太陽の在処~追憶の記憶
主人公の名前
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どうしたらよかったの?
どこで間違えてしまったの?
わからない、わからないよ
『さあ、セーラーカケルーン
地球やつらの弱みに付け込みな』
『お任せを…』
─ピピピピピピッ
「ひなた様おはようございます。朝ですよ」
「…」
「ひなた様起きてください。─ひなた様?」
――――――――――――――
「おはよう」
「おはよう、うさぎちゃん」
「ひなたちゃんはまだよ」
教室をきょろきょろ見渡すうさぎを見て
美奈子はひなたがまだ登校していない事を伝えた。
「そっか」
始めはひなたから星野の看病がしたいから2、3日は学校を休むと連絡が入ったがそれっきり音沙汰がない。
ひなたの様子を見に行きたいがなにしろ家を知らない。
はるかたちなら知っているだろうと思ったが連絡がつかない
「あの後大丈夫だったのかな?」
「うん」
「あれからひなたちゃんからの連絡は?」
「ううん、なにも。
私のせいで星野たちが傷ついちゃったのに私なにも」
「うさぎちゃんのせいじゃないわよ!
悪いのは敵なんだから!
ひなたちゃんだってそう言ってたじゃないの」
「そうだけど」
キンコーンカーンコーン
「予鈴なったのにひなたちゃん来ないね」
「ひなたちゃんだってお休みしたい時くらいあるわよ」
「うん」
だが次の日になってもひなたは学校に来ることはなかった
一方ひなたの家では
「ひなた様…どうされたのですか。
なぜ目を覚まして下さらないのですか」
いくら声を掛けても揺すってみても起きる気配のないひなたにヘリオスは不安に駆られていた。
もしかして近頃のことで太陽の力が欠けてしまったのかと
自分の持つ太陽の力を送ってみてもひなたはピクリとも動かない。
「なにか他に原因が…」
*-*-*-*-*-*-*-*-*-
『席に着けー出席とるぞー』
今日もひなたちゃん来てない
どうしたのかな
『若宮は…今日も休みか』
星野の具合そんなに悪いのかな
それともあたしに会いたくないのかな
『みんなも体調には気をつけろー』
お休みの人結構多いな
風邪かな
ひなたのことを考えてボーっとしているといつの間にかHLは終わっていた。
しかしひなたのことだ連絡をしてこないのはおかしい。
うさぎはそう思っていた。
「ねえ、やっぱりおかしいよ!あたし星野に聞いてみる!!」
「でも星野くんたちに接触するなってはるかさんに言われてるんでしょ」
「そうだけど…ひなたちゃんのこと気になるもん!ひなたちゃんに連絡はつかないし、はるかさんたちも電話に出ないしこうなたら星野たちに聞くしかないじゃん!!」
「そうだけど、星野くんたちの連絡先知ってるの?」
「あ゛…」
「あんたって…なんでそう詰めが甘いのよ!!」
「そんなこと言ったって~」
「うさぎちゃん任せて!!この愛野美奈子、こんなこともあろうかとスリーライツの今日の仕事をリサーチしてました!!えーなになに…今日はこの後Xスタジオでラジオの生番組ですって!!」
「じゃあそのスタジオに電話すれば!!」
「星野くんたちと話ができるはずだわ!!」
「さすが美奈子ちゃん!!」
「えっへん、やるときはやる子の愛野美奈子にお任せ!!」
「本当にやるときはやるのね…」
「どういう意味亜美ちゃん?」
「それじゃあ早速…」
―プルルルルル
『はい…』
「月野うさぎです。あの…」
『なんの御用ですか?もう私達に関わらないでくださいとお話したはずですが』
「急に連絡してしまってごめんなさい。あの…星野の傷の具合どうですか?」
『あなたに話す事はありません』
『なに、誰?』
『月野さんですよ』
『おだんご?』
