太陽の在処~永久の約束
主人公の名前
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「ギャラクシア、あなたの中に巣食うカオスを私が封印する!!」
ソルのその言葉にギャラクシアの表情が怒りの色を強くした。
「─なんだと?!」
「どういうこと、ソル!!何を言っているの!?」
突然のソルの言葉にファイターは困惑した様子でソルに問いかけた。
「お母様が言っていた。太陽の力と愛の力でこの身にカオスを封印することができると。」
「─でも、そんなことしたらあなたはどうなるの?」
「…大丈夫。きっと大丈夫。」
「ソル、きっと他に方法があるはずよ。だから無茶な事をしないで─」
星の未来の為にソルが犠牲になっていいはずない。
火球プリンセスだってそんなこと望んでなんかない。
「おかしなことを言う─。
封印などされるものか!はっっ─!!!!!!!!」
ギャラクシの放った攻撃がソルとファイター目掛けて放たれた。
しかし攻撃はソルたちに当たる前に突然大きな力が膨らんだことによって消し去られた。
「─な、なに!?」
「ちびちびちゃん?」
ちびちびちゃんから溢れる大きな力。
温かく、包み込むような力。
この力は─?
「目覚めるというのか、あの時銀河に放った希望の光が─」
大きな力は波紋のように広がり私たちを包み込んでさらに広がっていった。
眩しさに目を閉じて気が付くと私とセーラームーンは不思議な所にいた。
「これは…ひなたちゃん?」
「うさぎちゃん、その姿は?」
いつの間にか私とうさぎちゃんは
太陽と月にいた頃に着ていたプリンセスのドレス姿になっていた。
『セーラームーン、セーラーソル…』
「誰…?」
私たちの前には誰もおらず、形もわからない誰か…。
声だけが頭に響いてくる。
けれど決して怖いと感じるわけでもなく、優しいその声に何だか安心する気がした。
『ずっと待っていました。私を受け入れてくれる方を。』
「あなたは」
『私はかつてギャラクシアの中にあった星の輝き─希望の光。
受け取ってくだい、私の希望の光を』
困惑する私とうさぎちゃんの前に現れたのは一振りの剣だった。
『この剣をあなた方に、再びこの銀河に希望の光を灯してください。
これでギャラクシアを─。』
「でも、それは…」
『迷っている暇はないのです』
「そうはさせぬ─!!」
私たちがその剣を拒んでいる間にギャラクシアの剣が私たちのいた空間を断ち切り、私とうさぎちゃんは空中へと投げ出された。
『さあその剣でギャラクシアを。』
「でも─」
『迷わないで!』
私たちが困惑しているのと同時に身体はどんどん地面へと近づいていく。
私は意を決して剣を握り締めた。
すると背中から銀翼の羽が現れた。
私はすぐさま剣を握っていない方の腕でうさぎちゃんを支え、同じように降下して来ていたギャラクシアを交わして、うさぎちゃんをファイター達の元へと連れて行った。
ふわり、と私は優しくうさぎちゃんを地上へと降ろした。
「ひなたちゃん、その翼は…」
素敵なものを見るような目と不安が混同しているような瞳でうさぎちゃんは私を見つめていた。
「うさぎちゃん、これを預かっていて。」
私はそんなうさぎちゃんに剣を託した。私たちの戦いに剣は必要ないから。剣を持つうさぎちゃんを見て、ああ、うさぎちゃんに剣は似合わないな─と、ふとそんな気持ちが頭をよぎった。
そして私はファイターに向き合った。
「ひなた、さっきの事なんだけど─。」
「ファイター、うさぎちゃんをよろしくね。」
不安そうなファイターの表情がいっそう不安さを増したように見えた。
「どういうこと?ひなた、剣も持たずになにをするつもり?」
今にでも腕をつかんで私を引き留めそうな勢いのファイターに笑顔を向けて私は告げる。
「大好きだよ、ファイター。」
その言葉と同時に私は翼を広げ空へ向かって羽ばたいた。
「ひなた!」
その声は私の心に響く。でも振り返らない。
もっと伝えたいことがあった。もっと触れたかった。
もっと、もっと、あなたと共に未来を生きていきたかった。
それでも涙はこの世界の汚れを流す時まで流さない。
ギャラクシアは私を待ち構えるかのように上空で腕を組んで佇んでいた。
「ふん、せっかく手に入れた剣を自ら手放すとはな。」
そう話すギャラクシアの背中には真っ黒の悪魔のような羽がその身体を支えていた。
それはカオスの影響が人体にまで及んでいる証拠。
早く決着をつけなければ…。
「剣がなくても私はかまわない」
「はっ、その身一つでいったい何が出来ると言うのか。
先ほど言っていた封印とやらか?
