太陽の在処~永久の約束
主人公の名前
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先ほどまで感じていたはずのプルートとサターンの輝きが消えてしまった。
そして輝きは感じるが敵の元へと行ってしまったウラヌスとネプチューン。
そんな2人を目の前にしてソルは新たに覚悟を決めていた。
握っていたファイターの手を離し、
庇われていた優しい背中から一歩前に進み出た。
「ギャラクシアあなたの好きなようにはさせないわ。」
「やっと太陽のプリンセスのお出ましか。」
獲物でも見つけたようにギャラクシアが歪んだ笑みを浮かべたのを誰もが見逃さなかった。
「この太陽系では太陽のプリンセスのスターシードが一番の輝き。
お前のスターシードももらうとしよう。」
その言葉を聞いてファイターが後ろからソルの肩を引いた。
「そんなことはさせないわ!この子の輝きをあんたなんかに奪われるものですか!!」
「さて、それはどうかな─」
「やめてよ!どうしてこんなことするの!!?」
プルートたちが消えた状況に涙を流していたセーラームーンがちびちびを抱きながら声を上げた。
その言葉は大切な仲間を奪っていったウラヌスたちに向けられていた。
「私たち友達なのに─」
「友達か」
ウラネスが鼻で笑う。
その言い方にはどこか懐かしいという感情が込められているような気がした。
そう、もうすでに過去のことを言っているような。
「苦しまないようにスターシードを奪ってあげるわ。あなたのもよ、セーラームーン。
あなたのスターシードだって月の輝きを持っているのだから。」
近くにいたヒーラーとメイカーはセーラームーンを背に庇うようにして立ちはだかった。
仲間だと信じて疑わないセーラームーンは
困惑した表情を浮かべるしか出来ないでいた。
「貴方たち、」
セーラームーンを背に庇いヒーラーとメイカーは拳を強く握り締めいていた。
どうして仲間を裏切る事が出来る!
どうして悲しませるような事を言う!
どうして大切な自分達のプリンセスを傷つけることができるのか!
私達は守りたくても、もうあの方はいないというのに…
「私信じてる、ウラネスとネプチューンのこと」
「それはどうも」
「おまえは馬鹿か、信じているだと!
この期におよんで 仲間がこの2人に消されるのを見たはずだ!
仲間が戻ってくると本気で思っているのか!!」
「思っているよ」
「はははははは!!!スターシードを取るのは後だ!
こいつらに現実を思い知らせてやれ」
心のどこかでウラネスとネプチューンはそんなことはしないと思っていた自分がいた。
それはセーラームーンも同じだと思う。
しかし今、目の前で起こっている事は現実で
前世から共に分かち合ってきたウラネスとネプチューンは敵としてファイターに刃を向けていた。
「はあ─!!!」
「くっ──!!」
どうしてこんなことするの!
あなたはこの星のことをいつも一番に考えていたじゃない!
いつもひなたのことを守っていたじゃない!!
なぜ悲しませるような事をするの!!
これが僕らの戦い方、
これが僕らのやり方だ─!
ウラネスの拳がファイターの頬を強く殴った。
瓦礫と化したビルの壁にファイターは身体を打ち付け浅く息を吐き出した。
「はっ─、よく分かったわ。
もうあなたには戦士としての使命も誇りもなにもないということがね!!」
「よく回る口だな。
そろそろ開かなくしてやろうか?
それだからお前らのプリンセスも守れなかったんだろ!」
「─!!あなたなんかに、あなたなんかに何が分かるのよ!!」
その言葉にファイターの拳がウラヌスの腹部を強い一撃を加えた。
「っく─やればできるじゃないか。」
痛みに耐えるウラヌスの表情からは
本当は何を考えているのか、その心情を読み解くのが難しかった。
「もうやめて!!
もうやめて、ウラネス。
ねえ、本当のこと言って。なにか考えがあるんでしょ?」
「セーラームーン…」
パシッ─!
セーラームーンの頬をウラヌスが強かに叩いた。
「これは現実だ。
なんであろうが受け止めなきゃいけない現実なんだ。」
「どうした、もう戦いごっこはおしまいか」
「偉そうに言わないで、全部ギャラクシアのエナジーのおかげじゃない」
「負け犬の遠吠えか、見苦しいな」
「ほんとうギャラクシアと戦おうとしている方たちの台詞とは思えないわね。
私たちに勝てなくてギャラクシアに勝てると思っているのかしら」
「ふっ、所詮お前達は身の程を知らない甘ちゃんだ。
そろそろ終わりにしよう」
どうしたらいいの、なにも分からない。
「この星が救えるという甘い夢は覚めたか」
「夢なんかじゃない」
「愚かな、周りの街ををみてみるといい」
雷が落ち、暗闇に閉ざされた私たちの守るべき地球。
太陽の温かさも月の優しい光りも何も届かない絶望の光景。
「どうだこのすばらしい光景はもはや全銀河は私の手に落ちたも同然。
どう足掻いたところでお前たちに勝ち目はない。
さあ、スターシードを奪え!」
ギャラクシアの言葉でウラヌスとネプチューンは両手についたブレスレットを構えた。
しかし、その時ギャラクシアに染められ淀んだ二人の瞳の輝きが清んだように見えた。
あの頃の優しい二人の瞳。
見間違うはずない、ウラヌスとネプチューンは─!
