太陽の在処~追憶の記憶
主人公の名前
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
これは少し前のお話。
私が敵の罠から目覚めてまた普段通りの生活に戻った有ある日、
みんなが私の快気祝いを開いてくれる事になった。
今回はレイちゃん家じゃなくて私のマンション。
「それじゃあ、改めて“ひなたちゃん元気になってよかったね”パーティをはじめます!」
「なにそのネーミング…。」
「まあまあ、レイちゃん。」
「それじゃあ─」
「「「「「「かんぱーい」」」」」」
部屋を提供をし、それぞれ食べ物や飲み物を持参してくれていたが
我が家のシェフであるヘリオスは「腕が鳴りますね」と年頃の女の子が好きそうなメニューをたくさん作り提供していた。
「さあ、みなさんどんどん食べてください。」
「ありがとう、ヘリオス。
ごめんなさいね、お家を貸してくれているのにお料理まで作ってもらっちゃって。」
「いいのですよ、亜美さん。みなさまには本当に感謝しているのですから。」
「そーよ!ひなたちゃんを助けたのはあたし達なんだから!
さあ、どんどん食べてどんどん飲みましょう!!」
「美奈子ちゃんここはバイキングじゃないのよ…」
「ふふっ」
いつもヘリオスと二人きりだった部屋が今日は笑い声で溢れている。
なんとなく不思議に感じる。
「でも本当にひなたちゃんが元気になってよかったよ。
星野の怪我の事もあったからひなたちゃん私のこと嫌いになっちゃったんじゃないかって思って…」
「そうよ!ひなたちゃんから連絡がなくてうさぎちゃん授業中もずっとひなたちゃんの机の方見てはため息ばっかりだったんだから!!」
「そうだったんだ…本当に心配かけてごめんね。」
「ううん、こうして元気になって本当によかったよ!」
「うん、ありがとう」
うさぎちゃんがぎゅっと私の手を握って笑ってくれ、
私もそれに応えるように握り返した。
「でもあの時のうさぎちゃんはさながら好きな男の子を待つ女の子って感じだったわよね~。
そう思うでしょ、まこちゃん!」
「え?そうだな、どっちかって言うと捨てられた子犬みたいな感じだったかな。
そういえば昔、雨の中捨て犬に傘をさしてたあの先輩、いまどうしてるんだろう…」
「自分の世界に入ったわね…」
「みたいね…」
錯覚だろうか、まこちゃんの周りにバラが飛んで見える…
「好きな男の子と言えばやっぱりうさぎちゃんは衛さんよね!」
「─え?…うん、そうだね。」
うさぎちゃん…?
「衛さん頭もいいし、かっこいいし、背も高いし!!」
「こんな出来の悪いうさぎのどこがいいのかしら!」
「…。残念でした!意地悪なレイちゃんには一生まもちゃんみたいな彼氏は出来ません~!」
「なんですって!」
「なにお~!」
一瞬悲しげな表情をしたうさぎちゃんだったけど気のせいだったかな?
少しだけうさぎちゃんの様子が気になったが、
普段通りの掛け合いを見てひなたは気のせいだったと思い直した。
「そういえばひなたちゃんはどうなの?」
「なにが?亜美ちゃん?」
「星野くんとお付き合いしてるんでしょ?」
「そうよ!ひなたちゃんにちゃんと聞いたことなかったわ!
二人はいつ知り合ったの!?どっちから告白したの!?星野くんのキスはどんな感じ!?」
「え、えと─キス?」
急な質問攻めに何から答えたらいいのか…
というかみんなの視線が怖い。
「そうだよ~あたし全然そんな話聞いたことなかったのに。
そういえば前に星野とは前世からの知り合いだって言ってたよね?」
「うん。留学先の星で知り合ったの。星野はその星のセーラー戦士だったの。最初はスターライツにすごい警戒されてて、星野ですら警戒心むき出しだったの。」
「へ~、あの星野がね。」
「それがどうして今みたいな関係になったの?」
「ん~最初は自分の気持ちに全然気がつかなくて、ただ一緒にいると楽しいし、心が落ち着くなって思ってただけだったの。
そんなとき星野たちの星でパーティが開かれてずっと女性だと思ってた三人が実は男性だったって分かって、その時に星野に誘われてダンスを踊ったの。
その後に星野から告白されて…」
「男性だって分かって急にドキドキしたの?」
「それもあるけど、意識しだしたのはもう少し前かな。
─そう、名前を呼んでくれたの。」
「名前を…?」
「うん、星が輝く夜に庭で会って少し話をして…何を話したのかは忘れちゃったけど、その帰りに星野が名前を呼んでくれて…
─すごく嬉しかった。
それまで私のこと全然認めてくれなかったし、むしろ邪魔者扱い!
