太陽の在処~追憶の記憶
主人公の名前
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─ピンポーン
『はい、どちら様ですか?』
『ひなたです』
『ひなたさん…』
『星野の様子が気になって…』
『いま開けます』
大気の落ち着いた声がいまは逆に不安に思えるほどひなたは星野の様子が気になってしょうがなかった。
そのまま星野の部屋へと案内され
薄暗い部屋にはベッドで眠る星野と看病をする夜天がいた
「ひなた来たんだ」
「うん、星野のけがどう?」
「一応処置はしたけどつらいみたい」
「そっか…」
「あいつらの方にいなくてよかったの?」
「ちゃんと言ってきたから。それに今は星野のそばにいたかったの。」
そう、と言って夜天は座っていたイスから立ち上がって部屋を出て行こうとする
「…夜天?」
「ちょっと出かけてくる。ひなたは星野のことよろしく」
「うん、わかった」
夜天が出て行ってから少しして
「うっ…、ひなた…?」
「星野、目が覚めた?」
「ああ、お前なんで…」
「なんではこっちの台詞だよ。変身もしないで敵の前に飛び出すなんて…
心配したんだから─」
「ほんとわるい。お団子たちは?」
「大丈夫、無事だよ」
「そっかよかった」
「もう、本当に怖かったんだから!
でも私の大切な人たちを守ってくれてありがとう、星野」
「─おう」
星野は腕をゆっくりと持ち上げ私の頭をポンとなでた
痛さを我慢するかのような笑顔に心が締め付けられると同時に愛しく思った
「そういえば、大気たちは?」
「ちょっと出てくるって言ってたけど」
「…」
何かを考えている様子の星野はゆっくりとベッドから起き上がった
「くっ─」
「星野、まだ起きちゃだめだよ!」
「いま行かないとだめなんだ…」
「え…?」
その時感じた良く知った力
「星野、私も行くよ」
崩れ落ちそうな星野を支えて私達はマンションの屋上に来た
そこにはメイカーとヒーラーと共にウラヌス、ネプチューン、プルートがいた
『もう、僕達のプリンセスの前に現れるな』
『言われなくても会わないわよ』
『そちらのセーラームーンには迷惑をかけられっぱなしですのでありがたいお話です』
『わたくし達のプリンセスを侮辱することは許しません』
『許してもらわなくて結構よ』
なんでこんな事に…
「大丈夫だ…」
「星野…」
私に言い聞かせるように星野は強くうなずき5人の元へ向かった
「…お前らやめろ」
「星野─!だめじゃない寝てないと」
「みんなやめて!言い争っても何も解決しないよ!」
「ひなた、帰るぞ。そいつらといることは許さない」
「ウラヌス、なんで…」
「貴女のためよ、結局彼らは侵入者。相容れることなんで出来ない存在なのよ」
「ネプチューン、そんな事ないよ。彼らはみんなと同じ、星を守るすばらしい戦士。星は違えど志すものは変わらない。」
「ひなたさん、あなたは太陽のプリンセスなのです。この星の希望なのですよ。」
「太陽のプリンセスだから外部の戦士とは仲良くしちゃいけないの?そんなのおかしいよ…」
お母様はいずれ太陽を治める私のためにいろいろな星に行かせてくれた。それは決して間違った事ではなかったはず。
「私は自分の行動がおかしなものだと思ったことはありません。
この考えはこれからも変わりません」
「─ひなた、今日のところは僕達は戻る。だがよく考えるんだな。君はこの太陽系を照らすプリンセスなんだと言う事を。」
ウラヌスたちが屋上から姿を消してからも心の渦は一向に治まらなかった。
変身を解いた大気たちと共に星野を支えて部屋へと戻ってきた。
その間の雰囲気は終始張り詰めたものだった。
「それではひなたさん星野のことをお願いします。私達は部屋で仕事をしていますので。星野、ちゃんと休んでくださいね。」
パタン─
なんとか部屋まで戻ってこれたが傷が悪化していないか心配だった
「うっ─」
「星野、大丈夫?やっぱり動かないほうが良かったんじゃ…」
「大丈夫、だから」
気丈に振舞おうとする星野だが身体の痛みで顔が強ばっているのが見ていて辛かった。
それがすべて自分の不甲斐なさが原因だと思うと、もうどうにかなりそうだった。
「ちゃんと、みんなで話し合うから。星野たちには迷惑かけてごめんね」
「迷惑なんて思ってねえから。」
「ありがとう、星野。私がんばるから」
「ひなたはいつも前向きだな」
前向き…
「ひなた?」
突然うつむいて黙り込んでしまったひなた
「ひなた、どうかしたか?」
「そんなんじゃないよ…ただ強がってるだけ。
だけど一人で空回りしてるみたいで、今回の事だって結果的にうまくいかなかった。
プリンセスだからしっかりしないとって思ってたけど私は何も…できなかった」
瞳から流れる大粒の涙。
唇をかみ締めて嗚咽を我慢するその姿はあまり人には見せる事のないひなたのか弱い姿。
そんなひなたを星野はゆっくりと胸に抱き、あやすように背中をなでる。
「ひなた、お前が自分の使命に真剣に向き合ってることはみんなわかってる。
誰もお前を責めたりしない。
それに俺がいる。どんなことがあっても俺だけはお前のそばにいる。
辛いときには俺を頼ってくれ。
それに…正直いまスゲー嬉しい。
ひなたが俺の前で泣いてくれて。
一人で泣かれたらその涙拭いてやることもできないしな」
次にその顔を覗き込んだときには
涙で濡れてるその顔が
笑顔になっている事を願って星野はただ抱きしめるのだった
「星野、ありがとう」
今はこうしてあなたの胸に抱かれていたい
このまま、もう少しだけ…