「待って!二人とも!!」
発した声と同時にウラヌスとネプチューンは腕についたブレスレットから光りを放った。
その光りが向かった先には、─ギャラクシア
「うぁああああああああ─!!」
「やった─」
光りに貫かれたギャラクシアの身体からスターシードが現れこの戦いが終わる、
誰もがそう思っていた。
しかし─
ギャラクシアからスターシード現れることはなかった。
「そんな!スターシードが現れないなんて!」
「直撃したはずだ!」
「私のブレスレットに支配されないものがいたとはな。
この広い宇宙で貴様らのような戦士会ったのは初めてだぞ」
「ヤツにはスタージードがないの」
膝からくずれるネプチューン。
「仲間のスターシードも奪い、自らの命を覚悟して私の配下に下り、反撃の機会を伺っていたと言うのか。
ふっ、まんまと騙されたぞ。
まったくこの星のやつらは私を楽しませてくれる」
「これまでね」
「僕たちにはこの青空を飛ぶ翼はない。
あるのは裏切りの血と汚れた手」
「わかってるわ」
「ふっ、全て無駄なあがきだったということだな」
二人につけられていたブレスレットが外された。
それはすなわち二人の消滅を表していた。
「─俺と己をついばむ、くちばしか」
「─貴方となら、耐えていける、─地獄の炎に焼かれても」
「地獄か─、君には、似合わないな」
「─後悔はしていないわ」
「どうしてこんなこと」
そう、ヒーラーが口にした。
それは誰もが思っていたこと、どうしてこんな方法を取ったのか。
自分達が傷ついてしまうのに。
「これが、僕たちの、やり方だから」
「私たちに、課せられた、戦士の十字架」
「こんなの、こんなのずるいよ。
ちゃんと言ってくれないから私、二人は敵なんじゃないかって、もう友達じゃなくなっちゃったんだって疑っちゃった。
最後まで信じる事出来なかった。」
セーラームーンのその言葉を聞きながら、ウラヌスとネプチューンは立っていることさえ出来ずその場に倒れていった。
「はるかさん!みちるさん!」
「なによ、私は許さない!!
偉そうな事言ってたくせに、あななたちがいなくなったらセーラームンは、ソルはどうするのよ!!」
「ファイター、お前が守ろうとしているのは宇宙だろ、平和と未来ではないんだろう。
これからは、お前が守ってやれ─」
「はるか、みちる。
どうして2人はいつもこんな…」
ちゃんと相談してくれないの、いつも置いていかれてしまう。
一緒に歩んで行きたいのに。
「ひなたはいつから、泣き虫になったんだ。─そんなことじゃ銀河を照らせないぞ」
「そうよ、あなたは私たちの太陽なんだから」
消え行く2人の姿を見て涙が止まらなかった。
セーラームーンも再び仲間を失う喪失感でその目から大粒の涙がこぼれていた。
「僕らの月プリンセスは、相変わらず、泣き虫だな─」
「ほんと─」
「怖いか、みちる」
「はるか─」
「─なに」
「はるかに触れたい─」
横たわる2人の間には少しの段差が、
必死に手を伸ばす2人の指先が重なる─
「─光が見える」
「あったかいな、─みちる」
柔らかな光りに包まれ二人は消えていった。
ひなたは淀んだ空を見上げた。
大切な仲間がいなくなってしまった悲しみ、
もう絶対に失わないと決めていたのになにも出来なかった自分の未熟さ、
─後悔。
この手にはあといくつ守るものが残っているんだろう。
そもそも、それすらも守っていけるのだろうか。
太陽のプリンセスなんて呼ばれて私は…。
『この銀河を照らして』
『あなたは私たちの太陽なんだから』
自分の力さえコントロールできないのに…。
「─ル!ソル!」
「─っ!」
現実に引き戻されるとファイターに肩を揺すられていた。
「太陽と月のプリンセスはもう諦めたようだな」
横には私と同じように悲しみにくれているセーラームーンがメイカーとヒーラーに庇われるように佇んでいた。
その腕の中には怯えた様子のちびちびちゃんが。
「さて、そろそろ2人のプリンセスのスターシードも頂こうとしようか」
全員に緊張が走った。
大切な仲間を失う悲しみが全身に蘇ってくる。
このとき私はまだ思い出せていなかった。
本当の─
大切な─
使命を─