太陽の在処~新たな運命
主人公の名前
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走って着いた先はイルカの水槽の裏手だった。
「─っ!あの人は調教師の!」
調教師のお姉さんのスターシードは既に抜き取られおり今まさにファージへと姿を変えるところだった。
「セーラートレーナーv」
「間に合わなかった─
でもここで引くわけにはいかない!」
私がグッと手を握り攻撃に出ようとした時
「ひなた!!」
「─っ星野!?なんで来たの!!」
「お前なにやってんだよ!!」
「星野危ないから逃げて!!」
逃げてと言っても星野はその場から離れようとしない。
そんな星野に気をとられていると敵が攻撃を仕掛けてきた。
「さあフラフープくぐりの練習ですよーー!」
「っく─!」
色とりどりのフラフープがこちらに投げられた
その形は少しでも触れれば肌が切れるような鋭利な代物だった。
動きは目で追える、ただ敵に近づくのが難しいかな。
そう考えながらどうにか近づく方法を模索しながら敵の攻撃をよける。
鋭利な代物は私がよけると後ろの木に当たりドサッと道路へと木が倒れた。
それと同時に私の頬を温かいものが滴っている気がした。
そっと触ると自分の血が頬を濡らしていた。
切れ味は最高にいいみたい。
でも負けなんかいられない。
────────────
そろそろ帰らないといけないなと考えていたところで
ファージの気配を感じた。
ここでデートは終わりか。
ひなたに先に帰るように伝えようとしたら
先ほどまで嬉しそうにスノードームを眺めていたひなたは
まさかのファージの気配がする方へ駆けて行ってしまった。
─俺を残して
「─くそっ!」
俺は走った。
ここ最近で一番全力じゃないかと思えるほど無我夢中で走った。
先ほど濡れてしまった髪の毛はまだ少し湿っている。
そのせいか毛先が首元に張り付いて少しだけイラッとするけど
今はそんなことにかまっている暇はない。
ファージがいるであろう場所に着くと
ひなたが一人ファージと対自していた。
「ひなた!!」
あいつ何やってんだよ!
普通の人間が敵う相手じゃないだろ!
「お前なにやってんだよ!!」
「星野危ないから逃げて!!」
そう言ってひなたは敵の攻撃をよけながら少しずつ近づいていく。
「逃げろだって?俺がそんな事できる訳ねえだろ─」
ポケットに入れていたチェンジスターを握る。
ここで変身してしまってもいいのだろうか─
記憶の戻っていないひなたに正体を明かして今までの様にいられるのだろうか─
その時“ドサッ”とでかい音が聞こえた。
見ると敵が投げていたものが木を切り刻んでいた。
そしてひなたの頬を赤いのもがつたっている。
無駄なこと考えてる場合じゃねえだろ─俺!!
────────────
敵の攻撃は一向に止む気配はなく。
懐に入る隙も見いだせない。
しかし少しでも隙をつくらないと勝算はない。
「さて、どうしようか…」
私を追ってきた星野は先ほどから動かない。
早く逃げてほしいのに─
「さあ、ご褒美をあげましょーう!!」
投げられるそれは到底ご褒美には見えない。
先っぽに火のついた小さい爆弾がいっぱい…
敵の隙を見つけること、
攻撃をよけること、
星野の方へと行かないようにすること。
一連の流れでいろいろなことを考えなければいけない状況に
自然と動きが鈍くなる。
しかし気を付けていたのに
敵の攻撃が星野の方へと向けられてしまった。
今まさに敵の手からそれは投げられてしまった。
「っ星野─!!!」
だめ─
逃げて!!
「俺を怒らせたこと後悔させてやるぜ─」
「ファイタースターパワー・メイクアップ!!」
星野が叫んだその言葉は
みんなが変身するときに使う言葉と似ていた。
星の輝きが増した。
温かな輝きが目の前にあふれる。
光に包まれた星野は
「闇を切り裂く流離の流れ星、セーラースターファイター!ステージ・オン!!」
あの時私を助けてくれた
戦いの戦士、ファイターその人だった。
「え、、、星野がファイター…?」
「…黙っていてごめんなさい。でもあたしにあなたを守らせてほしいの。」
黙っていたのがどうこうとかじゃなくて
星野がファイターという事実にただ驚くばかりだ。
キンモクセイの香りを漂わせる戦いの戦士は申し訳なさそうな顔を引き締めて
私の前に出た─
「さあ、ここからは私が相手よ!」
「ちょっ、星─ファイター!!」
「はあああああああ─」
私が止める暇もなくファイターはこれまでのお返しとばかりに
敵に突っ込んでいく。
このままじゃいけない
なんとかしないと─!
星野の突然の変身に戸惑いを隠せない私は
上手く働かなくなった頭で整理しようと必死だった。
ファイターが敵と戦っている姿を呆然と眺めているだけの私。
その時私は自分に向かって放たれた攻撃に
気付くのが遅れた。
「ひなた─!!」
反射のような感覚で右足を一歩後ろに引いた
だけどそれはなんの意味もなさないことは分かっている。
もうだめだと思った時
目の前で起こった光景が
いつかの私の記憶とシンクロした。
『ようこそ、太陽王国のアイリア。』
『貴方は放っておいたらどうなるか分かりませんからね』
『なにしてんのよ、このまま座ってるつもり?』
『どこにいようと私が見つけるわ』
─アイリア
「くっ─」
「ファイター…?」
「ひなた、無事ね…?」
私の楯になって傷を負ったファイターは肩で息をしながら
そのまなざしはとても優しいものだった。
「ここは、あたしが。だからひなた…逃げて」
悔しいのか驚いたのか
いつの間にか涙が流れていた。
違う、この涙は
貴方に会えたから─
「言ったでしょ、私は守られるだけのプリンセスは嫌だって」
「…アイリア?」
いま再びこの戦いに挑む覚悟を
そして大切なひとを守る決意を─
右手を空に掲げると指にはめたリングが輝く
夕日に変わろうとしている私のホシに願いをかける。
どうか、私に力をかしてください。
「ソル・オリエンスパワー・メイクアップ!!!」
今こそ太陽の真の戦士へ─