先生に頼まれ事をしていたらスッカリ遅くなっちゃった

「みんな、お待たせ～」

「先生の生徒って言えば入れてもらえるでしょ！」

興奮した美奈子ちゃんを横目に

「なんの話…？」


訳がわからないまま着いてきてみたら天野川先生と大気くんの収録現場だった
子供が大勢いる収録でも落ち着いて対応している大気くんは流石だと思う

「質問のある人」

「はい！！うちのおじいちゃんが言っていたけど、人は死んだら星になるってホント？」


その質問に対して天野川先生は
「祖先の魂が星になって皆を導いてくれてるのかもしれないね」


と答えたが大気くんは
「生きている人間のパワーが星を作るんですよ」
と反論した

二人の言うことはどちらも納得出来るけど、正反対の意見だな…
この場合正解も不正解もないと思うけど…





――――――――



収録の後亜美ちゃんが大気くんに用事があるからと
エレベータの前で待つことに

「おまたせ、話ってなんですか？水野君」

「一緒にみませんか？ワタル彗星」

「まだ、そんな事言ってるんですか？もっと現実を見たほうがいいですよ」

「現実？」

「君の言う夢やロマンも雨には勝てないでしょう？」

その言葉で外を見ると

「─えっ、雨？」

「天気予報によると、明日の降水確率も100%らしいですよ。それじゃ」


大気くんがまたエレベーターに乗ろうとボタンを押した


「きっと観られます！ワタル彗星だって夢やロマンから生まれた現実です！」

「ふん。君の言う夢やロマンで雨が止められるんですか？」

「っ…」

エレベーターの扉が開き、大気くんが中に入る
「晴れたら、見に行く事にします」
そしてエレベーターの扉がしまった。



「亜美ちゃん…」

「雨止まないなー」


今日はワタル彗星の観測日
お誘いを受けていたので私は天野川先生のおうちに向かっているところ
傘にぶつかる雨音も空を覆う雨雲も機嫌を直してくれる気配はない


「きゃあああ─」

「─っ！？今のは亜美ちゃんの声！？」


お気に入りのオレンジの傘を投げ出して
声の出どころであろう家に向かって走った


家がもうすぐそこと言うところで反対の道から人影が出てきた
そこには私と同じように傘もささないで雨に濡れている大気くんだった

「─大気くん！」

「若宮さん、いったい何が─！？」


『セーラーティーチャー！！』


不審な声に振り向けば「天野川」という表札のかかったおうちに
変に奇抜な恰好をしたヤツと亜美ちゃんがいた

「─っ亜美ちゃん！」

それにあれはファージ！？
なんで亜美ちゃん変身してないの？

でも大気くんがいるからもう変身もできないし
ここはやっぱり応援が来るまで私が戦うしか─

「若宮さん！！ここは私に任せてあなたは逃げて下さい！！」

「でも、大気くんに何かあったら─」

「私もあなたに何かあったら彼に申し訳がたちません」

「彼…？」

「いえ、さあ早く行ってください！」



そう大気くんに促されてここは一端逃げるフリをすることにした


裏から回ろう─


先生のお家って意外に大きい・・・

「んーよっと─！」

登れそうな塀を見つけてやっとお庭に潜入

みなさん私は決して泥棒ではありません。


「敵は玄関にいたよね。二人とも無事かな・・・」

そーっと玄関先まで出てきて様子を伺えば
ファージと亜美ちゃんとあの人は…



「ファージ化したそいつはね、もうあなたの尊敬する教師なんかじゃないの！」

「いいえ、きっと戻ってくれる！
私たちに夢やロマン語ってくれた先生に！」

「夢やロマンがそんなに大事？」

「夢やロマンを求めるようとする心が私たち人間を動かすエナジーを生み出すのよ！」


亜美ちゃん…
その言葉でいつかのファイターと同じ格好をした戦士の空気が変わったような気がした


その後ろで今まで転がっていたファージが再びたち攻撃を仕掛けようとしていた


「勉強─」

「したくなーい！！十番高校一の秀才、歩く参考書の亜美ちゃんをいじめるなんて許さない！はきっり言って勉強は大の苦手だけど、
この愛と正義のセーラー服美少女戦士セーラームーンが月にかわっておしおきよ！」


セーラームーン
これで一安心、あのファージも浄化されて元の人に戻れるよ、


「机に向かいなさーい！
教科書を出しなさーい！
問題集を開きなさーい！」

「いやーーーー勉強きらーーーーーい！！！」

ね・・・・。

だ、大丈夫？











ちょっとハラハラしたけど無事セーラームーンがファージを浄化して
予定通りワタル彗星の観測会が始まった



「大気さんの次はあたしが見まーす！！」

「次はあたしが見るのよ！！」

「あたしの方が先に言ったもん！！」

「一秒くらい先に言ったからって威張らないでよ！」

「0.000001早くても先は先よ！！！」


うさぎちゃん、美奈子ちゃん…
順番に…；；



それにしても大気くんに怪我がなくてよかった
助けを呼びに行っている間に敵がいなくなってたって

でも今日助けてくれたあの戦士…
戦闘服がファイターと同じってことは仲間なのかな？
─敵じゃないんだよね