太陽の在処~永久の約束
主人公の名前
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攻撃が来る
守らなきゃ
大切な仲間が傷ついてしまう
──お願い!!!
「ふ、ふふふふ──ははっは!!はあははっはーー!!」
響き渡るギャラクシアの笑い声。
その声に恐る恐るつぶっていた目を開けると、
ジュピター達4人の戦士たちが私たちを守るように立ちふさがり、彼女たちの苦しそうな表情とは裏腹に温かく優しいスターシードが出現した。
「うそ─」
「なんであたしたちのために─」
薄れ行く4人をヒーラーたちは見ていることしか出来なかった。
自分達は他の星の戦士だ。
守るべきは自分達のプリンセスだろう。
どうして自分達の為に──。
「大切な人たちを守るために…」 ─亜美ちゃん!
「大切な人たち─?」
「そう…、私たちにとってソルもセーラームーンもスターライツも大切な人だもの…」─美奈子ちゃん!
「そんな─!自分たちが消えてしまうのに…」
「お願い、あたしたちの代わりにひなたちゃんとうさぎちゃんを、この星を守って─」 ─まこちゃん!
「みんな─うそだよね─!─うそだと言って!
──お願い!消えないで─」
「レイちゃん─。レイちゃん、
あたしを一人にしないで…。」
「甘えん坊さん…しっかりしない─」
「レイちゃんだめだよ─
最後まで一緒って言ったじゃない…。
お願いだから置いて行かないで…。」
「ばか、うさぎには衛さんがいるじゃない…。
ひなたちゃんもいるわ…あんまり泣いて迷惑…かけるんじゃないわよ。
ごめん、守って、あげられなくて……。」
「まこちゃん─っ!」
私をかばって倒れたまこちゃん
握る手の感触が薄くなって瞳からこぼれる涙が冷たい床へと落ちて行く。
「ひなたちゃん……ひなたちゃんには大きな力がある…
側で支えてあげられないけど……、きっと…ひなたちゃんなら…」
「っうん…大丈夫!
きっと何とかしてみせるから…
だから──っ!」
「太陽の光りでこの星を…」
照らして
「っまこちゃん!!」
言葉が胸に刺さり
4人の優しい光りが登っていく
「レイちゃん!!!みんな待って!!
まこちゃん、美奈子ちゃん、亜美ちゃん─置いていかないで…。
──いやああああああ!!!」
「美しい。」
そう言ったギャラクシアの手中にはたった今奪われた4人のスターシードがあった
「レイちゃんを、まこちゃんを、美奈子ちゃんを、亜美ちゃんを─!!
返せーーーーーー!!!!」
うさぎちゃんの姿に眉一本動かす気配もなくギャラクシアは続けた。
「お前たちにいいものを見せてやろう。
私が集めた真のスターシードの数々─」
ギャラクシアの頭上には無数のスターシードがきらめていた。
その中に一際輝く黄金色のスターシードにソルは目を奪われた。
いや、反らすことができなかった。
なぜならその輝きには見覚えがあったからだ。
その昔、月から眺めた地球のプリンスのことを友人であるセレニティがよく話してくれた。
忍んで一緒に地球に降りた事もある。
あの時に見たセレニティの大切なヒト。
この地球で再び出逢ったうさぎちゃんの運命のヒト。
運命とはなんて残酷なものなのだろうか。
「っ……、まもちゃん………?」
「ほー、この金色のスターシードに惹かれるとはなかなか目が高い。これはこの星を司るスターシード。」
「そのスターシードがまもちゃんのなら、まもちゃんは………。」
「ふふふ、美しい─。地球を司るスターシード。
銀河の辺境に置くには惜しい輝きを持っている」
「地球のスターシード?」
「あれが?」
「この銀河に生きているものすべてにスターシードが宿っている。
しかし永遠の輝きを放っているのは星のエナジー宿した戦士のスターシードのみ─。」
「ソル、セーラームーンは“まもちゃん”って…。と言う事は…」
私はファイターの言葉に静かにうなずいた。
「衛さんはこの地球のスターシードの持ち主でありうさぎちゃんの恋人…」
スターライツの3人は私とうさぎちゃんの様子を見てうさぎちゃんの待ち人がすでにいないことを察していた。
「─ひどい、ひどすぎるよ!!!
そんなことになんの意味があるのよ!
どうしてこんなひどいことをするのよ!!」
マーズ
マーキュリー
ジュピター
ビーナス
まもちゃん
「どうしてか…
そういえばこのスターシードを持っていた男も同じことを言っていた。」
『悪しき野望も彼女たちが打ち砕くはずだ……』
─うさこ。
「愚かな奴だ。この銀河に愛も正義もない─
あるのは輝きだけ、より強い輝きを持つ者だけが覇者になるのだ。
さあ貴様たちも私にスターシードを捧げるといい」
「まもちゃんが─死んじゃった………」
「セーラームーン、しっかりして!!」
ソルは床に座り込み放心状態のセーラームーンの肩を揺するが何も聞こえていないようでその場から動こうとしない。
「まもちゃん…。」
「なんとおろかな事か!この場でその輝き奪ってやるわ─!」
「─っ!!セーラームーン!!」
「─ソル!だめ!!」
セーラームーンに向けられた攻撃に身構えたとき
いつか感じた優しい光に包まれた。
「─なに!?
