太陽の在処~追憶の記憶
主人公の名前
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私が敵の罠にはまりみんなに助けられてから三日経った
今とにかく忙しい
なぜなら─
『おーい!そっちの板こっちに持ってきてー!』
『これどこに置けばいいの?』
高校生活の最大イベントの“学園祭”の準備真っ盛りだからだ!!
私達のクラスは喫茶店をやることになった!!
「わーまこちゃんすごい!!その制服かわいい!上手だね!!」
「あとは詰めるだけだよ」
まこちゃんは料理もお裁縫も上手だな~
私なんてお料理はパスタくらいしか…
しかも料理工程が茹でるだけ…
う…もっとがんばらないと!
「ひなたちゃんどうしたの?ほら次ひなたちゃんの番だよ」
「うん!」
てきぱきと私の制服も仕上げていくまこちゃんの手つきに思わず見とれてしまう
───────────
『俺たちはキンモク星という星から来たんだ。
キンモク星は緑豊かな美しい星だった。
俺たち三人はプリンセスに仕える戦士で平和に過ごしていた。』
星野たちが話してくれた星野たちの星の話
語られる話の内容に暖かく優しいキンモク星の思い出が蘇る
そしてそのキンモク星が今輝きを失っている事
火球プリンセスの事
聞いていたうさぎちゃん達の表情が強ばっていくのが分かる
星の輝きを奪うものが今この地球を狙っているんだもの
「前に屋上で言ってた大切なお方って星野たちのプリンセスの事だったんだね」
「大切な人を探しているのに私達に協力してくれようとしてくれてたのね」
「そんな簡単に納得しないでよ。僕達の気持ちも知らないくせに」
「そんな事はないわ。ひなたちゃんから聞いてるかもしれないけど私達もプリンセスに仕える戦士。プリンセスは私達の光ですもの。大切に想う気持ちはよくわかるわ。」
「そうよ。こんなドジでおちょこちょいで愚図なプリンセスでもね!!」
「だ~れのことよ、レイちゃん!!」
「あんたしかいないでしょ!!」
むむむーー
「君らみたいな関係もあるんだね…」
「そうね。確かに他のプリンセスや戦士からしたらちょっと変かもしれないけど私達はお友達だから。
昔はそれなりに今の夜天くんたちのようにプリンセスとして私達も接していたけど、現世ではうさぎちゃんも戦士になって、
それ以前に大切なお友達としてとっても仲がいいのよ。
だって変身しなければ私達はただの女の子なんだから。
夢を持って生きているんだから」
「ただの女の子、ですか。」
「─ちゃん!はひなたちゃん!!」
「えっ?」
いつの間にか作業が終わっていて
まこちゃんが私の顔を覗き込んでいた
「どうしたんだい?どこか具合でも悪いのかい?」
「ううん、大丈夫!ごめんね、ボーっとして」
「わー♪ひなたちゃんもかわいい!!」
「ありがとう、うさぎちゃん!」
「これは星野くんにも教えてあげないとね~」
美奈子ちゃんがニヤニヤ顔でひなたの制服姿を見ていた
「でも星野たち最近いろいろあったからお仕事忙しいみたいで…それに星野たちのプリンセスが見つからなくて、みんな強がってるけど結構落ち込んでるみたいなの」
「それは心配だよね」
「でもこんな時だから遊べるときにぱーっと遊ばないと!
それにこんなにかわいいひなたちゃんを見ないなんてもったいないわよ!!」
うんうん!!と大きく頷いているうさぎちゃん
「そうかな…?」
「そうよ!!それに星野くんがひなたちゃんを放っておいたら他の男に取られる危険性もあるわよ!」
「それはないと思うけど…」
うさぎたちは思った
これは危険だ!
ひなたが自分の魅力に気付いていない!
(星野、オチオチしてたらひなたちゃんは他の男に持ってかれちゃうわよ!!)
─ゾクッ
「どうしたんですか星野?」
「いや、なんか今悪寒が…」
「どちらにせよ知らせるだけ知らせたら?後で知っても“後のおつり”って言うし」
「後の祭りね…」
「…星野たちに連絡しようかな?」
「星野もういい加減にしたら?」
かれこれ一時間星野はドラムを叩き続けていた
「からかわれてるみたいじゃないか!
歌って歌って歌い続けて!
俺たちのメッセージは届いてるはずなのに!
プリンセスはなぜ姿を見せてくれない!なぜだ!」
手にしていたスティックを力任せに机に叩きつけて立ち上がる星野
その姿を見て夜天は眉をひそめた
「どこ行くの?」
「頭冷やしてくる」
「そっとしておきましょう」、と大気がいうので夜天はそんな星野の背中を黙って見送ったがここにいる3人が皆、焦る気持ちを抱えていた。
街には俺たちの歌が溢れているのに…
プリンセス、どこにいるんですか?
フラフラ歩いているといつの間にかひなたのマンションの前に来ていた。
しかし現在の時刻は夜の21時。
「今行っても時間的にアウトだな…」
帰ろうと再び歩き出そうとした時
「─星野?」
目の前に制服姿のひなたが立っていた
「どうしたのこんな時間に?なにか用事だった?」
「ッお前は~!」
「えっ?」
「お前こそこんな時間に何やってんだよ!女の子がこんな時間に一人でフラフラ出歩いて何かあったらどうするんだよ!」
「ご、ごめんなさい!」
俺が急に大きな声を出したもんだからひなたは困惑したように肩をすくめた。
「あっ、悪い大声出して。でもほんと気をつけろよ」
「うん、心配かけてごめんね。ありがと星野。」
「おう…んで、ほんとにこんな時間になにやってんだよ」
「いま文化祭の準備期間で帰りが遅くて、それと買い物もしてきたから余計に遅くなっちゃって」
そういってひなたは手に持っていた買い物袋を揚げて見せた。
「そうだ、星野たちに連絡しようと思ってたの!今度の日曜日学園祭なんだよ!せっかくだから見に来てよ!」
「へえ、俺らのクラスは何やんの?」
「喫茶店だよ!かわいい制服着て、まこちゃん特性のスイーツを出すの!
