太陽の在処~新たな運命
主人公の名前
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─バタン
「ただいま」
その言葉に返事はない
夕日に染まる部屋
「ただいま、お父さん、お母さん」
チェストの上に置かれた一枚の写真
腕を組んで笑っている二人は私のお父さんとお母さん
二人は今も空の上で笑っているだろう
亜美ちゃんに言ったことは嘘ではない
今回私が十番街に越してきたのは本当にお父さんの仕事の都合
けれど本来3人で笑って暮らすはずだったこのマンションに住む前に二人は事故で亡くなっしまった
───────────
それは本当に突然だった
現実が現実として受け入れることがこんなにも辛いことなのだと今回のことで痛感させられた
心に黒い塊を抱え込んで涙に明け暮れる毎日
そんな時に傍にずっといてくれたのが白ハトのヘリオスだった
ヘリオスと出会ったのは両親が亡くなってすぐのころ
陽があたらない部屋の中で一人膝を抱えているところにどこからか迷い込んできた
すぐどこかに行くだろうとほっておいたが
何日も飽きることなく白ハトは私の傍らにいた
流石にこのままじゃ白ハトが死んでしまうのではと思い私はのそのそと動き出した
パンは食べるのかな?
白ハトにあげればそれを食べてくれた
よかった…
安心したのも束の間“グー”・・・
生きてれば、どんなに悲しくてもお腹がすくんだと改めて感じた
簡単なものを作って自分のお腹を満たした
ふと空が見たくなった
窓辺に近づいく私の後ろを白ハトがついてくる
窓を全開に開ければ バサッ と白ハトが空に舞い上がった
その空はキラキラと輝いていた
大空に飛び立った白ハトの周りには虹色に輝く光の輪ができている
その体を覆う白い羽が光で輝いて見える
『太陽みたい…』
なんて自由なんだろう─
いつの間にか白ハトは私の足元に戻って来ていた
『あなた私の傍にいてくれるの?』
白鳩は鳴いて私の言葉を肯定してくれるようだった。
『ふふっ、
じゃあ、あなたの名前はヘリオスね。ギリシャ神話に出てくる太陽神なのよ。
あなたにピッタリ』
「ヘリオス、ただいま。今日は何にしようかな~」
本当はあのままあの家に住んでても良かったんだけど
すでに新しい家の契約は決まっていたし
ヘリオスと新しい人生というのも悪くない
新しい環境と新しい出会い
現に今日、素敵な友人に出会った
鞄をテーブルに置き窓辺に設置した止まり木にいるヘリオスに語りかけた
「聞いてヘリオス、今日ね新しい友だちができたの♪
その中でもうさぎちゃんって子が一番元気が良くてこれからの高校生活がとっても楽しみなんだ──それに、なんだか懐かしい感じがするの…」
そう、うさぎちゃんと一緒にいるととても懐かしい気持ちになる
鞄から教科書などを取り出していると一枚のCDが出てきた
それは今日クラウンの帰りに美奈子ちゃんから渡されたスリーライツのCDだ
『ステキな曲だから聴いてみて!!』
ほぼ脅しに近いような迫り方で受け取るしか方法がなかった;;
せっかく借りたんだから聴かないと悪いよね…
ケースを開けてCDをコンポにセットする
流れてくる曲を聴き流しながら食事の支度に取り掛かる
『きみはいつもかがやいてた
笑顔ひとつちいさな星
大切にしてたよ(永遠のStarlight)
あの日ぼくは 守れなくて
くやし涙 こらえてただけ
痛みが残るよ(忘れられないSweet heart)
Search for your LOVE 宇宙の水晶
Search for your LOVE なかないでくれ
Search for your LOVE ほんとうはだきしめたいのさ
君の香りずっと(さがしてる)
ぼくの声よとどけ(あいしてる)
いまどこにいるの(Moonlight Princess)
ぼくのプリンセス …』
いつの間にか手を止めて歌に聞き入っていた
そして胸が苦しくなると同時に涙があふれてくる
この歌にはメッセージが込められている…そんな気がする
心に響いてくる3人の想い
──こんな歌を歌う人がいるんだ
彼らが求め続けるプリンセスとはどんな人なんだろう
悲しみと暖かさが入り混じる曲は不思議と私の心をつかんだ
不意に両親の写真の隣に置いてある
オレンジ色のリボンがついた香水瓶が目に留まり手に取った
込み上げてくるこの懐かしさはなに…