太陽の在処~追憶の記憶
主人公の名前
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「ふあ~おはよう」
「夜天あなた今何時だと思ってるんですか?」
朝の静かな時間を過ごしていた大気は
たった今起きた様子の夜天に
飲んでいたコーヒーをソーサーに戻した
「10時」
「そういうことではなく、」
「たまのオフくらいゆっくり寝かせてよ」
「今日はひなたさんが来るって星野が言っていたでしょう」
「やばっ、そうだった」
「仕方ない人ですね。早く顔を洗ってきたらどうですか?」
「はーい」
『はいは短く』と軽く注意し
珍しく早起きの星野に視線を向けた
「─星野」
「ん?」
「ひなたさんの話がなんのことだか聞いていないんですか?」
「ああ、何も聞いてないな」
「そうですか…私たち3人に話したいというのはなにか大切な話でしょうか」
「本人が来れば分かるだろ」
「…そうですね」
「それで星野、」
「まだなんかあんのか?」
「そうやって外を眺めていてもひなたさんが来るのは一時間後ですよ」
「わ、わかってるって///ただ眺めてただけだから!!」
「そうでしたか、それは失礼」
ほんとうに星野はひなたさんが大切なんですね
思わず笑みがこぼれる大気だった
夜天が身支度を整え軽く朝食をとり
それぞれがなにかしらの作業をしながらひなたが来るのを待っていた
「星野、ひなたの用ってなんなの?」
「お前も大気と同じ質問かよ」
「なに?」
「いや、おれも聞いてねえよ。ただ俺らに話たいことがあるってだけ」
「ふーん」
ピンポーン
「おっ来たな!」
何の話かは分からないが
恋人であるひなたが来るだけでウキウキが止まらない星野は
多少クールさを醸し出しながら玄関の扉を開けた
「よっ、ひなた!」
「こんにちは、星野。お休みなのに無理言ってごめんね?」
今日のひなたは白のワンピースに黄色いカーディガンを羽織っていた
家の中へと招き入れ、リビングに案内するときにふわりと香ったキンモクセイの香りに
心が躍るような気分だった
「どうしたの、星野?」
「いや、なんでも─ほら大気も夜天も待ってるぞ」
「うん、お邪魔します」
ひなたを部屋の中へ招き入れると大気と夜天が一瞬俺に視線を寄越してフッと鼻で笑ってから再びひなたに視線を戻し、今度は優しい目つきでひなたに声をかけた
なんなんだよ…
「ひなたさんいらっしゃい」
「大気、夜天こんにちは。お休みなのにごめんね」
「いえ、いま紅茶でもお出ししますね」
「ありがとう」
「ほら、ひなたここに座りなよ」
夜天が自分の座っているソファーの隣にひなたを誘導した
「おい、ひなたは俺の隣だぞ」
「だれがそんなこと決めたの?」
「こらこら、そんなことでケンカしないでください。ひなたさんに笑われますよ」
4人分の紅茶をトレーに乗せて大気がリビングに戻って来た
「変わらないね、星野と夜天はwそれじゃ今日は大気の隣に座ろうかな」
「ええ、どうぞ」
ちぇーと言う星野の声が聞こえるが
そこはごめんねと謝っておいた
「それで今日は俺らになんか話があるんだろ?」
「うん、いきなりなんだけど3人に相談というか提案があって」
「その提案とは?」
飲みかけの紅茶をソーサーへ戻り
ひなたはかけていたソファーから立ち上がり
3人の真正面に正座をした
すう、と息を吸い込み
