太陽の在処~始まりの物語~
主人公の名前
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一つの光が辺りを包んだ
『──ヒーリング・エスカレーション』
辺り一面が暖かいエナジーに包まれた
このエナジーはクイーン・セレニティ…?
限界に近づいた体に鞭を打ちながら
私は光の発信源に向かった
そこにはルナともう一匹、白い猫のアルテミスがクイーンを案じる様に傍に控えていた
私もすぐさまクイーンに近づく
「……クイーン、ご無事ですか?」
「あなたは、アイリアですね…ごめんなさいあなたを巻き込んでしまって─」
地面に膝をつき息も絶え絶えのクイーンは私を確認するとそう言葉を発した
白の純白のドレスも白銀に輝く髪も今はその色を失おうとしている
「いえ、今回のことに気付けなかったのは私たちも同じです。それに、セレニティのことも…」
目の前で失ってしまった大切な友
いまこの星にはどれだけの人が生きているのだろう
私たち以外にどれだけの人が輝きを失わずにいるのだろう
「─私は今持てる力をすべて使いセレニティや戦士たちを転生させます」
「─クイーンそんなことをしたらあなたのお命が!」
アルテミスがクイーンの言葉に真っ先に反応した
「ルナ、アルテミスあなた達もともに行きなさい。いつか皆が新たな星で使命を帯びたとき支えになってあげてください」
「「クイーン・セレニティ…」」
そしてクイーン私を見て言葉を続けた
「アイリア、あなたは太陽に戻りなさい。あなたを失ってしまったら私はあなたのお母様に申し訳がたちません。月の輝きが失われても太陽がこの銀河を照らしてくれればいつかまた巡り会えます。ですから─」
「…いいえクイーン、私も皆と一緒に転生します。このボロボロの体では銀河を越えられません。お母様もきっと分かって下さるでしょう…」
「ですが─!」
「転生して皆の支えになりたいのです…私は太陽のプリンセスとして皆を導いて行きたい!お願いです、クイーン・セレニティ…」
足元でルナとアルテミスが不安そうに私たちを見上げている
ヘリオスもじっと私たちの会話に耳を傾けている
「……わかりました、アイリアどうかあの子たちを導いてあげてください」
「─はい、かならず」
─お父様、お母様
私は太陽のプリンセスとしての使命を果たしにみんなと共にいきます
みんなの為にこの力輝かせてみせます
いつかまたお二人の元へ会いに行きます
それまでしばしのお別れです
─ファイター
あなたとの約束守れなくてごめんね
戦士になったらあなたに稽古をつけてもらう約束は私からお願いしたのにね
私は自信家で何事にも一直線なあなたが大好きです
ファイター…星野、またあなたに会える
そんな予感がするの
だからさよならじゃない
またね、星野─
クイーンがロッドを空高く掲げる
首にかかるローズクオーツをそっと握り
溢れだした光に目をつぶった
優しい揺り籠のようなまどろみのなかで
私たちは明日(ミライ)へと旅立った──
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「─っ!アイリア!」
祈りの間でアイリアの無事を祈っていたクイーンは娘の異変にいち早く気付いた
「──あなたは未来に希望を託したのですね…」
一筋の涙が頬をつたう
しかしそれきり涙は流れなかった
悲しい、さみしい、悔しい…
様々な感情が溢れてくるが
いつかきっとまた会える、そんな予感がしていた
「それまで私が太陽を守りましょう。
どうかすべての戦士達に太陽のご加護がありますように…」
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今日もキンモク星は穏やかだ
頬をなでる風も
それが運んでくるキンモクセイの香りもいつもと変わらない
しかしこの胸をざわめかせる不安はなに?
火球プリンセスも仲間の戦士たちも
特に変わった様子はない
なのに心が落ち着かない
なにかが起きている
そんな気がしてならない
ファイターはアイリアにもらったアメジストのネックレスをぎゅっと握った
この不安が杞憂だと信じて…
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