太陽の在処~追憶の記憶
主人公の名前
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「今日の1限目は…」
「ひなたちゃーーん!!」
自分の名前を呼ばれ振り返ると
朝から元気なうさぎちゃんが私の方へ走って来た
「どうしたの?なにか忘れ物?」
「ひなたちゃんは持ってる?スリーライツと夜間飛行のチケット!!」
「持ってないよ、いま初めて聞いた」
ガタッと音がした方を見ればかばんを落とした星野
「え…持ってないのか、ひなた?」
「うん、ファンクラブにも入ってないしね」
残念そうな星野の顔を見るのはつらいけど仕方がない
「なんで言ってくれないんだよ、そしたら」
「いいの。私はスリーライツの星野じゃなくて、今ここにいる星野と一緒にいたいんだから」
「─ひなた/////お、俺もお前と一緒にいるだけで─」
自分が恥ずかしいことを口走ったと気付いたひなたとひなたの言葉で照れている星野。それを冷やかそうかどうか迷っている教室中の同級生。
「教室のど真ん中でイチャイチャするのやめてくれる?」
そんな空気を夜天はいとも簡単にバッサリ
「ほら、星野くんの彼女のひなたちゃんも持ってない訳だし、今回はしょうがないわよ、うさぎちゃん」
「う~ひなたちゃんが持ってないなら仕方ないか…
よーしそれじゃひなたちゃん今日は二人であたしのうちでお菓子いーっぱい食べよ!!」
「マカロンは絶対に食べたい!!」
「よしきた!!」
「「「ひなたちゃんもノリいいわ」」」
「それじゃ私たちはレイちゃんと待ち合わせしてしてるからここで~」
「楽しんできてね」
美奈子ちゃんたちと別れた私たちはうさぎちゃんの家に向かった
星野たちは準備があるからとお昼には早退していた
うさぎちゃんは家に向かっている途中も美奈子ちゃんたちをうらやましがっていた
「ただいま~」
「お邪魔します」
一度お泊りに来て以来うさぎちゃん家は二度目
「ちびちびちゃん、こんにちは」
「にちは~」
「ちびちびあんた何持ってんの?」
「手紙みたいだね」
「どれどれ?わー!!今日のスリーライツのチケットじゃない!しかも二枚も!!」
「手紙が入ってるみたいだよ」
「なになに、親愛なるセーラームーン様、セーラーソル様 ─え?」
『特等席をあけてお待ちしております。
必ず来ていただけるものと信じております。
かしこ
セーラーアルーミナムセイレーン』
「どういうこと、私たちの正体がばれちゃったの…?」
「わざわざチケットを送ってきたということはセイレーンは飛行機で何かするつもりなんじゃ─」
「─!ひなたちゃん行こう!もうすぐで時間だよ!」
「うん!」
飛行場に着いたひなたとうさぎはアテンドの人に押されるかたちで2階席へとあげられた
そこにはそれぞれ席についてくつろいでいたスリーライツの3人がいた
「ひなたとおだんご!?なにしてんだ?チケットないって言ってたよな?」
「星野!この飛行機止めて!このままじゃこの飛行機危ないの!!」
「ひなたちゃん飛行機が!」
「─!うそ…」
窓から外を見るとすでに飛行機は走り始めていた
「そんな…」
「ひなたも月野も座ったら」
夜天に促され一度席に座ることにした
私は夜天の隣に
うさぎちゃんは星野の隣に座ってもらった
このメンツの中では一番星野がうさぎちゃんに対してまっすぐに接してくれると思ったからだ
「どうしたの?チケットないって言ってたのに」
「実は…」
『アテンションプリーズ!!』
「なんだ!!」
『シートベルトをお閉めくださーい』
─!
「星野、夜天、大気!!」
「これは!」
突如現れたファージに星野たちはベルトで座席に固定されてしまった
「本日はご搭乗ありがとうございます」
「─セイレーン!」
「さっき言ってたのはこのことだったんですね」
「スリーライツと乗客の皆さんの命と引き換えにあなた方のスターシードをいただきます。
若宮ひなたさん、月野うさぎさん。いいえ、セーラーソルとセーラームーンとお呼びした方がいいでしょうか?」
─!!
