太陽の在処~新たな運命
主人公の名前
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クラウンでみんなと別れ一人公園の中を歩いていた私は
聞こえてきた悲鳴の元へと向かっていた
「う~ん、これもハズレだわ~
可笑しいわね、ちゃんと下調べはしてきたのに」
私が声の聞こえたところにやってくるといつか見た白い女の子がいた
その子の近くには気を失ったかのような男性
その額には黒い水晶があった
「あなた何をしているの!!」
「あらま、見られちゃったらしょうがないわね。あなたこの子の相手してあげてちょうだい」
この子がみんなが言っていた敵みたいだね
スターシードという星の輝きを探しているとか
「早くその人の輝きを戻して!!」
「ごめんなさ~い。わたしもう今日上がりなの。
後はよろしくチュー」
「待ちなさい!!!」
敵が消えたかと思うと男性の体を黒いものが覆って
「セーラーポストマン!!」
「…」
なにあれ?
セーラー、ポストマン?
あら、ご丁寧にセーラー襟まで付けちゃって
「あなたにお手紙が届いてまーす」
ものすごい勢いでブーメランのごとく武器が飛んできた
─っ!!
態勢を低くして後方に跳んだ
すると私が今までいた場所に刃物のような葉書が刺さっていた
「あれはヤバイ;;」
判断が遅れていたかと思うと冷や汗ものだ
「あなたに暑中お見舞いでーーす!速達でーーす!結婚報告でーーす!!喪中ハガキでーーす!!」
敵はこれでもかといろんな手紙を飛ばしてくる
私はそれらを一つ一つ目で追って交わす
「これはラブレターでーす!!受け取ってくださーい!!」
「いりません!!」
敵が手紙を投げた瞬間が一番無防備になる時を私は見逃さなかった
そこをついて私は相手のギリギリまで寄り
一度体制を低く構え肘を上に向け顎に思いっきり突き上げてやった
「ふごっ!!」
隙をついて続いて地面に伏せる格好で両手をつき
態勢を左に倒し、右足で勢いよく相手の両足を払った
「ぐわっ!!」
倒れ込んだのを確認して敵と距離をとった
「はあはあ─よかった体術覚えてて。
でもどうしよう、うさぎちゃん達に連絡した方がいいよね」
と油断したのがいけなかった
「ね、年賀状が届いてまーす!!」
─しまった!!
まさにそれはスローモーションのようにゆっくりと私に向かって飛んできた
だけど私は動けなかった
ゆっくりと飛んでいるように見えるけれど
実際のスピードはもっと速いのだと私の頭はしっかりと認識していたからだ
─やられる
「スターシリアス・レイザー!!!」
「ぐわあああああ─」
光りの光線が放たれたかと思ったら
葉書も敵も黒焦げになっていた
すごい─
「あなた大丈夫?」
「えっ?」
放心状態だった私を呼び戻したのは凜とした声だった
黒い戦士服に長い黒髪を後ろで一つにまとめている戦士
「あなたは…あの時の─」
「のんびりしてる暇はないわね、ちょっとごめんなさいね」
「え─ちょっと!?」
するとその戦士は私の膝うらと上半身を支え
いわゆるお姫様抱っこ状態で
軽やかに飛翔した
事の状況に戸惑い思わず戦士の首に手を回してしまった
「大丈夫よ、しっかり掴まってちょうだい」
“ふわ”
この香り…キンモクセイの香り?
前を見つめているその戦士の顔を私は少し下から見上げた
そして、なんだか無性に泣きたくなった─
近くの森のなかに降り
ゆっくりと私を地面におろしてくれた
「助けていただいて、ありがとうございました」
「気にしないで。でも、もうあんな危ないとこに近づいちゃダメよ」
「善処します…」
「─そうよね、あなたはそういう子よね…」
優しくなった彼女の表情にうれしいような
懐かしいような、
そんな感情を抱いた
「あの─!お名前教えてもらえますか?」
「ファイターよ、セーラースターファイター」
「ファイターさん…」
「ファイターでいいわ、あなたにはそう呼んでもらいたいの」
「どういう─?」
「それじゃ、もう行くわね」
そう言って彼女は地面を蹴って行ってしまった
ファイター、戦いの戦士…
始めに思っていた通り悪い人じゃないみたい
あんなに優しい瞳をしているんだもん
でもさっきの敵はどうしよう
ファイターが戻って行ったんだろうけど
すると敵がいた方角からセーラームーンのエナジーを感じた
よかった
来てくれたんだ
それじゃここに残っている必要もないし
「帰りますか」
森を抜けると先ほどまで歩いていた通りに出た
最初の目的を思い出して商店街に向かう
「あれ、ひなたじゃん」
「─星野?どうしたの?」
そこには鞄を担いだ星野がいた
「いや、今帰り」
「そうなんだ。あっ、今日ごめんね断って」
「別に大丈夫だけどさ、そっちの用は済んだのか?」
「うん、今日は昔からの大切な友達に会って来たの」
「へ~そうだったのか。よかったな!」
人懐っこい笑みでそう言われればこちらもうれしい気持ちが倍になる気がする
「うん!それで、星野は私になんか用事だったの?」
「用事って訳でもなかったんだけど、なんかひなた雰囲気変わったなと思って」
「雰囲気?そうかな…自分じゃわからないからな~」
「なんかあったら、相談乗るぜ」
「ありがと、その時はお願いします」
「おう、任せとけ!!」
星野とのこういった雰囲気、好きだな
おどけているよういて、でも真剣になってくれているような
出会ってそんなに時間は経っていないのに
どうして星野は私にこんなによく?してくれるんだろう?
「ねえ、星野」
「ん、なんだ?」
「星野と私どこかで会ったことある?」
一瞬、ほんとうに一瞬だけ星野の表情が揺れた
やっぱりなにかあるの?
「あるなら私─」
「少しずつ、」
「えっ?」
「少しずつ思い出してくれればいい。焦んなくていいから」
“ドキっ”とした
テレビで見る顔よりも雑誌に載っている顔よりも
いまここで私に向けているその笑顔が
誰よりも美しく、優しく
私を見つめているのだから
「あ~でも腹減った!!なんか食って帰ろうぜ!!」
「なんかってなに?おうちでご飯作らないといけないんだけど」
『そうだな~』
そう言って考え出した星野のリクエストは
「やっぱバームクーヘンじゃね?」
「バームクーヘン?なんでまた?」
「いいから、行くぞ!俺のおごり」
「ほんと!?やったあ!!」
「現金なヤツww」
星野、あなたと一緒にいると
心が温かくなるのはなんでだろう