でもいつかお互いの事を理解して仲良くなれるって信じてたから…。それからかな。よく話しをするようになって、いろいろ教えてもらったり、出かけたりして楽しかった。」
「いいわね~」
「ひなたちゃんの持ってるネックレスは星野からのプレゼントなんだよね?」
「うん、そのパーティの時にもらった物なの。星野からローズクオーツで私からアメジストのネックレスを渡したの。」
私はネックレスを出して見せた。
色あせない輝きはまるで星野の輝きのようだ。
「うさぎちゃんも衛さんからもらったオルゴール持ってたわよね?」
「え?─うん。」
美奈子ちゃんにそういわれて先ほどと同じような表情をしたうさぎちゃんはすぐに笑顔を見せカバンの中から星型でオレンジ色のオルゴールを出して見せてくれた。
~♪
「─優しい音色だね。
私はまだ衛さんに会った事はないけど、きっとエンディミオンのように正義感があってうさぎちゃんのことを大切に想っているんだろうね。」
「…うん。─まもちゃん今なにしてるかな。」
「衛さんのことだから外国の人にもモテモテなんでしょうね!!」
「う"─」
「そうよね、あっちにはナイスバディな女の人がごろごろいるんでしょうね!!」
「う"ーー!
でも裏を返せばまもちゃんはそんじょそこらの男の人よりかっこいいってことでしょ!
いやーあたしってなんて幸せなんだろう!!」
「うさぎちゃん無理しちゃって。ねえ、ひなたちゃん─」
「そうだねwだけど星野だってその辺の男の人には負けてないよ?」」
「ひなたちゃん!今の言葉は聞き捨てならないわ!!」
「うさぎちゃん?」
「ねえ、なんかうさぎちゃん火ついちゃった?」
「そうみたいだね」
こそこそ話している私達の声はすでにうさぎちゃんには届いていなかった。
「ひなたちゃんには悪いけど一番はまもちゃんだから!!」
「─っ!そ、そんなことないよ!星野はアイドルしてて歌も歌えるみんなが認めるイケメンだもん!!」
“むむー”と、うさぎとひなたは火花を散らせていた。
「まもちゃんは背が高くて、かっこよくて、優しいの!」
「星野だって背が高くて、かっこよくて、優しいよ!」
「まもちゃんは頭が良くて、お医者さん目指してて、アメリカの大学に誘われるほど優秀なんだから!」
「星野だって頭は…いいよ!この間のテスト全部90点以上だったもの!本人のやる気次第でいい大学だって夢じゃないよ!」
「ねえ、いつから彼氏自慢大会になったの?」
「「「さあ…」」」
「う…まもちゃんは始めは“おだんご”とか言って子ども扱いしてたけど今ではあたしのこと“うさこ”って呼んでくれてアツアツなんだから!」
「せ、星野だってファイターの時“あなた”としか呼んでくれなくてずっとツンツンしてたけど、付き合い始めてから独占欲が強くてよく一緒にいる夜天とかにヤキモチ妬いてるよ!」
「いまひなたちゃん、ちょっと星野くんの心の狭さ強調しなかった?」
「本人が気付いてないならいんじゃないの…。」
「ま、まもちゃんは大人だからあんまりヤキモチとか妬かないけど、むしろちびうさがまもちゃんにべたべたしてるとあたしの方がヤキモチ妬いちゃうんだけど…」
「うさぎ自爆したわね…」
「墓穴っていうのよね…」
「でも二人っきりだと甘えさせてくれるもん!!」
「せ、星野はお仕事が忙しくてなかなか一緒にいられないけど時間があるといつも連絡くれるよ。なにがあったとか、夜天と大気のこととか、いま空にどんな星が出てるとか。
私もベランダに出て一緒に星を眺めて見たりするから寂しくないもん。」
「ひなたちゃん健気ね…」
「いつの間にか涙が…」
「美奈子ちゃん、はいティッシュ。」
「亜美ちゃん、ありがとう。」
「ま、まもちゃんのキスは優しくて、甘くて、とにかくすごいんだから!!」
「きゃーうさぎ、ついに言ったわね///!!」
「優しくて、甘くて、とにかくすごい…/////」
「まこちゃん落ちついて!!」
「さあ、ひなたちゃん言ってやって!星野くんはどうなの!?」
「星野のキスは…」
先ほどまでの勢いはどこへ行ったのか。
ひなたの様子は見るからにへこんで行った。
「─え、まさか…まだ…?」
「……。」
「うそー!!あの星野くんが!?いかにもひなたちゃんに飢えてるような星野くんが!?」
「美奈子ちゃん、その表現はどうかと…」
「えと、前世ではあるんだけど…ひなたとしてはなくて。
そういう場面は何回かあったんだけどタイミングが悪くて…」
「タイミングなんていくらでもあるじゃない!!
デートの別れ際とか、星空の下とか、お互いの部屋とか!!」
美奈子ちゃんの挙げたタイミングは全て失敗に終わった出来事だ。
なんで分かるの!?
もしかして仕組まれた!?