「─どうして」
「偶然ですわ。
高校の球技大会に行きましたらお二人の変身している場面に遭遇いたしまして」
やっぱりあの時…
「さあ、お二人のスターシードをいただきます」
「「「「待ちなさい!!」」」」
「みんな!!」
「こんなことだろうと思ったわ!
映画はじまった途端にお客さん全員寝ちゃうなんておかしいわよ!!」
「あら、あなた方もどうぞ席でお休みになってください。セーラースチュワーデスさん」
「「「はーい、とびますとびまーす!!」」」
ファージがみんなにとびかかって行くと同時にバタバタと階段を転げ落ちていくような音がした
「─っ、ここにいる誰一人としてあなたに輝きは奪わせない。
セイレーンもうこんなことはやめよう」
「ふふっ、何をおしゃっているのかしら。
現に今この場にいらっしゃるお嬢さん方とスリーライツの方の運命は私の手中にあります。
強いてはこの飛行機の乗客すべてが私の思うがまま。
あなたがたお二人のスターシードを頂ければ何も問題はありません」
「それはできない相談ね」
「みなさんがどうなってもいいんですの?」
「ひなたちゃん…」
「うさぎちゃんはそのまま…」
腕を構え不敵な笑みを浮かべているセイレーンはうさぎとひなたににじり寄って来る
諦める訳にはいかない
だけどこのままじゃ今までかけてきたものすべてが─
「うぉおおおおおおお─」
「星野─!?」
振り返るとベルトを力尽くで壊した星野がポケットからインカムを取り出していた
「ファイター・スターパワー・メイクアップ!!」
─星野!
「うそ、星野が…」
セーラースターファイター…?
隣で小さくつぶやくうさぎの声をひなたは複雑な心境で聞いていた
「ファイター…」
「あなたの輝きを奪わせたくなかったの。ごめんなさいね、ひなた」
「ううん、ありがとうファイター」
星野は知っていたのだろう
私がみんなの正体をいつ話そうか悩んでいたことに
「たくっ、星野のばか。ヒーラー・スターパワー・メイクアップ!」
「メイカー・スターパワー・メイクアップ!」
「うそ、夜天くんがスターヒーラーで大気さんがスターメイカー?」
みんなはただ呆然とその光景を見ていた
「ソル・オリエンスパワー・メイク・アップ!」
「さあ、あなたたちは逃げて!!」
変身を終えたヒーラーがレイちゃんたちに逃げるように促すが
「いいえ、逃げないわ」
「え─?」
「うさぎ変身よ!!」
「うん!」
レイちゃんの掛け声でみんなもセーラー戦士へと変身した
もう少し時間をかけてからと思ってた
やっと協力して戦えるところまで来たのだからお互いの正体を明かせるようになるまであと少しと思っていたがこの展開は予想していなかった
全員がセーラー戦士へと変身し
あっという間にファージを倒していった
ひとつのフロアに9人のセーラー戦士対1人の敵というこちらが圧倒的に有利な状況ができていた
「さあ、観念しなさい!」
「今日はお日柄が悪いようですので私はここで─」
セイレーンが電話ボックスへと消えて行った後の雰囲気は最悪だった
どこかぎこちない態度をとるみんなにひなたは耐えられなかった
「今まで言えなくてごめんなさい。私はみんなの正体を知っていたのに…
でもずっと隠しているつもりはなかったの。ただタイミングが…」
「わかってるよ、ひなたちゃんが気を使ってくれてたってことは。」
「まこちゃん…」
「でもお互い急すぎたね」
「…うん」
「なに?その態度…ひなたの気持ちがわかるようなふりして傷つけるの?」
「夜天君、まこちゃんはそういうつもりで言ったんじゃないわ」
「ではどういうことですか?」
「あたしたちはただ─」
「みんな止めて!ケンカしたってしょうがないじゃない!」
「うさぎちゃんの言う通りだよ。それに私は何とも思ってないから、ね」
「ここはいったん帰りましょう。そのほうがいい」
「ほら、ひなた行くよ」
「え、うん…」
夜天に促され、気遣うような星野に支えられて私達は大気の車で帰ることになった
5人の視線を背中に感じながら