『聞こえたでしょう?こちらもラジオの収録がありますのでこれで失礼します』
「あっ、ちょっと待ってください。ひなたちゃん一緒にいますか?」
『ひなたさん?いいえ二日前に自宅へ帰られましたが…』
「ひなたちゃんから星野の看病で2、3日学校休むって連絡はあったんですけどそれ以来連絡なくて。学校にも来ないし、電話しても電話電源切れてるみたいで。あたしひなたちゃんの家知らないから心配で。大気さんたちならなにか知ってるかなって…」
『申し訳ありませんがなにも…星野、ひなたさんからなにか連絡はありましたか?』
『ひなたから?いや特に…そういえばメール送っても返信ねえな。学校の勉強が忙しいのかなって思ってたけど、ひなたどうかしたのか?ちょっと代わって…』
『ちょっと、星野…』
『おだんご?オレ─』
「星野!この間はごめんねあたしのせいで怪我しっちゃって…」
『気にするなって、ひなたの愛の力で元気になったから大丈夫だぜ!』
『星野やめてよ、砂吐く』
『うるさい夜天。それでひなたがどうかしたか?』
「連絡が取れなくて。学校にも来てないから心配で…星野、ひなたちゃんのお家知ってる?」
『ひなたが…』
『星野だめですよ。仕事にまた穴を開けるつもりですか?』
『大気はひなたが心配じゃないのかよ』
『心配ですよ。でも私達にはやらないといけない事があるんです。行くなとは言いません。ただ目の前にある仕事を放り出していく事は許しません。ひなたさんだってあなたが一日も早く仕事に復帰できるように看病してくださったのにそれを無駄にするつもりですか?』
『…悪かった。おだんご、ひなたのマンションの住所教えるから見に行ってくれるか?』
『もちろん。ありがとう、星野」
星野からひなたちゃんのマンションの住所を聞いて5人で行く事になった
「この部屋だよね」
「そうね、呼び鈴押してみましょう」
あれから何度呼びかけてもひなた様は目覚めない
さまざまな可能性を想定して調べては見るもののなにも分からない
日に日に顔色が悪くなっているような気さえしてきた
もう私だけの力では…
ピンポーン
またセールスか何かだろう
そう思い、いつものように無視していたが
『ちょっとうさぎ何してるのよ!』
『何か聞こえないかなっと思って…』
『だからってドアに耳くっつけてたらあたし達完全に不審者じゃない!』
うさぎさん達?
「そう言ったって、ほかにどうしろって言うのよ」
がちゃ─
「…今、鍵が開いたんじゃない?」
「そうみたいね」
「…ドア、開かないね」
「勝手に入っていいってことなんじゃない?」
「…それじゃあ、おじゃましまーす」
おそるおそるドアを開けると良い匂いのするいかにも女の子のお家という印象だった
「ひなたちゃんち素敵ね」
「ほんと、インテリアの趣味が素敵だ…今度お店教えてもらおう」
「まこちゃん…」
なにか動く気配がして足元を見るとそこには
白いふわふわの体をさらに大きくして震えているヘリオスがいた
「皆様お越しいただけてよかった。どうかひなた様を助けてください!!」
通された部屋はひなたちゃんの部屋
そこにはベッドの上で眠ったままのひなたちゃん
「どこか具合が悪いの?」
「もう2日程目が覚めないのです」
「えっ!?どういうこと?」
「何度声をかけても、揺すってみてもダメなのです」
「そんな…」
一度部屋を出てみんなでリビングに集まった
「どういうこと、じゃあ星野くんの家から戻ってから一度も目を覚ましてないってこと?」
「はい、そうなんです。はじめは大分お疲れなのかと思ってそっとしておいたのですけど何時間たっても起きてこられないので…」
『次のニュースです。ここ最近流行っている病気についてですが─』
「ねえ、このニュース…」
『年代関係なく眠ったまま目を覚まさない人が続出しているそうなんです』