せっかく高校生活送ってるんだもん、少しは楽しまないと損だよ」
「そうだな、時間作って行ってみるよ」
「ほんと?みんなも喜ぶよ!」
メニューもね、みんなで考えてて、ラテアートの練習してててね、
とひなたはクラスの様子を話してくれるが俺が気になったのは─
「ひなたは?ひなたは喜んでくれないのか?」
「えっ……嬉しいに決まってるでしょ/////」
照れているのか顔を赤く染めてそっぽを向いたひなたの様子に正直言ってマジで嬉しいし、かわいい…
そして俺はそんなひなたを優しく抱きしめた
「はー元気出る…」
「もう…。そういえばなにか用事があったんじゃないの?」
「いや、ひなたに会いたくなっただけ」
プリンセスの事で焦りと不安が募り、ここ最近はアイドル業もプライベートでもイラついていることが多かった。
そんな俺に気が付いているのかひなたも俺の背中に手を回して何も言わずに抱きしめてくれた
なんだかわからないけど泣きそうになった。
その時一羽の蝶が2人の横を通り過ぎて行った。
学園祭当日
まこちゃんのケーキ美味しさか、はたまた違う目的か、
私たちのクラスの喫茶店は繁盛していた
「人気ね」
「半分はスリーライツ目当てかしらね」
「来るわけないのにね」
「え?星野来るよ?」
「そうなの!?」
給仕の為、トレーを片手に仕切りのカーテンの隙間から中の様子を見ていた美奈子たちはひなたのその発言に嬉しさを隠しきれなかったようで萎んでいた気持ちが膨らんでいた。
「この間会って学園祭の話したら時間作って来てくれるって」
「愛の力ね!」
「さすがだね!」
口々に星野のひなたに対する愛の大きさを伝えながら、
(夜天君、早く来ないかしら!来たら美奈子のかわいいラテアートを披露して、『美奈がこれ作ったの?すごいじゃん!僕の心も美奈にラテアートしてもらおうかな?』って言ってもらっちゃったりなんだりして///////)
「あーもう!美奈、困っちゃう//////」
「え、美奈子ちゃんどうしたの、急に」
しばらくして、
「よっ!」
「こんにちは」
「はー、人いっぱい…嫌になる」
星野たちがお忍び風なのか制服にサングラスといういかにも目立つ格好で教室にやって来た。
いや全く忍んでないけど…
「みんな、来てくれたんだね!」
「ひなたがそんなに進めてくれるケーキがどんなもんかとね。こいつらも息詰まってたから連れ出した」
「逆に息詰まるよ…」
「まあまあ夜天、たまにはね」
「大気もそんなのんきでいいわけ。プリンセスは未だに見つからないっていうのに」
「まあまあ、お前らいつまでもそこに立ってたら目立つから早く座れよ」
俺のその声にひなたが俺たち3人を窓に近い席に案内してくれた。
「はい、どうぞ。まこちゃん特性チーズケーキ」
「うまそう!いっただきまーす!!」
ひなたは星野の大きな口を開けてケーキを頬張る姿になんだかキンモク星の頃の様子を思い出す。
「どうだい?結構自信作なんだけど」
「うん、うまいぜ!」
「ええ、とてもおいしいです」
「まあまあじゃない?」
「まこちゃん、夜天のまあまあはすごく美味しいだからね」
と、私は隣で3人の感想を聞いていたまこちゃんに教えてあげた。
「そんなに喜んでもらえたらうれしいよ!」
「ねえ、ひなたあれはないの?」
「あれ?」
「…サンフラワーのお茶」
「夜天、あれ好きだったの?」
「べ、別にそんなんじゃないけど!」
以前は文句言いながら飲んでいたのにそんなに気に入ってくれていたんだ。
「ふふ」
「なに?」
「ううん。ここにはないんだけど私の家にはあるよ。今度持って行くね」
「そこまでしなくても…」
「こいつキッチンでお茶入れる時いつも『キンモク茶もいいけどひなたのあのお茶も飲みたいな』って言ってるんだぜ」
「星野!僕そんなこと言ってないでしょ!」
「星野、夜天は無意識に口に出しているようですから自覚はないみたいです」
「そんなことない!木野、お茶のおかわり!!」
「はいよ!」
木野は僕が頼んだお茶のお替わりを取りに席を離れていった。
「ほんと2人して何言ってんだか…」
夜天がいまだに笑っている2人に毒つきながら窓の外を見ると
露店の間を歩いてるちびちびがいた。
あんな小さい子一人にして大丈夫なわけ?
楽しそうにスキップをしているちびちびを観察していると、
その手に見覚えのあるものを持っていることに気が付く
あれってプリンセスの香炉!?
いや、ここからじゃ分からない
もっと近くで見ないと
「僕ちょっと出てくる!」
「あっ、おい夜天!」
「あれ?夜天くん、お茶のおかわりは?」
「星野にでもあげて」
手短に返事をして夜天は教室を出て行った。
「どうしたんだあいつ…」
「なにかあったんでしょうか?」
「私、ちょっと見てくるね」
「─ひなた!」
ひなたは夜天の後を追うように教室を出た。
夜天のあの様子は気になる。
普段あんな風に慌てることはないのに。
きっと星野たちも後を追ってくるだろうけど…
なにも起こりませんように。