太陽の在処~新たな運命
主人公の名前
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ベランダから中へ入り変身を解く。
けが人である
星野とひなたを座らせ大気が手当てをしている。
その間僕は大気に言われてお茶の準備。
お茶って言っても緑茶じゃないよ、紅茶。
ほんとうはキンモク茶がいいけどここじゃ手に入らない。
飲みたいな…。
あっ、でもいつだったかひなたが飲ませてくれた
サンフラワーのお茶も飲みたいかも。
そんなことを考えていたらいつの間にかお湯が沸いてて
ティーセットを用意してリビングに運んだ。
丁度手当も終わったみたい。
星野はところどころ包帯が巻かれていて
ひなたはほっぺたにばんそうこうが貼ってあった。
「二人とも本当に無茶をして、星野は特に私たちがいることを知っていたんですからもう少しどうにかできなかったんですか?」
「どうにかって言われても、俺も必死だったし。」
「私が悪いの!ぼさっとしてて、だから星野に怪我させちゃって…ごめんね星野。」
「いんだよ、俺が守りたかったんだから─」
そう言って星野が優しく頭を撫でた。
「そこ、変な空気作らないでくれる。」
「変な空気ってなんだよ。」
「今みたいなのだよ。」
「はいその話はもういいです。夜天お茶ありがとうございます。」
「別にこれくらい…はい、ひなた─。」
「ありがとう。」
「夜天俺には?」
「自分で入れれば?」
「なんでだよ」
「二人とも─!」
怒られて二人とも無言で飲んだりカップに紅茶をついだりした。
「それで、若宮さん…この呼び方もなんだか不自然ですね
。私もひなたさんとお呼びしてもいいですか?
私のことも以前の様に大気と呼び捨てにして構いませんので。」
「僕も夜天でいいから。今更“くん”付けも違和感あるし─」
「うん!ありがとう、そうさせてもらうね。」
「では、ひなたさん体の調子はどうですか?あれだけの力を使って相当お疲れだと思うのですが。」
「心配してくれてありがと。ちょっとフラフラするくらいで後はなんともないよ。」
「辛かったら言えよ。」
「うん、わかった。」
「では、ひなたさんに聞きたいのですが、太陽に戻ってから何があったのか教えてもらえませんか?」
急に真面目な話になり
私は持っていたカップをテーブルに置いた。
3人も私が話出すのを待っている。
「私が太陽に戻って少し経った頃、月と地球が戦になったの」
「ちょっといいか?」
話始めたばかりで星野が待ったをかけた。
「俺、何かの本で月は地球の発展を見守るのが役目って読んだ気がするんだけど─」
「そうだよ、見守るのが役目。だからこそ私も驚いた。月は地球に攻められる理由はどこにあるのかと。」
「それではなぜ?」
「月のプリンセスと地球のプリンスが恋におちたの。」
「それで?」
「それが発端だってお父様が言ってた。」
それから私は月で起きた出来事、
戦士の力を授かり月に行ったこと、
結果月のクイーンの力を借り地球に転生したことなどを話した。
*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*
「そんなことが…」
「じゃあ、ひなたがこんな事になったのはそのプリンセスとプリンスのせいってことじゃん。」
「夜天それは違う。確かにことの起こりはそこにあったのかもしれないけど二人のせいじゃない。すべては暗黒の力のせい。そこに付け込まれてしまったから」
人はどうしようもないくらい弱くて決して一人ではいられない。
どんなに強がっていたって寂しいことには変わりはないのだから。
いつの時代も悪しきものの影はなくならない。
それでも家族が仲間がいれば立ち向かっていける。
自分は一人じゃないんだと、そう思えるから
かくいう私もそんな弱い人間の一人。
ヘリオスがいなかったらどうなっていたか。
「この地球はいつも悪しきものに奪われようとしている。それらから守ってくれていたのは月のプリンセスと太陽系の戦士達。
みんなには感謝してもしきれないわ。
私は最近前世の記憶を取り戻したばかりで戦いには今回から加わっているの。加わってるって言っても戦士になれたのはさっきだからまだまともに戦ってはいないんだけどね。」
「そうだったんですか。長い戦いが続いているんですね。」
大気は状況が見えたのか伸ばしていた姿勢を少し崩した。
「ところで、月のプリンセスと言うのはセーラームーンのことですか?」
「大気そんな訳ないじゃん。あんなのろまなヤツがプリンセスなわけないじゃん。」
「大気のいうとおり、セーラームーンが月のプリンセスだよ。夜天はのろまって言うけどあの子はまっすぐで包み込んでくれる優しさを持ってる。
