太陽の在処~始まりの物語~
主人公の名前
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キンモク星にやって来てそろそろ2週間頃だろうか
最初は冷たい目でしか見てなかったこの星の戦士たちの表情が変わってきた気がする
まだまだ進歩していない部分もあるが前よりはマシだ
本日私は調合という名の実験に挑んでいた
…こんなことしてて怒られそうな気もするがたまには、ね?
何を作っているかというと
私はキンモクセイの香水を作っていた
作り方は本を読んだり、火球にも忙しいのにいろいろ聞いた
なぜそんな事をしているかというと
みんな素敵な香りがするからわたしも自分だけのキンモクセイの香りが欲しくなってしまったのだ
道具よし!材料よし!気合もばっちり!
さあ頑張るぞ!
…と、取り掛かったのはいいものの
ん~次はなんだっけ?
ここまで出来たのに次に入れる液体が分からない…
メイカーが廊下を歩いていると誰かのうなり声が聞こえた
声の出どころであろう部屋を覗くと中にはアイリアがいた
最近の彼女はこの星の生態を調べる為よく図書部屋にいるのを見かける
やっと落ち着いたかと思っていた矢先にこんな状況
一応プリンセスという立場なのだからもう少しおしとやかにできないものか
しかし彼女はさっきから何をしているのだろう?
机の上には本がたくさん積まれ、薬品がいろいろ置いてある
中にはそれなりに危険な薬品もあるようだ
─何かを作っているのは予想できるがいったい何を?
そんな時アイリアは「これを入れると…」と言って薬品の中でも混ぜては危険な物を手に取っていた
「それを入れないでください!!!」
いきなりの登場にアイリアは持っていた液体を落としそうになった
「─っ!?メイカー!?」
「それは混ぜてはいけません!有毒なガスが発生します!」
そう言ってアイリアの持っていた液体を取り上げた
「えっ?そうだったの!?
あぶなかった…ありがとうメイカー」
「…あなたはこの城の者を殺す気ですか」
「そんなつもりはなかったんだけど…」
「では、こんなところで何をしていたんですか!?」
「…あのね、キンモクセイの香水を調合していたのよ」
「香水を…?」
「そう。みんな違う香りだけど、どこか似た香りがするの。それがうらやましくて私もそんな香水が欲しくて…」
「それでこの有様ですか…」
「…はい、そうです」
真面目に勉強をしているのかと思えば、香水の調合をしていたなんて
しかしこのまま放っておけば城の者に被害が出るかもしれない
メイカーは一つため息をついて
「分かりました、私も手伝います」
「─っえ?本当に!?」
「放っておいたらどうなるか分かりませんからね」
「ありがとう、メイカー!!」
「それでは取り掛かりますよ、私も他にやることがあるんですから」
アイリアは手順の紙を見せどこまで進んだかメイカーに伝えた
状況は最終段階まで進んでいるようだ
ただ入れようとしていた物を間違えていただけ
いろいろ工夫しているようでその点は流石だと感心した
「一応これを入れれば完成です」
「出来たんだね!」
アイリアは出来上がったばかりの香水の匂いをかいだ
「…なにか足りない」
「えっ?」
「みんなはそれぞれの個性みたいな香りがあるのに私のはなんか普通な感じが…」
「とてもいい香りだと思いますが…」
「ん~…」
早く終わらせようと思っていたのにどうしたものか
二度目のため息をひそかに漏らした
「そうだ!」
そういうとはアイリアは部屋の隅に走って行き何やらごそごそとあさっている
「あった!」
そういって手に持ってきたのは
たくさんの黄色い花びらが詰まったビンだった
「それは?」
「これはサンフラワーの花びら。紅茶に使おうと思って持ってきたの」
「サンフラワー…ですか?」
「これは私の星のお花で、花がいつも太陽を向いて咲いているの。この花自体が太陽みたいで素敵なんだよ」
「それを使うんですか?」
「できるかな…?」
時間はかかるが、ここまでやったのだから最後まで付き合うか
「分かりました、やりましょう」
「ありがとう!!」
今日は何度この子に「ありがとう」と言われただろ
普段当たり前にしていることが特別なことに思えてきた
数分後、
「────出来た!出来たよ、メイカー!」
「よかったですね」
「これもメイカーのおかげだよ♪あっ、火球にも見せてくるね」
出来上がったばかりの香水を手にアイリアは出て行った
部屋にはキンモクセイとサンフラワーで出来た優しく甘い香りがメイカーを包んでいた