太陽の在処~追憶の記憶
主人公の名前
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月野の妹が持っていた香炉がプリンセスの持っていたそれに似ていて、気になった僕はケーキを食べていた星野たちを置いて外に出てきた。
中庭に出ると探していたその子がベンチに座っていたのを見つけた。
「ちょっといい?」
「ちび?」
香炉を小さな腕に抱え込んで僕を不思議そうに見上げている。
「その香炉ちょっと見せてくれない?」
「ちびちび?」
「─夜天!!」
「ひなた、来たの?」
僕の後を追ってきたのか少し息を切らしたひなたが慌てたようにやって来た。
「どうしたの急に教室飛び出して。─あれ、ちびちびちゃん?」
「ちび~♪」
「ちびちびちゃんを見つけたから教室を出たの?」
丁度良かった、僕じゃこの子が警戒して見せてくないかもしれない、ひなたに確認してもらおう。僕、子ども苦手だし。
「ひなた、その子が持ってる香炉に見覚えはない?」
「香炉?」
ひなたが香炉を見ようとしたときにさらに後ろから声がかかった。
「おい!夜天、ひなた!!」
「夜天あなたもう少し目立たないように動けないんですか」
大気の小言が始まる
けれど僕はそんな事は無視
僕が目立つより大事な事がある
「それより2人とも見て。あの子が持ってる香炉、プリンセスの香炉に似てない?」
「プリンセスの?」
「少し見せてもらえますか?」
「ちび」
大気が言うとちびはおずおずと香炉を見せた。
「確かに似てるな…」
「そうですね」
「でもちびちびちゃんがなんで?」
「理由がどうであれその香炉がプリンセスを探す手がかりになるんだ。それを僕達に渡して!」
「ちび!」
プリンセスの物か確証はないけど、やっと見つけた手掛かりに僕は焦らずにはいられなかった。
「夜天、無理に取り上げようとしないで!!」
「そんな悠長なことは言ってられないんだよ。僕らがどれだけプリンセスを見つけたいと思ってるかひなたは分かってるでしょ!」
「それは知ってるけど、こんな小さな子に乱暴な事しないで」
「そうだぜ夜天、少し落ち着けって」
「4人とも!!どうしたんだい、なかなか戻ってこないから心配したじゃないか」
大事なときに次から次に何なの…
僕たちを追ってきたのか、教室から様子が見えたのか、木野をはじめとしたいつものメンバーがぞろぞろと現れた。
「今日のところはいったん帰りましょう、夜天」
「そうしようぜ」
渋々といったような様子で大気になだめられるように夜天は中庭を後にすることにした。
「ひなた、ちびもごめんな。プリンセスの手がかりがなかなか掴めなくて夜天も焦ってんだ。」
「ううん、気にしないで。それに火球のこと心配なのは私も同じだし、夜天の気持ちも痛いほど分かるから。私もちゃんとみんなと話してみるね。」
「ああ、よろしくな。─じゃあまた」
「うん」
星野も二人を追いかけ中庭を後にした。
「いったいどうしたの?夜天君なんだか怖い顔してたよ」
「うさぎちゃん…」
中庭で私はみんなに事のあらましを説明した
「ちびちびちゃんの持っている香炉ね…」
「その香炉が夜天君たちのプリンセスの物に似ているってこと?」
「そうなの。私も火球に見せてもらったことがあるんだけど本当にそっくりで、それにどことなく火球の気配も感じるような…」
本当にそっくりで正直驚いている。
以前火球が私を部屋に招いてくれたことがあり、洗礼された火球の部屋にその香炉はあった。大事そうに飾られてあり、大切なものだと教えてもらったことがある。
「うさぎちゃん、ちびちびちゃんはいつからそれを持ってるの?」
「それが~私も良くわかんなくて…
ちびちびあんたそれをどこから持ってきたの?」
「きたの~?」
「その香炉は星野たちのプリンセスの香炉なの?」
「なの~?」
「だめだこりゃ」
小さい子特有のオウム返し状態にうさぎちゃんもお手上げのようだ。
しかし夜天の気持ちもわかるためうやむやにはしておけない。
私はちびちびちゃんの目線に合うように屈んだ
「ちびちびちゃん私に少し香炉を見せてくれない?」
「ちび♪」
「ありがとう」
香炉を受け取ろうとした時
「やっと見つけたわよ!