そばにいるとあったかい気持ちにさせてくれるの。」
「たしかにセーラームーンは動きはのろいし、攻撃技もからっきしだけどあの眼からはそらせない力強いものを感じた。」
「星野がそう思っててくれてうれしい。
ねえ、みんなと─」
「でも、あのウラヌスとかネプチューンていうのは油断ならないね。」
私がずっと心に思っていたことを提案しようとしたところ
夜天のその言葉で言えなくなってしまった。
「そうですね。こちらも一度歩み寄ろうとしましたが、その考えは誤りでした。やはり相容れないのでしょうね。」
そんなことない。
そう言いたいけど、簡単なことじゃない事くらい
理解はしているつもり。
少しずつ、わかり合えれば。
「ところで、星野たちはなんで地球に?火球はどうしたの?」
ここからは私の知らないキンモク星での出来事。
「ひなたが戻ってからも普通の日常が続いたんだ」
「そう、ひなたが太陽に戻ってから柱にぶつかる率が高くなった星野を除いては、普通だった。」
「─夜天!それは言うなよ////」
「夜天、それだけではないでしょ。紅茶を鼻から飲もうとしたり乙女のごとく花占いをしてみたり。」
「おいこら、乙女のごとくってなんだよ!変身すれば俺だって女になるんだから!それに別に花占いしてた訳じゃ─」
「会える、会えないなんて言いながら花びらちぎってた奴がよく言うよ。」
「それに鼻から紅茶は神業でしたね。」
「そういえば下だけ寝間着であらわれた時は爆笑だったね。」
「おまえら、俺で遊んでるだろ…」
あたしはそんなにひどくなかったよ!?
「と、そんなこともありましたが、月と地球で異変が起きたとプリンセスに聞いた時はあなたの事が心配でなりませんでした。
すぐにでも様子を見に行きたくてもあまりにも距離が有り過ぎてどうしようもなく、以前プリンセスが太陽と交信してあなたの留学を受け入れたのでその方法を行ったのですが上手くいかず結局なにもわからないまま月日が過ぎて行きました。」
大気が神妙な面持ちで足を組み直した。
「月日が過ぎていく中である噂がキンモク星に広がりました。その噂は星の輝きを奪う者がいると」
「星の輝きを奪う者?」
「そいつはギャラクシアと言って周辺の星はすでにギャラクシアによって滅ぼされたとまで言われていました。実際に私たちは周りの星に視察に行きました。
そしてその噂は本当でした。
すぐにプリンセスへ報告し緊急に対策を打つことになりました。しかしすでに遅かった。敵はキンモク星に侵入してしまっていたのです。」
「僕たちは敵を倒すつもりで挑んだけど歯が立たなかった。せめてプリンセスだけも救いたいと、そのことばかり考えてた。そしてプリンセスは“希望の光”を見つけると、そう言ってキンモク星を離れたんだ」
「希望の光─」
「それがなんなのか、私たちはよく知りません。ただプリンセスは噂が流れ始めた頃から“希望の光”について調べていた様です」
「後を追って俺たちも星を離れた。そしてこの地球に辿りつき、アイドルをしながら歌でプリンセスに呼びかけてるんだ。どこにいるんですかと…」
「そうだったんだ…」
3人の気持ちを考えると胸が締め付けられるようだ
「なにもできなくてごめんね…」
「でもひなたに、アイリアに助けてもらったことがあるんだ」
星野は私を見つめて穏やかに笑った。
「アイリアがいつか言ってただろ、宮殿の庭でこの星に太陽の力を分けてるって。その力のおかげで敵が最初にプリンセスに放った攻撃を太陽の力が弾き返してくれたんだ。
その時思った、近くにいなくてもアイリアはいつもそばにいるって。」
「僕からもありがと、プリンセスを守ってくれて。」
「あの時、あなたの力を感じて私たちは失いかけていた希望を見失わずに済みました。ありがとうございました。」
普段そっけない夜天にまで感謝されくすぐったい気持ちになった。
「そっか、私も少しは力になれてたんだ…よかった。」
ふと、壁にかけてある時計を見ると
結構時間が過ぎているのに気が付いた。
「もうこんな時間!?帰らないと!!」
「じゃあ、俺送るぜ。」
「星野、いいよ。怪我してるんだから。私なら大丈夫だから」
「このくらいさせてくれよ」
上着を手に持ち、星野はそのまま玄関に向かってしまった。
「いつでも来てください。」
「またね、ひなた」
「ありがとう。おじゃましました。」
星野と二人で私のマンションまで向かう。
確かに前世では恋人だったけど
現世では友達。
ちゃんと言われてないけど私たちって、付き合ってるのかな…
急にこんな気持ちになってドキドキが止まらない
どんな話をしたらいいのか、というかどんな風に接してたっけ?
