太陽の在処~始まりの物語~
主人公の名前
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
ファイターは夜の庭に出てきた
今夜の空も澄んでいて星がとても綺麗だ
あの子とあの木に登ってから改めてこの星の美しさに気づいた
見上げるとまるで、自分を中心に星々が回っているようにも見える
ファイターが庭の中心近くまで歩いてくると人影が見えた
一瞬構えたがその人影が自分の知っている人物だと気付くと構えた腕を下した
そこにいたのは、さっき自分たちが話題として挙げていたアイリアだった
─何をしているのかしら…
胸の前で両手を組み、まるで祈りをささげているような姿だ
しばらくすると手の内から淡い暖かな光がこぼれてきた
その光を感じたのかそっと目を開き、組んでいた手をゆっくりと開いた
そこにあったのは優しい光のかたまり
それをアイリアは夜空へと導くように解き放った
アイリアのすべてを包み込むようなまなざしにファイターは見入っていた
「ファイター?」
ずっと見つめていたのに気付いたアイリアが声をかけてきた
「どうしたの?お散歩?」
「─あなたは今何をしていたの?」
「─この星に私の…太陽の力を送っていたの」
「太陽の力?なぜ…?」
「なんていうか、留学のお礼というか…少しでもこの星に恩返しがしたくて。毎日私はこの星の自然に包まれている。
感じるの、キンモク星の息吹が、優しさが。
だから私の力で美しいこの星がもっと暖かい星になるようにお返しをしているの。
あっ、もちろん火球には言ってあるよ!」
「それはもちろんよ。でも毎日さっきみたいなことをしていたの?何度も言うけどあなたはプリンセスなのよ、もっと自覚を持って行動して。何かあってからじゃ遅いのよ」
「今日はたまたま外に出たかっただけ。いつもは部屋のバルコニーでしているから大丈夫よ。それに、何かあってもファイターが助けてくれるんでしょ。」
アイリアはいたずらっぽく笑った
「調子にのらないで//」
あれ、私ってこの子に対してこんな接し方だっけ?
いつの間にか心を開いている自分に驚きだわ…
嬉しそうに笑うアイリアにファイターは胸の鼓動が速くなるのを感じた
ああ、そうか…
ファイターは自分の胸に手をあて鼓動の意味を知った
なんて素敵な鼓動なのかしら、でも抱いてはいけない想い…
「ねえ、ファイター明日私に武道の稽古をつけてくれない?最近はさぼり気味で体を全然動かしてなかったから鈍っちゃって…」
「プリンセスとしての自覚の話したばかりよ…」
「プリンセスでも自分の身くらい守れないでどうするのよ。私は守られるだけのプリンセスは嫌よ!大切な人は自分で守りたいもの!」
これがこの子の思いか…
やはり自分のプリンセスと少しだけ似ている気がする
「分かったわ、稽古をつけてあげる。だけど、生半可な態度は許さないわよ!」
「ええ、よろしくお願いします。」
「─さあ、部屋まで送るわ」
部屋に着くまで特に会話はなかった
二人は静かに星を眺めていた
「それじゃ、おやすみ…アイリア」
「─っ!おやすみファイター///」
今までで一番の笑顔のファイターを見送ったアイリアは、部屋の扉をくぐった
─バタン
──ファイターが私の名前を呼んでくれた///
えっ?
心臓の音がうるさいんだけど
どうしたの私…
ベッドに向かいながらリボンをほどく
混乱したままベッドにダイブし、見つめる先は軽くウェーブのかかった髪
それはまるで自分の気持ちを表しているようだ
不思議なまどろみの中アイリアは眠りについた