太陽の在処~追憶の記憶
主人公の名前
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うさぎ達ははるかを説得しネックレスを壊さないでひなたを目覚めさせる方法を探していた。
「でもうさぎ、ネックレスを壊さないでひなたちゃんを助けるってどうするのよ」
「あたしもまだわかんない。でも諦めたらダメでしょ?」
「そうね」
「そうよ、あたしたちでひなたちゃんもひなたちゃんの思い出も守りましょ」
「みんな悪い。あいつの言うとおりひなたのそばにいたのは俺だったのに何も気付けなかった。
でも俺は諦めない!ひなたを助けられるならどんなことでもする!!」
先ほどのはるかの言葉を気にしていた星野は自分を心の中で責め続けていた
「分かってるよ星野。ひなたちゃん絶対に助けよ」
「ああ」
いろいろな案を出すが何かしらの障害があり断念せざる得ないものだったり、亜美が改めてポケットコンピュータを出し調べるがやはり良い案は出なかった。
「やっぱりせつなさんが言うようにネックレスを壊すしかないの?」
「そんな…」
部屋の入り口でははるかとみちるがその会話を黙って聞いていた
星野はベッドに近づき冷たいひなたの手を握った
「ひなた…」
その時星野の持つアメジストのネックレスが光を放ちだした
「─これは!?」
「な、なに!?」
「っ!ネックレスが共鳴しているわ!星野くんそのままひなたちゃんに呼びかけて!」
「ひなた!ひひなた目を覚ませ!いつまで眠ったままなんだ!みんな心配してんだぞ!」
光は輝きを増し部屋一面に膨らみ
その場にいた全員を飲み込んだ
気が付くとあたり一面闇に覆われた空間だった
「ここは…?」
「全員いるか?」
「ええ、みんないるわ」
はるかの呼びかけに状況を確認したみちるが返事をした
「ここどこだろう。なんだか重苦しい感じがする」
うさぎが言うように体にまとわりつくような不快感を星野は感じていた
『─じゃない』
「─なんか今聞こえなかったか?」
「特になにも聞こえなかったけど」
「いや、確かに─
あれは、ひなた…?」
朧気だが少し離れたところにいたのは未だ眠ったままのはずのひなただった
「おい!ひなた!」
声をかけてもひなたは星野たちがいることに全く気がついていないようだ。
それどころか近づこうとしても全く前に進まない
「ひなたちゃん、あたし達がいることに気付いていない」
「ねえ、ひなたちゃん誰かと話しているみたいだけど…」
目を凝らしてみると
ひなたのそばにいたのはここにいるはずの星野とはるかだった
「どういうこと!?もう訳がわかんない!!」
「分かったわ!ここはひなたちゃんが囚われているひなたちゃん自身の心の中よ!」
「ひなたの心の中?」
「さっき星野くんのひなたちゃんを想う気持ちがネックレスに共鳴して私達をここに連れてきてくれたのよ」
「じゃあひなたが目を覚まさないのは…」
「あそこにいる星野くんとはるかさんになにか関係しているんじゃないかしら」
『ひなたの統率力が足りないんじゃねえの?』
『太陽のプリンセスとしての責任はないのか?』
それは…
『『お前にプリンセスとしての資格はない』』
プリンセスとしての資格…
そうだよね
確かに私はもともとそんな器でもなかった
今回のことでよく分かった
私は太陽のプリンセスにふさわしくない
全然みんなの役に立てなかった
それは自分が一番分かってる
分かってるけど…
『僕はもう君に付き合っていられない』
はるか…
「っく、勝手な事言ってくれてるじゃないか」
その様子を見ていたはるかは拳をきつく握っていた
『もうこれは必要ないよな』
それは星野からもらったネックレス
いつの間に…
もう星野には私は必要…ないって事?
『そういうこと』
その言葉とともに星野の手に握られていたローズクォーツは
粉々になり音もなくその手からこぼれていった
つぶれてしまいそうな胸を押さえ
ひなたはその光景を見ていることしか出来なかった
「ひなた!おれはお前をそんな風に思ったことは一度もない!