「ひなた」
「な、なに?」
急にふられるからどもってしまった。
「くくっ、どうしたんだよ。緊張してんのか?」
「だって…急にいろいろ思い出して混乱というか」
「そうだよな。けど俺はずっとお前を探してた。
この地球に来て始めて会ったときからひなたがアイリアじゃないかってずっと思ってた。だけど俺のこと全然覚えてなくて雰囲気とかそっくりだし、なにより俺があげたそのネックレスを大事にしてるひなたを見てほんとお前なんだってわかって、うれしかった─////」
隣を歩く星野を見上げれば頬が赤く染まってる。
「ありがと、ずっと待っててくれて。
でも私はアイリアであってアイリアじゃない。今は若宮ひなた。それでも星野は…」
「それでもあの時の輝きは変わらない。アイリアでもひなたでもお前に変わりない。
おまえの傍にいたいんだ、ひなた」
─うれしい
心の底からそう思える。
この気持ちをちゃんと伝えたい。
「私も星野の傍にいたい、星野のことが好きです」
「─っ////…ひなた、それ反則だろ…」
「え…?」
星野は急に手で口元を隠して挙動不審になった
『うん、あーえー』とか言っている。
あれ…
私取り違えた…?
星野はそういうつもりで言ったんじゃなかったのかな…
「あっ!違うから!!勘違いするな!!いや、ひなたが思ってることの勘違いじゃなくて!いや、そっちじゃなくて─」
「ううん、なんかごめん…」
「だから、そうじゃなくて─!あー俺もちゃんと言う。俺もひなたが好きだ。勘違いでも、聞き間違いでもなく、これが俺の気持ちだ。ひなたもそう思ってくれてるのが嬉しくて」
「そ、そっか、勘違いしちゃってごめん。」
うわっ///
もうなにがなんだかわからないけど、とにかく恥ずかしいのだけは確か。
お互い恥ずかしさでいっぱいになりしゃべることもできず
いつの間にか私の住んでいるマンションの前についた。
「ここだからもう大丈夫。ありがと、星野。」
まだ前に進もうとしていた星野は歩みを止めマンションに目を向けた。
「もう着いたのか、案外近いんだな」
なんだかここで別れるのがさびしいと感じてしまう。
学校は一緒だし連絡先も交換したのだからいつでも会えて声も聞けると言うのに。
「それじゃまたな、ひなた」
「うん、またね星野。」
太陽から月へとうつろうこの時刻(トキ)が
私たちの距離を縮める。
気付けば私は間近で星野を見上げ
星野は私を間近で見降ろす。
ゆっくり目を閉じ
あと少しで触れられる距離。
「あら!」
バッ─!!!
「あら、ごめんなさい。おばさん何も見てないから気にしないでちょうだい、ホホホホホ~」
・・・・
「そ、それじゃあな、ひなた。」
「う、うんまたね星野。」
あまりの気まずさに急いで中に入ろうとした去り際─
「次の機会まで楽しみにとっとくよ」
と耳元でささやかれ私は星野を振り返る余裕もなく全速力で部屋へ戻ったのだった。
―――――――――――――――――――――
─バタン
「ハア、ハア─」
う~恥ずかしい!
バカ、バカ、バカ!
なにやってんのあたし!!
『次の機会まで楽しみにとっとくよ』
って、思い出さなくていいから!!
落ち着け~
落ち着いて~
・・・
よしっ!!
「ただいま、ヘリオス。」
部屋に入るといつもの定位置にヘリオスがいた。
「お帰りなさいませ、ひなた様。」
「遅くなってごめんね。それと報告があるの。」
「無事、セーラー戦士になられたんですね。」
「知ってたの!?」
椅子に置こうとした鞄がするっと手から滑り落ちた。
「私は貴方の側近ですよ。そのくらいお見通しです。」
「そっか。うん、やっと私戦士になれたの。これで少しはみんなの力になれるかな」
「そうですね。しかし戦士としての力だけが支える力とは限りませんからね。ひなた様らしくおやりになればいいのでは?」
「私らしく…」
「はい。しかし、おめでたい事に変わりはありません。本日は私が夕食を作りましょう!!」
「ふふっ─、ほんとう?じゃあお願いしちゃうよ?」
「お任せください」
ヘリオスは羽を胸の前に持っていき
しなやかにお辞儀をした。
その夜はヘリオス特製の豪華な夕食が食卓に並んだ。
どうやって作ったんだろう?
「けど、美味しそうだからいっか!いただきます!」
「どうぞ、召し上がれ」
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