ない。
地上からただ指をくわえてひなたが苦しんでいるのを見ていなければいけないだなんて─
なにか方法はないのか、あの子の為に自分が出来る事は何もないの?!
ファイターの持つアメジストのネックレスとひなたの持つローズクォーツのネックレスが共鳴して光りを放っている。
「これは─。」
『太陽の力と愛の力で』
「これだわ─!」
*
苦しい、身体に流れ込む黒くて、禍々しい力が身体の自由を奪っていくように感じる。
これ以上は危険─
頭ではそう判断するがそれはひなたが決断した方法が上手く行っているという残酷な結果だった。
私が力を解放することで声にならない声がこぼれる。
そして目の前では私に対抗しようと自らの腕に自身の爪を食い込ませながら足掻き、もがき苦しんでいるギャラクシア。
カオスがその身体から離れようとするのを必死に食い止めようとしているのだろう。
しかしそれは無駄な足掻き。
あと少し、もう少しでこの戦いが終わる。
そして、それは私の永遠の戦いの始まりになる。
星野─、星野。
大好き─。
あなたにこの世界でもう一度出会えて嬉しかった。
あなたが温かいその腕に包んでくれたぬくもりが忘れられない。
鼻をくすぐる優しいキンモクセイの香りが忘れられない。
私に向けてくれるやわらかい眼差しが恋しい。
あなたと一緒にいたい─。
「ひなた─!」
「え─?」
ひなたは自分を呼ぶ声が聞こえ、意識をそちらに向けた。
そこには自身の作った力の膜のすぐ傍にいるファイター。
「どうして─」
「私にあなたを守らせて、ひなた。」
何か別の方法はないのか。
ひなたを傷つけずにこの戦いを終わらせる方法はないのか?
自分の力のなさに、ただ指を加えて見ている事しか出来ないなんて、
これでセーラー戦士と言えるのだろうか。
いまこの瞬間にもひなたはその身に受けるカオスの力に苦しんでいると言うのに!
どうしたらいいの─!
すると突然首にかけていたひなたからもらったアメジストのネックレスが暖かい光りを放ち始めた。
「これは─。」
その温かさを包み込むと共鳴しているようにひなたの持つローズクォーツを感じる。
こんなに近くにいる。
まだ失っていない、絶対に助けてみせる!
そして私はひなたの元へと飛翔した。
突然のことに戸惑っているひなた。
「どうして、なんで…」と困惑いている様子が見て取れる。
「私にあなたを守らせて、ひなた。」
最後の戦いは二人一緒に─。
「ファイター…、ここは危ないから、離れて─」
薄れ行く意識の中で私はファイターに懇願した。
もうすぐでこの身体は私の意志では動かす事が出来なくなる。
そもそも私の意思、は生まれるのだろうか。
考える事も出来ないこの身体はただ封印の器として厳重に守られるのだろう。
「ひなた─!まだ方法はあるわ!」
そう言ってファイターは首にかかったアメジストのネックレスを持ち上げた。
それは淡く温かい光りを放ち、私の首にかかるローズクォーツのネックレスに優しく語り掛けるように共鳴し始めた。
その光りを見つめながら私はお母様の言葉を思い出した。
『太陽の力と愛の力で』
それはもう一つの可能性。
「─っ!そんなことができるの…?」
「一か八かの賭けよ。たとえどんなことになろうと私はひなたと一緒にいるわ。」
そう言ってファイターはアメジストのネックレスを私に差し出してきた。
私はネックレスとファイターを交互に見つめ
「本当に大丈夫─?どうなるか私にも分からない。ファイターが苦しい思いをするかもしれないよ。」
「ひなただけに苦しい思いなんかさせないわ。ひなたの背負うものを私にも分けて頂戴。」
ファイターの言葉にひなたは一粒の涙をこぼした。
この痛みを一緒にファイターは背負ってくれると、それは本心で望んだことではないけれど、そう言って傍にいてくれるだけでひなたの心は救われた様な気がした。
「ありがとう、…私の傍にいてくれる?」
「ええ、ずっと一緒よ。」
闇につぶされそうになっていた心は光りを取り戻し、
新たな試練へと向かわせる。