言っただろ!どんなことがあってもお前のそばにいるって!お前の味方だって!」
星野は首にかかるネックレスを握り締めた
「俺はお前を諦めたりしない!ひなた!!目を覚ませ!俺を見ろ!!」
『─!』
今星野の声が…
目の前の星野からじゃない
別の場所から…どこ?
『─!
ひなた!』
星野─?
『俺はお前を諦めたりしない!ひなた!!目を覚ませ!俺を見ろ!!』
目の前には自分を諦めた星野とはるか
けれどひなたの耳には諦めないと言ってくれている星野の声
まだ頑張れるの?
まだチャンスはあるの?
よく耳を澄ませば
うさぎちゃんやレイちゃんたちはるかやみちるの声までも聞こえてくる
みんなと一緒にいたいと願っても、いいの?
瞳にあふれる涙が頬を伝い雫となって零れ落ちた
その時粉々に砕けたローズクォーツのネックレスが形を取り戻し
再びひなたの手の中に収まった
輝きを放つネックレスの光で辺りが明るくなり
ここが異空間だと初めて知った
自分は囚われていたんだと
目の前にいる星野とはるかを横目に
自分を呼んでくれる声を探した
「星野!どこ!」
「─ひなた!」
一人ぼっちに感じていた空間が星野の声を聞いただけで寂しくなくなる
駆けてきた星野にひなたは抱きついた
「─星野!!
星野の声が聞こえたの。─ありがとう、信じてくれて」
「心配かけさせんなよ。おれがお前を嫌いになるわけないだろ」
胸に埋めていた顔を上げ星野の顔を見つめ
お互いに笑いあった
「お二人さーん、私達もいるの忘れないでね」
「星野早くしてよ」
わかってるって…
ボソッとつぶやいた星野だったが表情を引き締め
偽者の星野とはるかに向き直った
「おい俺の偽者!
よくもひなたを惑わせてくれたな!
この借りはきっちり返させてもらうぜ!
行くぞ、ひなた」
「うん!
ソル・オリエンスパワー・メイクアップ!!」
「ファイタースターパワーメイクアップ!!」
『くっ、もう少しだったのに』
さっきまで星野とはるかの姿をしていた影が一つになり
その傍にセーラーレッドクロウがいた
「っく、いつの間にセーラ戦士が─
まあいいさ、バレたらしょうがない。やってしまいな、セーラーカケルーン」
『了解』
「もう、あなたの幻惑には惑わされないわ」
ロッドを構える手に力が入る
「私を信じてくれる人たちがいるもの。私は、負けない!!!」
「フライニング・ソウル・ショック・エクスペンション!!」
『うわわあああああああああ─』
「今日は引くよ─」
*-*-*-*-*-*-*-
「みんな、ごめんね」
「違うでしょ、ひなたちゃん」
うさぎちゃんの言葉に
「ありがとう、みんな─」
「ひなたの心の中もいいけど俺は現実で笑ってるひなたを待ってるから」
「星野─」
白い光が闇を溶かしていった
「─んっ」
一気に視界が明るくなっと思ったらそこはひなたの部屋だった
「戻ってきたのね」
「そうみたい」
「ひなたは!?」
全員の視線がベッドに眠るひなたに向いた
「─ん…」
「ひなた!」
「ひなたちゃん!!」
「おはよう、みんな」
*-*-*-*-*-*-*
「ひなた、召し上がれ」
「ありがとう、みちる。ごめんね、おかゆまで作ってくれて」
「いいのよ。それよりひなたはずっと眠ったままだったんですもの体力を取り戻さないと」
「うん」
「ゆっくりで大丈夫だからね」
「はるかもありがとう」
「いいや、今回は僕も君に負担をかけてしまったからね。これくらいはさせてくれ」
「おーまーえーはなんでさっきからひなたに引っ付いてんだよ!」
「僕らのお姫様の介抱をするのに理由は必要ない。それよりお前はいつまでいるつもりだ。テレビでよく見るけど実は暇なのか。」
「なんだとー!!」
「結構息が合うわね、あの二人」
「ほんとうにね」
遠いと思っていた心の距離が少しずつ近づいている
いつの間にか笑いで溢れていることに驚きつつ
この距離が手の取りあえるほどの近さになればと…
ううん、今日は何も考えないでみんなで笑っていようかな