「そういえば、クラスでも最近休みが多かったけどもしかしたらみんなこの病気に?」
『しかし、心配した家族の方がお医者様に見てもらってもどこも悪くないということで─』
「病気じゃないってこと?」
「ヘリオス、もう一度ひなたちゃんの部屋行っていいかしら?」
「ええ、どうぞ」
「亜美ちゃん何を?」
ひなたの部屋に入るなりポケットコンピュータを出して何やら操作し始めた
「ちょっと待って、─やっぱり…ひなたちゃんは病気じゃないわ」
「どういうこと?」
「ひなたちゃんの症状を確認したんだけど体の中で負のエナジーが渦巻いているの。そのせいで目が覚めないんじゃないかしら」
「じゃあ、他の人も?」
「たぶんそうじゃないかしら」
「どうしたらいいんだ。敵がどこにいるかもわからないし」
「でもこのままだとひなたちゃんはずっと目を覚まさないわ」
「どういうことだ!!」
突然の大声の主は星野だった。
そして後ろにはスリーライツのメンバーである大気と夜天がいた。
「せ、星野!あんたどこから入って来たのよ!!」
「そんなことよりひなたがずっと目を覚まさないってどういうことだよ!」
「星野、落ち着きなさい」
「大気さん」
「突然すみません。チャイムを押しても誰も出てこなかったので勝手に入ってしまいました」
「おい、教えてくれよ!ひなたはどういう状態なんだ」
「ひなた様は星野殿の所から戻った翌朝から目を覚ましていません。呼びかけても何の反応もない状態です」
「僕達のところから戻ってからだと2日は経ってるよね」
「なんでだよ…」
拳を握った星野はベッドに近づき、目を覚まさないひなたの肩を揺すった
「おい、ひなた!起きろよ!起きてくれよ!」
その場にいる全員がその光景に胸を痛めた
「でも、一つ分かったことがあるの。ひなたちゃんと同じ症状の人が多くなってきているの。でもお医者さんに見せても原因不明」
「と言う事は…」
「敵の仕業の可能性が大きい」
『それに加えて原因不明の病にかかった人は徐々に衰弱しているようだ』
ひなたの部屋に今までいなかった人物の声が響いた
「─はるかさんとみちるさん!!」
「勝手に上がりこんで済まないね。ただ僕らのお姫様のエナジーが不安定だったものだから様子を見に来たんだが…」
「…そんなことが分かってんなら、分かってんならどうして早く来なかったんだよ!!」
「星野!」
うさぎがとっさに星野とはるかの間に入るが今にも星野ははるかを殴りそうな勢いだ
「お前、僕の僕の言うわりに今になってのこのこやって来て徐々に衰弱していくようだ、なんてよく平然と言えるもんだな!!」
「一番傍にいて何も出来なかったやつに言われる筋合いはない。こんな事だからお前に任せられないと言っているんだ」
「なんだと!!」
「二人とも!止めて!!今はそんな事言ってる場合じゃないでしょ!!」
うさぎが声をあげた事でいったん二人の睨みあいは終わった。
このままひなたの部屋にいるのも体に障るかもしれないのでリビングに移動することになった。
「ひなたちゃんの病の原因が敵によるものかもしれないと言う可能性が出てきたけれどこれからどうしたらいのかしら?」
「はるかさんたちはこのことに気付いていたんでしょ?何か分かった事はないの?」
「私たちの知り合いも同じ症状になって一度お見舞いに行ったのよ。そうしたらまるで生気が感じられなかった。お家の方に聞いたら前日まで特に変わった様子はなかったと言っていたわ。私のミラーで覗いてみたのだけれど、どうやら深い夢の中に捕らわれているようなの」
「深い夢…?」
「ええ、暗く底が分からないくらい深い夢の中へと」
ここはどこ?
何も見えない
何も聞こえない
何も…感じない
『よう、ひなた』
星野?
『やあ、お姫様』
はるか?
二人ともどうしたの?