銀河最強の戦士であるギャラクシアが散々戦い抜いたあとにやっと封印できた事をそなたは意図も簡単にすると言うのか?」
「─簡単じゃない…。」
「なんだと?」
「簡単な訳、ないじゃない。
それでも私は守ってみせる。
この星もこの銀河も大切な人たちも、
そしてギャラクシア、あなたも。
この身に変えてもカオスを封印する!」
私の大きな決断を簡単だなんて言わせない。
どれだけの惑星(ホシ)が犠牲になって、
どれだけの仲間が消えていって、
どれだけの涙が流されたか─。
それをすべて受け止めて私はこの場に立っている。
簡単なわけ、ないじゃない!
「─そんな。ひなた、やめて!!」
「そんなことをしたらあなたが!!」
「ひなたちゃん、他に方法があるはずだよ」
「ひなた──!!!」
「笑わせる。守れるものか、剣を捨て戦う意思のないそなたに!!
はあっ───!!!」
ギャラクシアの剣から放たれた黒い稲妻をひなたは避けきれずその身に受けてしまう。
「あぁあああああああ──!!!」
「ひなたーーーー!!!!」
─苦しい、痛い。
手足がばらばらになってしまいそうな程の激痛が身体を駆け巡る。
「くっ─」
もう少し、もう少しギャラクシアに近づければ─。
その思いが通じたのかうさぎに託した剣が光りを放ち始めた。
「な、なに?剣が─」
うさぎは突然光りだした剣に驚いたがその光りは温かく、
どこかで会った事があるような気がしていた。
そして光りが増したかと思うと、剣はひなたとギャラクシアの間に飛んできてギャラクシアの攻撃を弾き飛ばした。
「─なんだ!?」
いまだ─。
一瞬の間を突いてひなたはギャラクシアの目の前まで飛んだ。
「ソル、オリエンスパワー!!!!!!!」
力を最大限に解放する。
ギャラクシアの身体はひなたの作り出した力の膜に包まれ、
その中でひなたは太陽の力でギャラクシアの身体からカオスを引きずり出しそうとした。
「さあ、カオス、私の中で眠りなさい!」
「なんだと─、そんな事をしてそなた自身ただで済むと思うのか!」
「ひなた!!」
「ひなたちゃん止めて!!!」
「ひなた、あなたそんなことしたらあなたが傷つくだけよ!!」
「ひなたさん、またファイターを泣かせる気ですか!」
「っつ、分かってる。分かってるよ、でももうこれしか」
くっ─。
黒くて、重くて、今にも膝が崩れてしまいそうなほどカオスの力は淀んでいて大きい。
寒い、いや暑い?私は今立っているの?座っているの?
もう身体の感覚がよく掴めない。
─怖い。
怖くて仕方がない。
何より
うさぎちゃんたちを悲しませてしまうこと、
星野にまた辛い思いをさせてしまうこと。
それが何よりも怖い。
でもカオスの存在が消えない限りこの戦いは終わらない事も分かってる。
封印をして自分が自分でなくなってしまわないか。
大切な人を傷つけてしまわないか。
みんなが必死に説得をしている間もひなたは力を解放し続けギャラクシアの中に潜むカオスをその身に受けていた。
「くっ───、ファイターごめんなさい─。これしか銀河を、あなたを守れない。」
もっとあなたと一緒にいたかった…