─またあの光だ。わたしの玉座の前にやすやすと現れ、そしてまた消えるなど─
一体何者なんだ─。しかし逃しはしない、銀河は今やこの手の中。」
「─セーラームーン、気が付きました?」
セーラームーンが目を覚ますと薄暗い部屋の中だった。
サターンとプルートがあたしの顔を心配そうに覗き込んでいた。
「ここは?」
「銀河テレビの中です。」
「まもちゃんは─?みんなは─?」
周りを見れば
窓の外を見ているウラネスとネプチューン、
傷だらけで座り込むスターライツ、
壁に寄りかかって目をつぶっているソルがいた。
「突然差し込んだ光が私たちを導き合わせてくれたのです。」
「よほど疲れたのでしょう。眠っています」
そう言ったプルートの腕の中にはちびちびムーンが眠っていた。
「夢じゃなかったんだ………。」
思い出すだけで涙が止まらない。
ずっと一緒にいた仲間がもう、いない。
「まもちゃんもレイちゃん達ももういない……。
居なくなっちゃたんだ……。」
「感傷に浸っている場合か─。
こうしている間にもギャラクシアの侵略は続いている。
泣いていても状況は何も変わりはしない。」
「そんな言い方─それでも同じ星の仲間なの!」
「これは僕たちの戦いだ─。僕たちだけの力で解決するはずだった。なのに彼女たちは─」
ソルはウラネスとヒーラーの言い合いが聞こえてはいたが今は止める余裕がなかった。
みんなが私たちをかばって守ってくれた。
私たちは─私はその思いに報いないといけない。
思い出すのよ。
お母様の言葉を─。
あの話の続きに大事な事があったはずなのに─。
「行こう─。」
─っ!
「待って、私達も一緒に行くわ!」
「だめよ!そんな傷だらけの体でなにができるというの?
私たちに任せなさい。」
ソルがふっと顔を上げるとウラネスとネプチューンが決意を固めた表情をして立っていた
「そんな不安な顔をしないでソル、また傍を離れてしまうけど僕達できっとどうにかするから」
「あの時のような悔しい思いはもうしないわ。私たちの手であなたを守るわ。」
厳しい二人。
でも本当は優しくて、誰よりも使命を重んじている。
いつも、いつのときも助けられてばかり
「ウラネス、ネプチューン、ありがとう。でも、私もあのときの二の舞にはしたくない。守られてるだけじゃないから─。」
どうか二人に太陽のご加護を…
お母様…
ウラネスとネプチューンが部屋を出て行ってから場の雰囲気はさらに重くなっていた。
「私達また生き延びてしまったのね。犠牲だけを増やして─、プリンセスの敵も取れないままに……。」
「プリンセスの言う通り希望の光が見つからない限りギャラクシアには勝てないのかもしれない…」
ヒーラーやメイカーはうつむいたままうわ言のようにつぶやいた。
弱音を吐いている場合ではないが、
目の前で起こった現実から目を逸らしたかったのは皆同じ気持ちだった。
そして同じようにこの現状から目を逸らす事も許されないと分かっていた。
「ねえ、目を閉じると思い出さない?キンモク星の姿を。
自然に溢れた庭に活気に沸いた街の様子。
私は取り戻したい、三人が守ろうとしたあの星を、そしていつも笑っていた火球の笑顔を。」
スリーライツやセーラームーンがソルを見ると目をつぶって記憶の中にあるキンモク星を思いだしているようだった。
どんなに辛い事があっても私たちが逃げ出してしまっては本当に終わりになってしまう。
ソルは夢物語だと言われても綺麗事だと言われても仲間の背を押して共に挑んでいく覚悟を持っていた。
そんなソルが密かに小さく手を握り締めて震えている事に気がついていたのはファイターだけだった。
本当は怖い。
仲間が傷つくのが、失ってしまう事が怖くてしょうがない。
昔も目の前で大切な仲間を失った。
今度は何があっても守ると決めたのに逆に守られ、失ってしまった。
─それでも進むんだ。
「この地球でみんなに出会って作ってきた思い出もいっぱいある。
全部なくしたくない。私は何があっても諦めないよ。」
それまで座り込んだまま動かなかったファイターだったがソルの思いを聞いて立ち上がった。
その時、先ほどの攻防で怪我をした足が少し痛んだ。しかしこの痛みはあの子達が言葉通り身を挺して守ってくれたからこそ感じる痛み。
まだ自分達は戦える。
私たちはまだプリンセスを救う為の力がある、この子と一緒に明日をつくることが出来る。
「私もあなたの諦めの悪さが移ったみたいね。」
「ファイター?」
「私ももう一度見てみたい。
キンモク星の景色を─いいえ、見るだけじゃなくて肌で感じて触れてみたい。
そしてまたあなたとあの木に登って朝陽に照らされる街を見たいわ。」
「─うん、きっと。」
こんなところで甘い雰囲気作らないでよね、
とヒーラーたちから言われ、うさぎちゃんもこの逆行に立ち向かう決意を固めたようだった。
「あなたはセーラーソルのことが本当に好きなんですね。」
ファイターは改めて好きなんだと言われ顔が赤くなる。
それも幼いサターンに言われれば余計に─。
「──ええ好きよ。」
「よかった、私達同じ希望を持っているみたいだから。
私たちのプリンセスたちを信じて─」
「ギャラクシアは私たちの手で必ず倒して見せます。
どうか見守っていてください。」
そしてサターンとプルートの二人もその手にロッドを握りしめギャラクシアのいるフロアへと向かった。
先の未来が少し照らされた気がした。
ここにいる全員が同じ気持ちで戦っている。
それは何よりも強い力となる。
─そう信じていた。