「地球の、太陽系のセーラー戦士と一緒に戦って欲しいの」
「「「はっ?/え?」」」
「ひなたさんそれは私たちがこの星の戦士たちと共に…ということでしょうか?」
「そうです」
「僕はいやだよ。いくらひなたのお願いでもそれは無理」
「おい、夜天。話くらい聞いてやれよ」
「星野は、はいわかりましたってすぐにきけるの?」
「俺は…」
「急に押しかけてこんなこと言ってごめん。それでも必要なことだと思ったからこうして相談に来たの。夜天はどうして一緒に戦えないと思っているの?」
「─所詮は違う星の戦士。彼女らはこの星を守る戦士で僕らはキンモク星の戦士。
僕らには僕らの使命があり、彼女らにも使命がある。守る星が違う。
ひなたには悪いけど、正直僕はこの星がどうなろうと構わないと思ってる。プリンセスを見つけ出したらこの星がどんな状況であろうと僕はキンモク星に帰るつもり」
「おい、夜天!お前そんなこと考えてたのか?ここにはひなたもいるんだぞ!」
「─それは分かってる。じゃあ星野はどう思ってるだよ?!プリンセスを見つけ出して星の再興をするんじゃないの?!」
「それは俺だって同じ気持ちだ。だけどプリンセスが見つかればそれでいいのか?!それってなんかおかしくないか?!」
「星野も夜天も少し落ち着きなさい。すみません、ひなたさん。しかし話があまりにも急だったものでこちらとしても話に追いつかない状況でして…」
「本当にそうだよね。私こそごめんなさい。けれど敵は今の私たちだけでどれだけ通用するかわからない。銀河にいる星々の戦士の輝きが失われていく中でこの星に集う戦士がこれだけいて、力を合わせられればどれだけ心強いか。その力は敵に打ち勝つ力、強いては3人の星を救う力にもなるんじゃないかな?」
「目的が同じでその為に力を合わせることが必要だというのは分かります。
ただ私たちもキンモク星の戦士として誇りがあります。
自分たちの星で起こったことは自分たちの力で乗り越えたいと思っています。
この気持ち分かってもらえますか?」
「大気の言いたいことは分かる。
だけど今回はそれでは無理かもしれないと大気もどこかで分かってるんじゃないの?
私は守りたいの。どんなに惨めでもどんなに傷つこうと、今私に出来る事があるなら。
そして今するべきことはこの銀河で出会った戦士達を結びつける事。
3人も感じるでしょ。この星の戦士たちの輝きを。一つ一つは小さいかもしれないけど集まれば輝きは増す。互いを信じ、立ち向かえば困難だって乗り越えられると信じてる」
「俺は─
信じる、ひなたの事を。もしこの星の戦士たちが本当に協力してくれるなら俺は一緒に戦う。」
「…悔しいですが、敵の力を間近で感じてその力が尋常ではない事を知っているのは他でもない我々です。ですが、すぐには信用できません」
「私はまずはお互いを知ってほしいと思ってる。私は3人のことも他の戦士のことも知っているけどみんなは何も知らない。そこで何か誤解が生まれているんじゃないのかなって─」
「話し合いから…ですか。そうですね、いきなり一緒に戦うと言うのは無理ですがまずは互いを知る事からなら考えないでもないです」
大気のその言葉で説得をし始めてから初めて少しだけ緊張がほぐれた気がした
─が、
「僕は信じない!信じられるのはプリンセスお一人だけだ!!」
「おい、夜天!」
─バンッ!