仲間が残してくれたこの手帳がすばらしいネタを提供してくれたのよ。まさかこんな平凡なお嬢さん達が真のスタージードを持っているなんてね」
「─っ!!」
「あなたは!!」
中庭に響き渡ったのはセーラーレッドクロウの声。
なんであなたがここに?
そして、なんでこんな大事なタイミングて。
みんなが警戒態勢に入り、うさぎちゃんがちびちびちゃんを抱きしめた
「さあ、スターシードを寄こしな!!セーラームーン!セーラーソル!!」
「すべてお見通しってわけか!」
「だったら手加減しないわ!」
「みんな変身よ!!」
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ひなたに謝って俺たちは学校を出た。
プリンセスの事で焦っていたのは事実。
でも─
「夜天、ああいうのはあんま良くないぜ」
「僕はただプリンセスのことを早く見つけたいんだ」
「だからって子供に乱暴な事は…」
「星野もいい加減にしてよ!僕達はプリンセスを探しているんだよ!その手がかりが目の前にあるのにどうしてそう冷静でいられるの?」
「俺はただ─!」
「二人ともとにかく戻りましょう。ここでは目立ちます」
大気の言う通りだ
再び歩き出したとき一羽の赤い蝶が俺たちの前に現れた
「この香りは…プリンセス?」
大気も夜天も同じことを思ったのか舞う蝶を見つめていた
「まさか─!」
「─星野!?」
嫌な予感がする!
俺は言葉では表せないような不安を覚え、来た道を走った
「さあ、後はあんたらだけだよ!」
全員で変身をしてレッドクロウに挑んだが
ヴィーナスたちはあっけなく吹き飛ばされてしまった
「ソル…」
「セーラームーンはそこにいて」
セーラームーンを背に庇いながら私は前に進み出た。
「待ちなさい!その子から離れて!」
「ファイター…」
「プリンセスのお導きがこんなことだなんてね」
ファイターがスターエールを構えようとした時
「おっと待ちな。
これがなんだかわかるかい?
銀河を流離うものなら知ってるでしょ。
これはブラックホール。
落ちたものは二度と戻って来られない」
その手には黒い水晶のようなものが握られていた
あれがブラックホール
聞いた事はあったけど間近で見たのは初めてだ
「そんなことしたらあなただって!!」
「どのみちあたしには後がないのよ!
さあ、あんた達のスターシードを寄こしな!」
レッドクロウのその言葉に偽りはないようで覚悟を決めたその顔は握りしめたブラックホールの結晶を砕いてしまいそうな形相だった。
「ソルやみんなには手を出さないで。
もし約束してくれるなら私のスターシードを渡すわ」
「セーラームーン!!」
「大丈夫、ソルはちびちびを…」
「─!やめて!!セーラームーン!!」
ダメ、そんなこと
あなたの輝きを敵に渡すなんて!!