いや、そんなはずは…。
その頃リビングの扉の前では…
「星野…」
「あなたって人は…」
「いや、ほんとタイミングが─」
ひなたの快気祝いに呼ばれていたスリーライツの3人は部屋の前でなかなか中に入れないでいた。
例により呼び鈴を押しても誰も出てこなかったため、
申し訳ないとは思いつつ勝手に部屋へ上がり女の子で賑わう部屋へと入ろうとしたところで聞こえてきた衝撃的な事実。
「私たちにとって大切な方を大事にしてくれてるのはありがたいですが、私たちはそこまでしろとは言っていませんよ。」
「いや、むしろ逆にそれはひなたを悲しませるだけだって分からないの?」
「俺だってキスしたいよ!って、そのタイミングを奪った一人はお前だぜ、大気!」
「大気、聞いた?キスしたいだって。こんな真昼間から何言ってんのかな。」
「夜天~お前は~!」
─────────
「でも、星野、本当にひなたちゃんのこと大切にしてるよね。
あたし教室で星野と席が近いからよくおしゃべりとかするけど、いつも星野はひなたちゃんのことばっかり話しているよ。
それに星野のひなたちゃんのこと見る顔、すごく優しい顔してる。
あんな表情してるのはひなたちゃんのこと話してる時だけだもん。
キスなんてこの先いくらでもタイミングがあるよ!大丈夫!
でも、なにか嫌な事されたらいつでも言ってね!あたしが星野をこらしめてやるから!!」
「うさぎちゃん…。うん、そうだよね!
うさぎちゃんも何かあったら言ってね!私もうさぎちゃんの役に立ちたいから。」
改めてうさぎちゃんの優しさに心があたたかくなり、
悩んでいたことが馬鹿らしくなってきた。
自分が一番わかっていた。
星野が私をどれだけ大事にしてくれているなんて。
「…ひなたを泣かせたら僕も容赦しないからね」
「まあ、そうなったら私たちがひなたさんをいただきますが。」
「そんなことにはならないから安心しろ。」
そもそも夜天も大気もなにも心配はしていないなかった。
誰よりも何よりもひなたを想っている星野を一番間近に見ていたのだから。
「「「おじゃましま~す」」」
「星野くん、夜天くん、大気さん!」
「今日はお招きいただいてありがとうございます。良ければこれどうぞ。」
「わあ~ありがとう。わざわざごめんね。」
「急に入ってくるから驚いたわ!」
「君たち、耳悪いの?
呼び鈴押しても全然出てこないんだけど。」
~
美奈子ちゃんたちが大気たちを間に挟んで再び盛り上がり始めた。
「ひなたちょっと─」
「─?なに?」
お酒がないのに酔った勢いで絡み始めた美奈子ちゃんを横目にひなたは星野に呼ばれベランダに出た。
「どうしたの?部屋暑かった?」
「いや、ひなたと二人っきりになりたくて。」
「そ、そっか。」
あんな話の後だからか妙に意識してしまう。
期待しちゃだめ。
私は今のままでも幸せ。
「思えば俺の仕事が忙しくてあんまりひなたと二人っきりになる事がないなと思ってよ。」
「そうだね。でも、気にしないで。そうやって私を想ってくれるだけで私は幸せだから。」
「─ひなた。」
「えっ─///!」
柵に肘をついて外を見ていた星野が急に私の方を向き両肩を引いてきた。
「えと、どうしたの///?」
「ひなたには本当に寂しい思いをさせてきたと思う。俺だって寂しかった。」
がんばれ俺!
今更緊張するなんてかっこ悪いだろ!
ドラマでこんなこと何回したと思ってるんだよ!
さあ、欲望に素直になれ!
好きな子に触りたいし、キスしたいし、抱きしめたいだろ!
それにキスはひなたも同じ考えだから(さっきの会話で確認済み)拒否される事はないだろ!
………うん…。
─できる!!
「俺いま、ひなたにキスしたい。」
「─ッキス!?」
「いやか?」
「そ、そんなこと聞かないで////」
よし、許可はもらった。
俺たちの時間を奪うものは誰もいない。
目の前には目を閉じるひなた。
俺もひなたのそれに合わせるように目を閉じ徐々に距離を縮める。
もう何も考えられない。
ただ激しくなる心臓の音だけがどこまでもついてくる。
「やっちゃえー星野くーん!!」
「「「「美奈子ちゃん!!」」」」
………。
「…結局邪魔するんじゃねーかーーーーー!!」
やっぱりこうなるだよな…(泣)
俺たちの様子を覗いていた仲間たちはなぜか酔った様子の愛野を引きずって行った。
なんでいつも大事な時に…タイミングの神様は俺たちに微笑んでくれないようだ。
ガクッと肩を落としている俺にひなたが寄ってきて内緒話をするように小さな声で
「またの機会にね、星野。」
「─っ///」
と、可愛いことを言って部屋の中に入っていった。
俺は火照る顔を見られる訳にいかなかったので、しばらく部屋の中に入ることができなかった。
あー可愛すぎる///
*
「でもなんで美奈子ちゃん酔ってるの?ヘリオス、酒でも出したの?」
「そういえば、料理の味付けに赤ワインを使いましたが…」
「普通、火を入れたらアルコール飛ぶよね?」
「そう…ですよね。」
なんで酔ってしまったんだろう…?