夜天はソファから立ち上がり部屋へと閉じこもってしまった
「ごめんな、ひなた」
「…夜天は私たちの中でも特にプリンセスを慕っていました。
あのような性格ですから周りから誤解されることもあります。
そんな中で頑なだった夜天に接してくださったのがプリンセスです。
そのプリンセスの力になりたいとキンモク星の戦士として誇りが人一番強いのも夜天でしょうね。
─紅茶冷めてしまいましたね。新しいのを入れましょう。」
大気がキッチンへと行き、続けて星野も立ち上がりベランダへと出て行った
残されたひなたは固く閉ざされた部屋の扉を見つめていた
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時間が経ち窓からは夕日のオレンジ色が差し込んできた。
星野は楽譜を読み込み、大気は紅茶を飲みながら雑誌を読んでいた。
そしてひなたは何をするわけでもなくただひたすらに夜天を説得するにはどうしたらいいのか考えていた。
夜天の気持ちが分からないでもない。
ひなたが知っている火球プリンセスとは優しく包み込んでくれるかのような暖かい人だった。その人を慕い、自分の使命を誇りに持っている夜天はすごいと思う。
だが今回は別問題だ。
この銀河を守るためにはどうしてもみんなの力が必要だった。
そしてひなたは立ち上がり夜天の部屋まで来てのドアをノックした。
「─夜天」
『もう話すことは何もないよ』
「このままでいいから聞いて。夜天の戦士としての誇りや火球に対しての気持ちを考えずに一方的なことを言ってごめんなさい。正直私焦ってたのかもしれない。プリンセスとしてしっかりしないといけないって。日に日にかげりが増してくるこの星の現状になんとかしないといけないって。
でもごめん、私の気持ちは変わらない。守りたいの、この星もキンモク星もこの銀河も。
この星の戦士たちは幾度も困難を乗り越えてきた。私は見てきた訳ではないから説得力がないかもしれないけどこれだけは分かる。彼女たちは決して弱くない。
それは力が、と言う事だけじゃなくて心根がまっすぐで決して諦めない強さを持っている。だからこれだけは信じて。キンモク星の為に彼女たちは協力してくれる」
夜天からの返事はない
シンと静まりかえり重くなった空気に今日はここまでかと肩を落とした
想像してたより結構つらいな…
星野と大気に帰る旨を伝えるためリビングに向かおうとした時
─キイ
振り返れば部屋から夜天が出てきて扉に寄りかかっていた
「夜天…」
「僕はプリンセスを見つける。見つけて、一緒に星に帰って、キンモク星を再興させるのが今の僕の使命なんだ。だからひなたには申し訳ないけどこの星の為には戦えない。だけどひなたが言うように一緒に戦うことが僕らの星の再興に繋がるのなら協力してもいい」
「うん、それでもいい。ありがとう、夜天!」
「─わぁ、ちょっとひなた!」
うれしさのあまりひなたは夜天に抱き着き
夜天はそんなひなたの行動にちょっぴり顔を赤くした
「おい、夜天!!なんでひなたが夜天に抱きついてるんだよ!!」
「夜天も隅に置けませんね」
いつからそこにいたのか星野と大気がリビングの扉の前にいた
「夜天ひなたから離れろ!」
「ひなたから抱き着いて来たんだよ。星野飽きられちゃったんじゃないの?」
「なっ、その手には乗らないぞ夜天」
「ふーん、いつまでそうしていられるかな」
再び星野と夜天の口論が始まり
そこに大気が仲裁に入り丸く収める
いつもの様子に安心する
「星野、大気、夜天、私の話を聞いてくれてありがとう。これからもよろしくね」
「ああ、よろしく」
「それより僕たちはいいとしてこの星の戦士たちの説得は大丈夫なの?あっちが納得しなかったら元も子もないじゃん」
「そうですね、特にウラネスとかネプチューンとかいう戦士たちはなかなか大変そうですが…」
「それは大丈夫、説得済みだから」
「さすがひなた!よし飯食おうぜ!安心したら腹すいた~」
「ほんと星野は単純…」
「私もお腹すいた~何か作ろうか?」
そういってひなたと星野は仲良くリビングに戻って行った
「…ひなたものんきだね」
「クスっ、でも夜天、あなたも安心したような顔してますよ」
「…大気うるさい」
「それはすみません」
「おーい大気、夜天!ひなたがなんか作ってくれるってよ!何がいい?」
「星野、あんまり豪華なものは作れないんだけど…」
大気と夜天もリビングに戻り各々食べたいものを言い合っている
その様子はとても楽しそうに見える
こんな些細な幸せが続くように
この選択が誤りではなかったと思える未来のために
私が信じる道を行こう
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