「やめて…」
「それじゃあ、頂くよ!!」
レッドクロウの腕から放たれた
二つの光の弾がセーラームーンを挟むようにしてその体を貫いた。
「ああああああああーーーーーーーー!!!!!」
「やめてえええええーーーーーーーーー!!」
「あ、あ、…
うそ…うさぎちゃん…」
あたしは立っていることが出来なくなり
その場に座り込んだ
守ると、約束したのに…
私はいったい何をしているの
目の前には月のプリンセスにふさわしいスターシードを輝かせているうさぎちゃん
「こんなきれいなスタージード見たことがない」
レッドクロウがうさぎちゃんへと近づこうとしている
「やめて!うさぎちゃんに近づかないで!!」
あたしは腕いっぱい広げてうさぎちゃんの前に出た。
抑えられない涙が溢れてくる。
「ふん、いまさら─っ!」
「なに─!?」
その時私たちの間をどこからか光の弾が飛んできた。
避けようとしたレッドクロウの手から持っていたブラックホールが地面へと落ち、割れてその力が発動を始めた。
「なるほどね、こういうことだったのね。真のスターシードはあたしからギャラクシア様へお渡しするわ」
攻撃を仕掛けてきたのはセーラーティンニャンコ。
セーラームーンの側へと降り立ち、セーラームーンのスターシードを奪おうとその手を伸ばそうとしている。
しかし割れたブラックホールがレッドクロウを呑み込み、その規模を大きく膨らませてすべてを飲み込もうとしていた。
「早いとこスターシードを持って行かないとやばいみたいね」
「そんな事させないわ!」
私はセーラームーンの輝きを守るべく、側にいたちびちびちゃんに茂みの影に隠れるように伝えてティンニャンコに向かっていった。
「うるさいわね!!」
「あああああ─!!」
しかし、
ティンニャンコの攻撃で私も壁へと叩きつけられた
「スター・シリアス・レイザー!!!」
ファイターの放った攻撃もブラックホールへと呑み込まれてしまう
「駄目よ、ファイター今近づいたら!!」
「でもセーラームーンが!!」
「さて、うるさいのもいなくなったし、スターシードをいただきますか」
くっ、そんなのだめ!
まだ…まだ諦めない!!
今こそ太陽の力を─
手を組み力を集中させる
高まった力で額の太陽の印が熱くなる
「私は諦めないんだから!!!」
その声とともに溢れる太陽のエナジーが
うさぎちゃんたちを飲み込もうとしていたブラックホールを消し去った。
「なに!?このエナジーは!!─いったい、何なのよ!!」
その言葉を残してティンニャンコは逃げるようにその場を離れていった。
「すごい…ひなたの力は確実に強くなっているわ」
ファイターの声が聞こえる
「はあ…はあ…」
「ひなたちゃん─」
うさぎちゃんが美奈子ちゃんたちに支えられて私を心配そうに見つめていた。
うさぎちゃん…よかった無事だったんだ。
「ちび…」
ちびちびちゃんが私の足元までやってきて心配そうに見つめていた
「だい、じょうぶ、だよ…ちょっと疲れただけ、だから…」
ちびちびちゃんはその小さな手に持つ香炉を私に掲げてにっこりと笑った。
「ちび~」
その時懐かしい香りと共に星野たちが会いたいと心から願っていた人が現れた。
「このエナジー…まさか」
「間違いない、プリンセス…」
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「プリンセス…」
ずっと捜し求めていたプリンセスが
ひなたを支え、その姿を現した
「…火球、なの…?」
「はい、アイリア─」
おそらく気を張っていたのであろうひなたはプリンセスの姿を見てほほ笑んだ。
校舎の裏庭は夕日に照らされ、静かな空気に包まれた。
プリンセスが目の前にいる。
ずっとお探ししていたプリンセスが目の前に─。
私たちはその姿を確認すると。
溢れる涙を止める事が出来なかった。
「プリンセス、よくご無事で─」
「私達この時をどれほど待ち望んでいたことか─」
「心配をかけましたね、スターライツ。
しかし、私には大切な使命があったのです。
─ファイター、アイリアを─」
そう言われ、私はプリンセスからいつの間にか眠ってしまったひなたを託された。
「力を使いすぎましたね。少し休めば大丈夫でしょう」
「はい─」
ひなた…
あなたはまだその身の内に大きな力を秘めているのね
ただそれはあなた自身を壊しかねない…
それだけが心配だった