『あいつらとは一緒にやっていけない』
『あいつらは侵入者だ』
まだそんなこと
『俺たちとは相容れない奴らだ』
『あいつらは信用できない』
それは前に話し合ったじゃない
『ひなたの統率力が足りないんじゃねえの?』
『太陽のプリンセスとしての責任はないのか?』
それは…
『『お前にプリンセスとしての資格はない』』
私は…
私は役立たずのプリンセス
「まず敵がどこにいるかないんだけど─」
プルプル─
「せつなからだわ、もしもし─」
『遅くなってすみません。ほたると原因について調べていたら思ったより時間がかかってしまいました。』
「いいえ、大丈夫よ。それで、何か分かったかしら?」
『ええ、負のエネルギーの出どころですがそれぞれの方が持っている一番大切なものに取り付いている可能性があります。
あくまで見えたものからの臆測ですが、それに取り付いてその体の中へ侵入、力を削ぎ最終的に自然に敵の手中にスターシードが渡っていくようです。
今回は敵も強硬手段ではなく少しずつ弱らせ確実にスターシードを手に入れる方法に出たようですね』
「大切なもの」
『その物を基盤に敵は広範囲で分布しているようです。一つでもそれを叩けば敵の核を攻撃できるはず』
「わかったわ。ありがとう、せつな」
せつなが調べた事をみちるが改めて全員に説明し、
それを黙って聞いていたはるかはヘリオスに問いかけた。
「ヘリオス、ひなたの大事にしているものはなんだ?」
「ひなた様の大事にしているもの…それは─」
『もう、お前とは一緒にいられない』
星野…
『だからこれはもう必要ないよな』
それは─星野からもらった…
「それは、星野殿からいただいた」
「ネックレス/です」
「それじゃあ、そのネックレスを壊せばひなたちゃんは目が覚めるのね」
「せつなからの話だとそういう事になるわね」
「じゃあすぐにでも取り掛からないと」
全員が立ちああがりひなたの部屋へと向かおうとしたがうさぎだけがその場に座って何かを考えていた
「みんなちょっと待って!!」
「何よ、うさぎ早くしなさい」
「ねえヘリオス。星野からもらったネックレスってローズクォーツのネックレス?」
「はい、そうです。しずく型のものでいつも首に下げていらっしゃいました。」
「…そのネックレス壊さないでひなたちゃんを助けてあげられないかな?」
「何言ってるのうさぎ。せつなさんから言われたじゃない。取り付いているものを叩けば敵の核も攻撃できるって!」
「でもあのネックレスひなたちゃん本当に大切にしてた。
言ってたじゃん、生まれたときからずっと持ってたって!ローズクォーツは愛を意味する石、星野との大切な思い出があるものなんでしょ?」
「おだんご…」
「そんな大切なもの簡単に壊せないよ…」
「今はそんなこと言ってる場合じゃないだろ。ひなたの命に関わる事なんだぞ」
「それはそうだけど…他に方法があるはずだよ!」
うさぎはひなたが星野を想うローズクォーツと未だ連絡のない衛のオルゴールを重ねていた。
もし自分の立場だったらとても悲しい。
「お願い!壊さないで助けることは出来るはずだよ!」
「うさぎ…」
「うさぎちゃん…」
うさぎの必死な説得にレイたちも以前のひなたの嬉しそうな顔が浮かんでいた。
覚えていなくても大切なものだと言って大事そうに肌身離さず持っていたこと。
それは星野との思い出だけじゃなく今は亡き両親との思い出の品でもあるのだ。
そう考えると確かに簡単に壊していいものではない。
「はるかさん、みちるさん。私達からもお願いします!ネックレスを壊さないで助ける事は出来ないでしょうか?」
今まで隅で黙って聞いていた夜天が前へ出た
「こういう事言うのは癪だけど僕も壊さないで助けられるならそうしてあげてほしい。あれは二人をつないだ大切なものだから。」
「私からもお願いします」
「夜天、大気…サンキュー」
「─仕方ないわね、はるか」
「─僕らもひなたが悲しむ事は本意ではない。ただし時間はない。もし駄目だったら壊すしかないからな」
「はい!ありがとうございます!じゃあみんな他に方法がないか調べよう」
そう言ってうさぎ達はひなたの部屋に向かった
ひなたの部屋に向かおうとしていたはるかとみちるはリビングの中へと戻ることにした。
星野とのすれ違い様
「サンキューな」
「この借りはいつか返してもらうからな」
「ふっ、りょーかい」
軽く手上げて他の二人と共にひなたの部屋へと向かった星野たちを見送りはるかとみちるはソファに座った
「ほんと手がかかる子達ね」
「ほんとうにね」
「あら、私はあなたも含めて言っているのよ?」
「手厳しいな」
叶うなら太陽の姫の泣き顔は見たくない
彼女が笑っていられるように出来る事をする
それがどん残酷な事だろうと