太陽の在処~新たな運命
主人公の名前
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学力試験が終わってその成績が貼り出された日
うさぎちゃんの声が学校に響きわたった
「えええええええ!!?また、亜美ちゃんと大気さんがトップ!!」
そう、なんと
亜美ちゃんと大気くんが同点で一位なのだ!!
「亜美ちゃんと張り合えるなんて、大気さんもたいした人だなぁ」
「ホントだねぇ」
私とうさぎちゃん、まこちゃん、美奈子ちゃんは張り出されたテストの結果を呆然と見上げていた
「すごいわ、大気さん。あ、そうだ!大気さんに宿題教えてもらわなくっちゃ!」
「あぁ!あたしも!」
「「あ…」」
そう言うな否やうさぎちゃんと美奈子ちゃんは大気くんのところにまっしぐら…
「大気くんも大変だね~」
私とまこちゃんが教室に戻れば
ひとつのノートを取り合いしているうさぎちゃん達がいた
「砂金掘ればヒット、セーフってことわざ知らないの!!」
「それって先んずれば人を制す、では?」
大気くんが美奈子ちゃんの間違いを訂正したとき
“バリ”
「あ…;」
「い…;」
「う・・・・;;え゛ーー」
「大気さん苦労するね…」
「ほんとだね…」
“ガタッ”
「あー大気のノート!!おれも写そうと思ったのに…」
そして一部始終を見ていた星野が教室の入り口で項垂れていた
「星野、邪魔」
夜天くん容赦ないね…
「マジかよ~」
ノートをとってなかった星野は自業自得だけどちょっとかわいそうに思えてきて
いまだに隅っこでしょぼくれている星野に声をかけた
「星野あたしので良かったら写させてあげるから;」
「ほんとか、ひなた?!サンキュー、助かる!!」
一気に調子を取り戻した星野に自然と口角があがる
「夜天の借りたくてもこいつノートすらとらないから」
「えっ、夜天くんノートとらないの?」
「全くとらない訳じゃないけど、ところどころ噛み合ってないと思ったらわからないとこだけ書いてるみたいでさ、俺の方が混乱したぜ」
自分の名前が挙がったことで傍で聞いていた夜天くんが不機嫌そうに腕を組んだ
「全部書く必要ないし、そもそもノートは自分が分かればいいでしょ。星野は授業中寝過ぎ」
「確かによく寝てるよね。仕事忙しいの?」
「ん?まあ俺たち人気者だし?」
「僕も大気も同じ状況なんだけど?」
「う゛…」
夜天くんの言葉はまさに真実
言い返す術もなく固まる星野に思わず吹き出してしまった
『まあ、寝てるのもあるだろうけど、ほとんどはひなたのこと見てるんじゃないの?』
「夜天─!」
「─?星野なに顔赤くしてるの?」
「な、なんでもねえよ/////」
夜天くんの声は小さくてなにを言ってたのか聞き取れなかったけど
その言葉が星野の顔を赤くしたのだろう
星野が赤くなってる
なんでだろう?
最近私、星野が気になって
授業中もついつい星野の方を見てる
真剣にノートをとってたり
ほとんどは寝てるけど…
これじゃほんとに私星野が好きみたいじゃない
あの日の公園で見た星野がどうしても忘れられなくて…
「ひなた、ノート貸して!」
「うん、いま貸す!」
「ところでお前の字、ちゃんと読めるのか?」
「そんなこと言う人にはノート貸さないよ」
「うそ!冗談!!ことばのあや!!」
「…どういうこと?」
「でね、ここの式がなぜか合わなくて…」
「そこはね、」
私は数学で分からないところを亜美ちゃんに教えてもらっていた
「あっ、ひなたちゃんちょっと待ってくれる?」
「うん、大丈夫だよ」
ごめんね、そう言って亜美ちゃんは少し先を歩いていた天野川先生に話かけた
天野川先生って見た目ちょっといまいちだけど星の話になると輝いてるんだよね
亜美ちゃんも尊敬してるみたいだし
それにしてもなんの話をしてるんだろう?
二人の邪魔にならないようにと教科書を眺めていようかと思ったところで
大気くんが話の輪に混ざって行った
不意に
『学問に夢やロマンは必要ではありません』
そう大気くんの冷めた声が聞こえた
『先生だって夢やロマンがあるから彗星を発見出来たんだわ』
二人の険悪なムードに天野川先生の困惑しているのが分かる
「今度ウチで彗星を見よう。あっ、そこの君!」
「えっ、私ですか?」
「そう、君も来るだろう?観測会」
「─はい、是非!!」
では、失礼と言って
大気くんが階段を下りていく
「・・・。亜美ちゃん、教室で待っててくれる?」
「ええ、わかったわ」
私は大気くんを追った
「大気くん!!」
「若宮さん、何か?」
「えっと、なんかやけにむきになってたからどうしたのかなって…いつもの大気くんなら相手の意見もしっかり聞いているのになって思って…勝手なこと言ってごめん」
「いいえ、そうですね…なんというか甘いなと」
「─甘い?」
「ロマンさえあればなんでも出来る、みたいなことを言っていたので少々むきになってしまいました」
「大気くんはロマンは嫌い?夢は必要ないもの?」
「人間努力が肝心と言うことです。
努力もしないで夢やロマンを語っていても仕方がないでしょう」
「確かに言いたいことは分かる。
でも、夢を持っていることって素晴らしいことだと思うな
大気くんはないの、夢?」
「夢ですか。
残念ながら、私には夢なんてありません。
あるのは使命、それだけです」
「使命…
それがスリーライツの歌に関係してるのかな?」
─っ?!
「でもきっと使命とは別に夢があるはずだよ。
その夢が大気くんに使命とは違う力を与えてくれるはずだよ」
「使命とは違う力。
今はよく分かりませんが、考えてみます」
「─ありがとう、大気くん!」
『ありがとう、メイカー』
「あなたは本当に変わりませんね」
「?」
「いえ、なんでもありません
それでは私は収録に行きますので」
「引き留めてごめんね」
「─それでは」
ついむきになってしまって私も大人げない
この世界の住人は夢やロマンに執着しすぎると思います。
そのために今やるべきことが見えていない。
私には夢もロマンも必要ない
ただあの方が見つかれば、全てが上手くいく
そう思って毎日必死に頑張っています。
確かに幼い頃は夢があった気がします。
今は見えない夢、いつか見える日は来るのでしょうか…
アイリア、あなたは本当にあの頃と何も変わらない
だけど、まだ私は夢やロマンにうつつを抜かしている暇はありません─